ヘタリア大帝国
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TURN135 ワープトラブルその十三
「だったらな」
「世界の盟主というものも」
「なくなったさ、というか最初からなかったのかもな」
世界の盟主、そんなものはというのだ。
「球界の盟主、そっちのと一緒でな」
「あっ、そのチームは今五十年連続最下位ですのね」
「巨人だったか」
「はい、しかも四十年連続勝率一割です」
まさにぶっちぎりの弱さだ。どの世界でも巨人には無様な負けがよく似合う。
「弱いにも程があります」
「何か凄いな」
「はい、しかし球界の盟主というものも」
「ないな」
「彼等が勝手に言っているだけでした」
そうして盲信している者達だけがだ。
「そうしたものでした」
「何かの盟主ってのはやっぱりな」
「幻想ですか」
「そうだろうな」
所詮だ、そうしたものに過ぎないというのだ。
「実際のところは」
「では」
「ああ、もう盟主なんていいさ」
そうしたものにはこだわらないというのだ。
「俺はな」
「欧州の一国として生きられますか」
「そのつもりさ、まあ欧州はこれからはな」
戦争の後だ、欧州はどうなるかというと。
「ドクツが中心になるだろうな」
「ドクツの発展した国力、それに」
「あの総統さんがいるからな」
「だからですね」
「エイリスは欧州の一国だよ」
例えそれが大国のうちの一国だとしてもだ。
「そうなるな」
「ですか」
「ああ、もうそれでいいんだよ」
「欧州の一国で」
「世界の盟主が実は貴族連中の利権の温床になってるのならな」
何の意味がないというのだ、こう話しながら。
イギリスは中段のエクレアも下段のケーキも食べた、日本もまた。
そうしてだ、イギリスは日本にこのことを話した。
「今度はそっちの長官さん達や女王さんも呼んでな」
「お茶会をですね」
「しような、後は日本の茶道もな」
「それもですね」
「うちの女王さんに振舞ってくれよ」
「はい、それでは」
日本はイギリスに微笑んで応えた、二人は久し振りに心ゆくまで話をした。両国の絆は既に戻っていた。
TURN135 完
2013・9・7
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