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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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十章 幕間劇
  三若×休憩

いよいよ何だな、と思ったのは俺だけではないはず。城内では誰もが慌しげに動き回り、上洛の準備は着々と進んでいる。出陣までもう少しだからな、鉄砲運用についても着々だ。本物の火縄銃が触れたとかで、興奮していた者もいたけど。現代とここでは運用の仕方が違うので、基本は詩乃が座学で教えてから火縄銃のやり方も教えた。やはりアサルトライフルとは大違いだからか、玉薬の量とかで時間はかかったが何とかなった様子。その分女性の方が、手先は器用なのかすぐできてたけど。

「さてと、俺も行くか。ここに止まっていると邪魔になるし」

出陣の準備で久遠に聞きたい事もあるしな。

「あ、一真様だ!お~~~~~い!」

「ん、犬子?」

板張りの廊下を踏み鳴らして犬子が、大きく手を振りながら駆け寄ってくる。そして思いっきりダイブしてきた。

「ぎゅううぅ~~~!わふう、一真様は相変わらず抱き心地最高ー!」

「こら犬子、いきなり抱き着いてくるなといつも言っているだろう」

「ええぇぇ~~?いいじゃない、減るもんじゃないしー」

この間の鬼ごっこからこっち、抱きつき癖がついたようで。俺の姿を見つけると問答無用で飛びかかってくるようになった。抱き着くだけならいいんだけど。

「それでは、いただきます♪」

「いただきます、じゃねえ!」

と言って噛みつこうとした犬子を引き剥がしてから、ハリセン一発。何か知らんが噛みつき癖もついたようなので、してくるごとにやってるけど。

「きゃん!」

「犬子も女の子だから、ところ構わず男に抱きついたりしたらダメだぞ」

「あはは、一真様、何だかお父さんみたい」

「そりゃ息子いるから、父でもあるが。俺も男である事もお忘れずに」

「一真様を信頼してますから、それに抱き着くのは一真様だけですからー!っとと、ごめんね、一真様。犬子もう行かないと」

「出陣の準備か。だったら早く行ってきな」

「わん!」

まあ、ああ見えて赤母衣の筆頭だしな。俺何かより遥かに忙しいような気がする。

「で、お前はこんな所で何してるんだ?雛」

「にゃ?」

振り返ると、そこには目を丸くして驚き気味の雛の顔があった。

「びっくり・・・・どうして雛がいるって分かったの、一真さん?」

「三若一人見つけたら、他のも近くにいるので、気配と気で分かる」

この三人とも気は違うから分かるけどね。それに付き合ってすぐに分かった事だし。

「むむむ、なーんか悔しいなぁ。これは一真さんを驚かせる新しい方法を・・・・」

「あってもなくても分かるからな」

「あ、そうそう。新しい悪戯道具が出来たんだよ~」

雛は懐からまたよく分からん道具を取り出す。三連に繋がった竹筒に紐がついてる。見るだけでは分からんな。

「ふふ、これ最新作なんだー。一緒に誰かに試してみない?」

「それやったらまた壬月の雷が落ちるぞ」

この忙しい時期に悪戯をやったら拳骨だけでは済まないだろう。

「そっか。でもいつかやろうね~」

「ああ、いつかな。それより忙しいんじゃないのか?」

「そりゃそうだよー。ホントは一真さんとお話してる暇ないくらい大忙し~」

「だったら、話しかけるなよな」

「ふふ、それはそれ、これはこれって奴?おっと、ごめん。今日はホントに時間ないから行くね~」

「準備頑張れよ」

「はーい」

と雛は行ってしまったがいつの間にかいた和奏。

「一真だってやる事あって城まで来たんだろ?いいのかよ、こんなところに立ち止まっても」

「和奏も忙しいんだろう?」

「そりゃな。戦の準備何てやりだしたらキリがねーし」

「そうか。いつもご苦労さん」

「けど戦う楽しみが待っていると思えば、面倒な準備にだって気合が入るってもんさ」

犬子や雛も同じなのかもしれない。大変だと言いながらも笑顔で浮かべているのだと。

「忙しいんなら、貴重な時間で話しかけてくるなよな」

「それについてお互い様じゃん。寧ろ一真はボクら三人分の時間を取ってもらってる訳だしさ。こっちが好きで話しかけてんだから、一真は気にしないでくれよ」

「俺だって三人がこうして時間を作ってまで俺に話しかけてくれたんだ。それは素直に嬉しいと言っておく」

「へへ、そっか。よかった。あ、わりぃ一真、ボクも行かないと」

「そうか、頑張れよ」

「おう!」

さてと、俺の仕事も終わらせるか。なぜかは知らんが、足取りも軽かった。

「確認だけでこんなにかかるとはな。やはり、戦の準備ってこんなにかかるものなのか」

「あれ、一真様?」

この後の事を考えながら歩いていたら前から三若と出くわす。

「何だよ一真、まだ城にいたのかよ」

「まあな。そっちはどうだ?」

「んー、ぼちぼちってところかなぁ」

