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猫は人生

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第一章


第一章

                      猫は人生
 津田知樹は一人暮らしだ。職業はサラリーマンであり実家を離れた都会に暮らしており家族はいない。そのかわりにペットを飼っている。部屋はペットよしのアパートである。
 ペットは猫である。最初は一匹だったが他人から貰ったり里子を引き取ったり野良猫を迎え入れているうちにだ。何時の間にか十匹になっていた。
 猫は一匹でも厄介である。それが十匹だ。その彼が寝ているとだ。
 十匹で襲撃をかけてくるのだ。彼が寝ているそのベッドの上にあがって踏む、暴れる。それで無理矢理起こさせて飯を出させる。彼の一日はここからはじまる。
 そこから彼自身の身支度をして会社に向かう。そして帰るとだ。
 夕食は自分で作っている。それを食べているとテーブルの上にあがってだ。その食べている姿をもの欲しそうにじっと見詰めるのである。
 しかも十匹でだ。おかずが鰹節を使ったものだったり魚や鶏肉だった場合には余計にだ。帰ったらすぐに猫達には猫達で晩御飯をあげているのにだ。彼が食べている姿をじっと見てくるのである。
 そして少しでも油断するとである。前足を出してきてだ。
 おかずを奪おうとする。実際に奪い取って早速がつがつと食べだしたりする。まことに油断がならない。それが十匹もいるのである。
 夕食の時間は常に攻防だった。夕食が終わっても遊べだの構えだので擦り寄ってきたり噛んできたりする。新聞を読んでいるとその上に寝転がってくる。服は毛だらけ、トイレも十匹分の処理をしなければならない、趣味は猫の世話、給料の結構な分もキャットフードやおやつ、それに砂代あとはおもちゃに使うことになってしまっている。まさに猫の為に生きている人間となってしまっている。
 
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