戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~
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九章 幕間劇
早朝からの鍛錬×山中での散歩
ふと目が覚めた時であった。障子の隙間から差し込む光なのか、それともあるべき気配がなかったとか。隣を見ると、詩乃はぐっすり眠っていた。だけど、鞠がいたはずの布団には鞠がいなかった。布団に手を置くとほんのり温かいので、まだ近くにいるのかなと思った。それにここで騒ぐと、詩乃の睡眠妨害をしてしまうからな。鞠の布団には刀もなかったけど、預かっている書状はある。
「ちょっと行ってくるね」
一応置手紙を置いてからそっと部屋を抜け出した。
「ふにゃあああああああっ!」
「えあーーーーーーっ!」
こんな朝早く何しているのか?と思ってしまう。恐らく鍛錬でもやっているんじゃなのかなと。
「裏庭か」
一人は綾那としてもう一人は誰だ?歌夜はもっと凜とした声だし、小夜叉は山の中だし。
「とすると、鞠かな?」
「にゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「てやーーーーーーーーーっ!」
というか、こんな朝から叫んで何してんだ。街とかだったら近所迷惑だけど、ここは山の中だ。
「おい、綾・・・・・」
「ふにゃぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・」
建物の角を曲がった俺の眼前に、研ぎ澄まされた槍の切っ先が突きこまれた。
「・・・・・・っ!」
「ぁ・・・・・一真様?」
あっぶねえ、あとちょっとで俺の頭が串刺しだったかもしれない。槍の穂先が止まってたけど、俺の目の前で1cm前だ。あと半歩してたら、刀で防御できたかもしれないが、何も持ってないから防御する物がない。
「ちょ・・・・っ。こら、綾那っ!」
「おいおい。あと少し歩いていたら、俺の頭がどうなっていたか」
「本当にすみません、一真様」
「未遂で終わったから良かったものの、もう少し周りを見ろ綾那。気配とかで分かるだろう」
「す、すみませんです!昨日の鬼退治も全然足りなかったですから」
「まあ、それに関しては俺がやりすぎた事もあるしな。その、スマンな」
「一真様に謝って頂くような事では・・・・!我々は三河の先駆けとして、ここで待機する任務ですから」
「待機とか任務とか、つまらないです。綾那、鬼退治が良かったですのに・・・・」
「阿呆。松平の殿からの命令なんだろう。だったらそれを果たすのも武士の本分ではないのか?」
「うぅぅ・・・・。一真様にそう言われたら、はいって言うしかないです」
で、話を聞くと朝の鍛錬をしていた。最初は綾那と歌夜がやっていたら、鞠が起きてきたので相手をしていたと。加減を聞くとどうやら綾那より鞠の方が効くらしい。
「・・・・くー・・・・」
何か静かだなと思ったら鞠が寝ていた。くうくうと小さな寝息を立てていた。と思ったら起きた。
「鞠様、まだおねむですか?」
「んぅ・・・・・」
優しく声をかける歌夜にも、目元をくしくしして眠たそうだけど。
「詩乃みたいに、昨日まで疲れがまだ残っているのかね」
特に鞠は小さい子だし、何しろ自らの足で駿府屋形からここまで来たのだから。それに碌にご飯も食べずにいたしな。いくら回復が早くとも、それだけ疲労があると一晩では癒えないだろう。
「私がどうか致しましたか?」
「悪い、起こしてしまったか」
「はい。外から大きな声が聞こえましたので」
「ごめんなさい。起こしてしまって」
「いえ大丈夫です。三河のいつもの朝よりかは、だいぶ静かでしたので」
「ああ・・・・すみません」
「・・・・三河の人って、そんなに朝早いの?」
「三河の民は、お天道様と一緒に起きるですよ?」
朝早えよ。じゃあ詩乃も、三河にいた時は不機嫌だったのだろうか。てか、普通は朝の6時か7時に起きるんじゃないのか?トレミー内で寝泊まりしてる隊員全員は朝7時に起きて夜11時には寝る事にしている。ただし、戦だったりとかは、いつでも起きれるように訓練している。
「じゃあ、そのまま夕陽と共に寝る感じ?」
「そうですね。昨日はだいぶ夜更かしになってしまいましたけど」
「朝は一緒なのか」
俺と詩乃はまだ寝ているだろうな。
「お天道様の光を浴びたら、元気が湧いてくるですよ」
「お天道様って太陽神だろう、確かいたな。神界に」
あの時いたが、そうかあいつか。まあ、俺はどっちかと言うともう少し寝たいくらいだ。
「私はどちらかといえば夜の穏やかな月明かりの方が・・・・昼間の陽の光は強すぎます」
そうだな、俺の翼をソーラーパネルで使用すれば、大出力のソーラービームが出来る。使う事がないからな。一応砲台というより巨大なライフルを創ってみた。あとアニメでビビッドコライダーを創ってみた。巨大防御盾になるし、セーフティーを解除したら、俺が集めたソーラーや月光をエネルギーにして撃てる。
