ヘタリア大帝国
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TURN135 ワープトラブルその三
「まずいぞ、これでは」
「損害が増えていく一方だ」
「我々はどうすればいい」
「このままでは」
ここに至ってようやく狼狽した彼等だった、そうして。
何をしていいかわからず狼狽していた、ここでミサイルも放たれ鉄鋼弾もだった。特に後方からの潜水艦の攻撃は。
見えない攻撃だ、これに。
「セイレーンか!?」
「また出て来たのか」
「そういえばドクツも枢軸軍にいたな」
「だからか」
「潜水艦も来ているのか」
その攻撃でも貴族の艦艇は爆発四散していく、炎の花は彼等の中でだけ咲き多くの人命を抱いて銀河の中に消えていく。
そしてだ、その中で。
貴族達は今度はだ、青ざめた顔で言った。
「き、救援を!」
「援軍を要請する!」
「早く来てくれ!」
「正規軍はまだか!」
「いや、それはないでしょ」
彼等のその悲鳴を傍受してだ、キャロルは呆れて笑った。
「幾ら何でも」
「というか自分勝手にも程があるわね」
ハンナも呆れた顔で言う。
「これは」
「ええ、まあこっちの一通りの攻撃で八割の戦力を失えばね」
消滅と言っていい程だ、艦載機から鉄鋼弾まで受けてそうなったのだ。
「当然と言えば当然だけれど」
「そうね、自分勝手にしても」
「貴族の連中も生きたいからね」
「エイリス軍正規軍が来たわ」
ドロシーが二人に言って来た。
「彼等の援軍に」
「最初から読んでいたのね」
クーは彼等がここで来た理由をすぐに見抜いた。
「それでなのね」
「その様ね」
ドロシーもこう応える。
「それでは次は」
「ええ、正規軍との戦いね」
「それになるわ」
こう話してだ、そうして。
枢軸軍は戦場に到着したエイリス軍を前にした、セーラは貴族艦隊と枢軸軍の間に自身が率いる軍を入れた。
そうして自分達が盾になる形になってからだ、セーラは貴族達に言った。
「貴方達は撤退して下さい」
「撤退?」
「今は」
「そうです、ロンドンまで撤退して下さい」
こう命じたのである。
「いいですね」
「どうせならより早く来てくれたらよかったというのに」
「何故もっと早く来てくれなかったのだ」
「戦死した者も多いというのに」
「女王陛下のご決断が」
「おい、ごたくはいいから早く逃げろ」
イギリスは不平不満ばかり口にする彼等に咎める様に告げた。
「いいな」
「は、はい。わかりました」
「それでは」
「死にたくなかったら逃げろ」
イギリスは彼等をさっさと追い出させた、戦場から。
しかし彼等の動きは遅い、その撤退を援護しようにも。
「これではです」
「かなりの時間がかかります」
その撤退状況についてだ、ロレンスとイギリス妹がセーラに話す。
「撤退の後詰をするにも」
「普段以上に損害が出ますが」
「そうですね、これでは」
後詰に徹するのではなく反撃もでき出来なかった。鈍重な彼等を戦場から離脱させる為には攻撃ではなく敵軍の前に立ち隙を作らないことが肝心だからだ。
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