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ビリーおばさんとタビタおばさんのお話

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第四章

「大変なことになるから」
「憂さ晴らしで飲むとか言うけれど」
「こっちはね」
 雌猫の方はといいますと。
「そうしたことは出来ないから」
「憂さ晴らしをしようと思えば」
 それこそだというのです。
「もうね」
「こうしておしゃべり位しかないわよね」
「そうそう」
 こう言い合うのでした。
「気の合う者同士でね」
「それ位しかないから」
「雄猫は気楽でいいけれど」
「雌猫はね」
 つまりです、自分達はだというのです。
「気苦労ばかりで」
「休むこともあまり出来ないで」
「朝から晩まで働き通し」
「子供は言うことを聞かないで」
「主人はお家では何もしない」
「そんなのだからね」
 こうとりとめのないお話をしていくのでした、そうしてあれやこれやとお話をしているうちにです。ふと気付けば。
 影が長くなっていました、お日様もその姿を消そうとしています。タビタおばさんはそのことに気が付いてでした。
 ビリーおばさんにです、こう言いました。
「じゃあそろそろね」
「そうね、もう夕方だからね」
「今日はこれでね」
「またの機会にね」
「今度うちに来て」
 タビタおばさんはにこりと笑ってビリーおばさんに言いました。
「それでお茶でもね」
「いいわね、じゃあティーセットも揃えてね」
「お茶を飲みましょう」
 こう言うのでした。
「そうしましょうね」
「そうね、いいわね」
「そういうことでね」
 こうお話してでした、そのうえで。
 お家に帰るとです、戸締りはちゃんとしていました。タビタおばさんはまずはこのことによかったと思いました。
 それでお家の中に入るとです、散らかっていませんでした。そしてトム達はどうしているかといいますと。
 積み木で遊んでいました、タビタおばさんはそれを見て子供達に言いました。
「絵本は?」
「もう飽きたよ」
 トムは積み木を上に上にと重ねながら答えてlきました。
「だって何度も何度も読んだから」
「それで積み木をしてるのね」
「駄目かな」
「絵本の方がお勉強になるのよ」
 おばさんはちょっと怒った感じの口調でこう返します。
「全く、飽きっぽいんだから」
「飽きたから仕方ないじゃない」
 トムはお母さんに言い返します。
「何度も何度も読んで」
「十回は読んだわよね」
「そうよね」
 ミトンもモペットもそれぞれのお顔を見合わせて言います。
「もうね」
「それ以上かもね」
「だからいいじゃない」
「十回と言わずにね」
 お母さんは言い返してきた子供達にさらに言うのでした。
「二十回でも読みなさい」
「えっ、そんなに!?」
「そんなに読まないといけないの?」
「お勉強はそういうものよ」
 こう言うのでした。
「それこそ何度もね」
「ううん、十回も読んだのに」
「それでもなの」
「百回読んでもいいのよ」
 そこまでだというのです。
「だから今度からはね」
「お母さんが留守の間はなの」
「百回でも何度でもなのね」
「そうよ」
 タビタおばさんはミトンとモペットににこう言います。
「今は積み木をしてもいいけれど。積み木をしないといけない時は言うから」
「わかったわ、それじゃあ」
「今度からそうするわ」
「トムもいいわね」
 トムに言うことも忘れません。
「お母さんが絵本を読みなさいって言った時はね」
「百回でもなんだ」
「そうよ、読むのよ」
「わかったよ、それじゃあ」
「そうしなさいね。それじゃあお母さんは今からお料理を作るから」
 台所に向かいながらの言葉です。
「お父さんが帰って来たらお魚でムニエルを作るからね。パンを用意してね」
「うん、パンだね」
「ええ、出しておいてね」
 子供達に用事も言いつけてでした、そのうえで。
 まずはシチューの用意をします。そしてお父さん猫が帰って来た時に今度はお魚を捌いてムニエルも作るのでした。タビタおばさんとビリーおばさんのある一日のお話でした。


タビタおばさんとビリーおばさんのお話   完


                    2013・12・16 
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