魔法少女リリカルなのは~過去を捨て今を生きる者~
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ストライカーズ編!
笑顔の般若
前書き
どうも、ホワイトデーに学校を休むという失態を犯した作者です。
マジアミちゃん(♂)めんご。
そんなわけで遅れましたが、近々ホワイトデーとこの二次創作の一周年記念の話を投稿する予定です。
あまり期待はしないでください。
それではっ
そしてまた別の場所。
私と慎吾、春香と秋良が対面するように立っている。
「随分早い到着みたいだね。私たちがくるより先に到着してるなんて」
おにぃとアリシアがいるところよりそこそこ離れた場所に決まったので行くと、そこには既に二人がいた。
「そんなの、すぐに考えればわかりますよ。なにせわたしは、人が知らないようなこともぜーんぶ知ってるんですから」
春香はにこりと微笑み、言う。
確かにカオリさんが教えてないようなことも春香は知っていたって言っていた。
そして全部知ってえいるのなら・・・。
「スカリエッティの嘘にも気づいてるってこと、だよね。なんでも知っているんでしょ?」
知らないことなんて、ないんだから。
「・・・その通りです。ドクターが嘘を言っていたことも、わたしたちの家族のことも」
「でも、僕たちは・・・僕とハルはそれを知った上で協力していたんだ。僕たちの抱える異常を、ドクターは解決してくれた。だから、その恩を返すんだ」
秋良なら声。
春香なら情報。
「わたしがドクターに刷り込まれた記憶は、両親がわたしの情報を利用するという過去」
「僕は普通の人間が出せる声が使えず、本来の声には人を操作するような力があった。それを知られれば自分に都合がよくなるように同情するひとが現れる。そんなことに使われたくなくて、他人を害虫として駆除するというもの」
どれも本当のことがったら心に傷を負ってしまうようなものだろう。
スカリエッティは事実を都合のいいように改ざんした。
「本当の記憶はわからないけど、本当の過去はもっと違うことは知っている。お母さんたちが優しかったことを、わたしは知っている。でも、同じようにドクターは偽物でも優しさをくれた」
「僕たちに、普通をくれたんだ」
「だから、大切な人たちを裏切るんだ。冬弥にはお父さんが待ってる。夏希の両親は亡くなったみたいだけど、それでも大切な息子を守ろうとしていた。秋良には友達が待ってる。春香はカオリさんも、私たちも待ってるのに」
本当の愛を、優しさを、家族を教えてくれた人たちを裏切るってこと。
たくさんのことを教えてくれた人たちを、裏切るっていうこと。
「そんなこと、とっくに知っているさ。知っていても、僕たちにできるのは・・・」
秋良はそれだけ言って首のチョーカーに手をかける。
「__」
声にならない声をだす。
すると、身体の自由が一瞬効かなくなった。
これがさっき言っていた秋良の能力、人を操作する声。
「この戦いに意味がないことはわかってるんです。でも、ケジメはつけないといけない。だからお二人共、お願いします。わたしたちを・・・」
___倒してください。
「アキラ、お願いっ!」
瞬間、一気に距離を詰めてきた秋良が目の前に現れる。
その手には二本のサバイバルナイフ。
「っ!慎吾、サボってないで!」
近接戦闘に向いていない私は急いで後ろに下がり、横にいた慎吾が長剣を前に出して受け止める。
しかし勢いのついていた秋良の攻撃を完全に受け止めることはできず、少し下がってしまう。
このままだと力負けしてしまうと感じた慎吾はそのまま流し、連続して攻撃をする。
「__」
また何かを言い、慎吾の背後に立つ。
「甘いな」
不意を付いた攻撃と思われたが、既に予想していた慎吾は簡単に避ける。
「甘いのはそちらですよ、慎吾さん」
二人と数メートル離れた距離から春香が魔力弾を複数放ってきた。
それは予想外の攻撃だったのか、慎吾は逃げ遅れてしまう。
「ちっ・・・切替!」
自分に言い聞かせるように慎吾が叫ぶと、その一瞬で慎吾の中の何かが変わったように感じる。
それは本質的にはあっていた。
なぜなら、この場にいる慎吾は慎吾でありながら違う存在。
「・・・クーリミーナルっ♪」
<はい>
魔力弾はすぐそこまで迫ってきているのに焦る素振りを見せないアイツはクリミナルの形を変え、一本の包丁のようなものにする。
「遅いよ」
そう言って手に持った包丁を振る。
それだけで魔力弾は消え去った。
「全く、もっとはやく変わってくれてもいいんだけどなぁ。美愛ちゃんからも慎吾くんに言ってやってくれない?」
どこか暗い感じのある笑顔を向けるアイツ。
そのニタって感じ、怖いんだけど。
「その話はまた今度。はやく準備してよ、輝希」
名前を呼ぶと、本人からしたらとてもいい笑顔を浮かべる。
「あはっ♪まったく、美愛ちゃんも慎吾くんと一緒でつれないなぁ♪」
輝希は包丁をブンブンと振り回しながら言う。
そのうちにコッチに飛んできそうで少し怖い。
「開幕。・・・さあ、ボクの掌の上で踊って?」
周囲に魔力を充満させるように放つ。
それに当てられた春香と秋良はどこか辛そうな表情をする。
「第一幕、人形劇。とりあえず自滅、しようか」