「だねー」

「そうか。三人とも、もし時間があれば休憩にしないか?」

まだやらなきゃいけないしーとかいいつつも、気で分かるんだけどな。あとは瞳を見ていてそう思ったし。

「お前ら、瞳を見てもバレバレだぞ」

「へぇ、分かるんだ」

「犬子達、そんなに疲れてるように見えるかな?」

「お見通しだ、これぐらい分からないと上司にはなれないからな」

ちょっと強引にして三人を押してから、中庭に向かう。四人並んで座って一休み。

「やはりこういう時間も必要だな」

と言いながら翼を展開させて、三人周辺に翼を当てる。大きくも出来るから三人くらいは余裕だ。

「一真のそういう空気って最初っから変わんねぇよなぁ。あとこの翼が何だか元気をもらうみたいで」

「だねぇ~」

「空気?あと翼から発しているのは、疲労を癒すための力を発動してるからだ」

「分かって言えばいいのかなぁ・・・・落ち着くんだよねー、一真様と話していると」

「お前と話していると、こう肩肘を張っているのが馬鹿らしくなるってゆーか」

「と言うより気が抜ける?」

気が抜けるねぇ、まあ少しでも疲れがあると失敗する恐れがあるし。

「一真様の方は大丈夫なの?こんなにのんびりしちゃってて?」

「俺はというより一真隊の者がやっているからな、それに一生懸命やっている。俺は主に指揮をするか、前線に出て戦う方だから」

「一真隊の女の子は皆甲斐甲斐しいよねぇ」

「一真隊の面子は皆一真さんの事が好きだからね。そりゃ一生懸命になるって」

「つまり心を一真に鷲掴みされているからな」

まあそれは有りかな?それに好意があるのは知ってるし。

「自覚がある優しさだからこそ、一真さんの言葉ってたまにドキドキするんだよね」

「分かる分かる。一真様の言葉で犬子、たまーに顔真っ赤になっちゃうし」

「あ、それすっげ分かる」

そりゃ女の子の事を大切にとは思ってるし。結婚してる身だけど、この世界に降り立った以上、縁がある者には時に厳しく時に優しくだ。そうやって、桃香達とも結婚した。

「一真さんってば、狙い済ましたように女の子がきゅんと来る事、してくるんだもん」

「危なかった時に颯爽と現れたりとかな。詩乃の時は凄かったって聞いているぜ」

「さすが、女子の噂は早いな」

「他にも聞こえてきているよー、一真様の噂♪」

「一真隊に新しく人が入るたびに、なぁ?」

どんな噂か知りたいが、知らん方がいいかもしれない。そういえば、IS世界の時、女子の噂はすぐ全校生徒に流れたっけかな?

「君を攫いに来た!だったっけ?そりゃ詩乃ちゃんも惚れちゃうよねー」

「一度でいいから雛も言われてみたいなー、そんな事」

「じ、実はボクも・・・・」

「だよねだよね!女の子なら誰でも憧れるよね!」

それ随分前だな、そのセリフ言ったの。寧ろそれは好意的に褒めているんだと思うけど、まあチャラいよりかはマシだけど。それに三人とも顔赤いしな。まあ、真っ直ぐな気持ちで言うからドキドキするんだと思うよ。

「あとさ、普段もそうだけどいざっていう時でも引き締まっているんだよなー」

「そりゃそうだろう?指揮官だし」

とそういうけどな。それに指揮官というのは本当だし、隊員の悩みとかも聞いてるからな。俺は占い師かという程、たまに列になって並ぶ時がある。主に女性隊員だけど。

「さてと、ボクそろそろ準備に戻らねーと。それにその翼の輝きのお蔭か元気になったし」

「そうそう。それに本気出さないと、ホントに準備終わらないかもしれないしねー」

「そうなったら、戦で活躍する以前の問題だしね」

「そうか。ならそろそろ翼を収納させるか」

と言って翼を収納した。三人とも、俺がやったお蔭で元気が出たそうだし。

「滝川様!前田様に佐々様も!ちょうどようございました」

話が終わった所で、滝川衆の兵士が駆け寄ってきた。翼収納して正解だった。これは久遠や結菜、家老二人に三若、あと一真隊の前でしか出してない。

「どうしたのー?」

「兵馬の数について確認したい事がありまして」

「ん、分かった。今すぐ行くよ~」

「ボクと犬子にも用があったの?」

「はい。私どもではございませんが、赤母衣衆、黒母衣衆がお二人を探しておりましたので」

「そっか」

「・・・・らしいから、ボク達は行くよ」

そう言って、武将の顔になり、行ってしまった。俺は、長屋に戻る前に太陽光を吸収に行くために、翼を出して空飛んだ。あの三人に光を注入したのは、一部が太陽光。人体の骨や歯の形成に必要な、ビタミンDは太陽光を浴びる事で紫外線がコレステロールを変化させる事で、必要な分のビタミンDの半分の量をまかなっている。ビタミンDが不足すると骨や歯が弱くなったり疲れやすくなったりするんで、注入した訳。城に籠りっきりだと、中々太陽光を浴びないだろうなと思っての事だ。一部太陽光で、残りは回復の力で不足分エネルギーを補う事が出来るのさ。ある程度吸収した後に、長屋に戻った。 
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