「まあ私が不健康なのは置いておいて、鞠さんはもう少し休ませた方がいいでしょう」
「そうだな。まだ疲れも残ってそうだし。俺達は、朝食ができるまでその辺散歩してる」
「では、私ももう少し休ませていただきます。ふぁあ・・・・」
「じゃ、部屋まで送るよ」
詩乃に続いて、しがみ付いてる鞠を起こさないようにして運ぶ。
「一真様!お散歩だったら、綾那達もご一緒していいですか?」
「無論だ。鞠を運んでから、一緒に行こう。あと静かにな」
「はいです。歌夜も行くです!」
「あ・・・。うんっ」
もう少し静かにしようぜ?と言いながらも、詩乃と鞠を宿の部屋に送ってから散歩を開始した。散歩っていっても、村周辺だけだ。
「ふむ。良い天気だな」
「ですね」
「えへへー」
なぜか綾那は上機嫌だった。理由を聞くと俺に会えたかららしい。俺、別に芸能人とかじゃないんだけどな」
「です!如来様の化身の一真様は、どんな御方なのかなーってずっと思ってたのですから!」
「如来様の化身・・・・ねぇ」
俺は神仏の類だけど、仏ではない。ぶっちゃけ言えば神様で、創造神。
「・・・・違うですか?」
「違くはないが、仏ではない。神界では創造神って呼ばれてる」
「創造神!という事は私達を創ったとも言われる神様ですか?」
「まあ、そうなるね。それに全然縁がなかった鞠にも出会えたからな。でも仏ではない事は言っておく」
「それに実力は綾那以上です!あとさっきの槍を目の前にしてもぴくりともしなかったです!」
まあさすがの俺でも、いきなり目の前に槍が出てきたらドキッとする。鞠についてだが、やはり今川家の棟梁なのか強そうだ。
「ふむ。太陽光が強いから少し充電しとくか」
翼を展開して、金色の翼が太陽光を吸収するように光輝いた。この方が、地の精霊とかには俺を媒体にして集まっては、太陽光を光合成にしてくれるから自然にはいいんだよな。
「一真様!何をされているのです?」
「ああ、これ?太陽光を集めているのさ。必要な時になったら鬼を退治出来る位の光を放てるしね」
それにエネルギーって言っても分からんからな。太陽光を集めて、ソーラービームが放てる事も。
「凄いのです。何だか凄く暖かいのです!」
「あと疲れを癒す効果もあるからな、詩乃や鞠のためにはもう少し集めないと」
「それにしても人の背中から生える何て、まるで鳥のようですね」
「よく言われる。とこんなもんか、良かったら触ってみるか?今なら熱くはない」
と言って翼を広げたら、綾那と歌夜は恐る恐る触ってみた。そしたらまるで布団のようです!とか言っていたな。引っ張ったりした綾那にハリセン一発。
「全くもう。これは俺の翼何だから引っ張ったりしたら痛いだろう!」
「すみませんです。翼には羽が一枚一枚あるのですね」
「それに攻撃したり防御もできるからな」
まあここで、やってみるのは出来ないからな。そしたら、身分が高いからと敬語になってしまうらしいが、俺は気にしない方。
「ですけど、久遠様の彼氏ですよね?」
「まあそうなんだけどね、周りも気を使ってるから、家老何て俺の事を様付だから。ところで詩乃から聞いてないの?」
「一応は・・・・お聞きしました。素晴らしい御方だと。あと話しにくい方だと思ってましたから」
「そうかい?」
山の道を歩いていると、三河は山ばかりなのでよく山菜取りをするんだと。山菜ね、俺にはさっぱり分からん。
「綾那、草もですがキノコもよく探すですよ。椎茸とか」
「椎茸?松茸じゃないのか?」
「松茸ですか?秋になったらあの辺りになら、いくらでも生えてきますよ」
「一真様のお国は、松茸が珍しかったですか?」
「まあな、希少価値高いし高級食材だったからな。逆に椎茸何ていくらでも手に入ったけど」
「椎茸が・・・・」
おいおい、松茸なら分かるが椎茸が希少価値なのか?それとも椎茸が高級食材とかなのか?それだったら、少し分けた方がいいのかな。トレミーには各種のキノコを揃えてあるから、椎茸もよく使われる。
「あ、そうだ。二人に聞きたい事あるんだよな」
「何ですかー?」
「松平の殿様の事なんだが」
「葵様の事ですか?」
「ああ。俺はまだ会った事ないから、どんな人なのかなって」
ここで会うとは思わなかったけどね、久遠からは名前くらいだ。どういう人物像か聞きたいが、狸でない事を祈るしかないけど。
「どんな方ですか。・・・・素晴らしい御方です。頭がよくて、お優しい方です」
「なるほどな、参考になれた。ありがとう」
「いえいえ。そういえばもうそろそろご飯ができたかと」
「そうだな。そろそろ戻ればちょうど朝食が食えるしな」
「はいっ」
「分かったです!」
と言いながら、俺は二人を抱えて風術で飛んだ。二人は驚いたが、すぐに慣れてきて俺に捕まってた。そして、宿前で着地した後に朝食を食った俺らであった。朝食を食べた後、部屋の中で翼を展開させてから詩乃と鞠に向けて光の粒子を放った。そしたら前より疲れがとれたと言ってた。その後、俺は疲れたから寝た。太陽光を吸収し過ぎると眠くなる。
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