輝希が使える魔法。それはいろんな種類があるが、それらは全部で一つ。
輝希は実質、一つの魔法しか使えないのだ。
今使っているのは第一幕、人形劇。
自分が放った魔力に触れた人を自由に操る魔法。
「____っ!」
秋良が何かを叫ぶ。
瞬間、ガクンと二人の身体が揺れる。
「なぁんだ、もう終わり?なら・・・次。第二幕、演劇」
周囲の風景が一変し、どこかの戦場へと移る。
演劇は使用者の頭に浮かんだものを現実化し、それで物語を紡ぐもの。
「種目は・・・内乱。城内で起こった小さな火種が業火となる。慌てた国王と女王は・・・」
「殺し合う」
楽しそうに、愉快そうに、嬉しそうに笑う、嗤う、哂う。
「避けてっ!」
道筋に沿うように春香は秋良に向け、魔力弾を撃つ。
「っ!___!」
身体の自由は奪われていても能力までは制限できず、魔力弾はかき消される。
それどころか、サバイバルナイフを構えて春香に向かって走り出す秋良。
そう、これは一方的な戦いではなく、殺し合い。
お互いがお互いの命を奪い合うもの。
私は固く目を閉じ、深呼吸する。
「結局殺し合いは相討ち。二人仲良く死にましたとさ」
「__」
それぞれの攻撃が当たるかと思われたが、秋良の言葉で消え去る。
「あともう少しだったのになぁ。第三幕、舞」
失敗なんかしてないというような表情で次に進める。
舞は簡単。
永遠に踊り続ける。
・・・地獄で、ね。
迫り来る地獄の門番、鬼。
鬼は金棒を片手に二人を殺そうとしてくる。
それを避けるために踊るように逃げ回る二人。
しかし敵は鬼だけではない。
番犬ケルベロス。
魔王サタン。
他にも数多くの敵がひたすら二人を殺そうと追いかける。
この舞が終わるのは、二人が舞うことができなくなるまで。
死ぬまで終わらない、最悪の踊り。
「第四幕、歌劇」
地獄の中に歌が流れる。
それはまるで天使の子守唄。
心安らぐ歌。
踊りに疲れた人を、天使が迎えに来るのだ。
天国へと招き入れ、そこで幸せに暮らす。
中には天使になり、人々を救う者もいる。
二人は天使へとなり、数多くの人々を助けたのだった。
しかし。
「最終幕、終焉」
幸せを妬んでしまった二人は純白の翼をもぎ取られ、神から見放されて堕天する。
そして救った人の数だけ人を呪う、悪魔へと成り代わる。
悪魔は自我を失い、友を、家族を、恋人を喰らう。
そして我に返ったときにはもうだれもいなくなっている。
悲しみに暮れた悪魔は生きる意味を失い、自害する。
「閉幕ご静聴、ありがとうございました」
そこで輝希の魔法は終わる。
春香と秋良の目からは光がなくなり、死んだような目をする。
それに対して輝希の表情はとてもにこやか。
輝希の状態をみた誰かが話をし、それを気になった人が見てまた誰かに話す。
そんなことを繰り返すうちに輝希はこう呼ばれるようになった。
「笑顔の般若」
と。
いつしかそれは二つ名となった。
「あはっ、もう終わりかなぁ?春香ちゃんに秋良くん、大丈夫ー?生きてるー?」
蚊のようなちいさな声で何かを言ったきがするが、私のところまで声が届かない。
しかし、言葉を発することができる異常、二人は無事。
戦意消滅。
この戦いは私たちの・・・勝ち。
「ボク回復専門外だから慎吾くんと変わるねぇ。それに、このままボクが出てたら二人とも困るだろうし」
輝希はそう言って包丁を消し、両手を広げ、目を閉じる。
「切替」
そして雰囲気がまた変わり、今度は慎吾が表に出てくる。
目を開けたとき慎吾は困った顔をする。
「あー、とりあえず大丈夫か、お前ら」
二人に手を差し出しながら言う。
差し出された手をチラリと見た二人は多少怯えた顔をするが、手を伸ばす。
「輝希はあんな嫌な魔法を使うけど、根はいい子なんだ。仲間認定した人にはただの大型犬にしか見えないし、変なことしようとすると慎吾が強制的に切替してくれるから」
私は慎吾の手につかまり立ち上がった二人に向けていう。
ちなみに輝希のことは私以外にも隊長、副隊長たちなど、仲のいい人たちは全員知っている。
輝希本人と仲のいい人はおにぃ以外。
よくわからないけど、おにぃは本能的に輝希とは仲良くなれないらしい。
まぁ、だからといって嫌っているわけじゃないらしいけど。
「ヒカリ、とりあえず回復してあげて」
<あいあいさー!久しぶりの出番だし、頑張っちゃうよー?>
ちゃっかりメタ発言をしないでよ。
しかし本当にいつも以上の回復力をみせているから文句が言えない。
「さて、精神的苦労が半端ないとは思うけど、ちょっと移動するよ」
「わかって・・・ます。冬にぃと陽龍さんのところに行くんですよね」
全てを知っている春香が言う。
そう。
おにぃたちのところに行く。
そうすれば全員の説得が終わる。
「ま、先にアリシアのとこ行くんだけどね」
「ナツキは脳筋なだけだから戦闘には時間がかかってしまいそうですね」
ちゃっかり仲間を貶すその姿勢、さすがは従姉妹だよ。
バッチリ私とおにぃと同じ血が流れていると感じた瞬間だった。
後書き
輝希の性格が果てしなくウザイ。
自分で作って書いておきながら、どうしてこうなったものやら。
それではっ
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