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久遠の神話

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第九十三話 炎の選択その七

 その次の日だった、中田にだった。
 部活に行く前の彼にだ、姿を現してだった。
 そのうえでだ、こう言うのだった。
「遂にです」
「ああ、治るんだな」
「お兄様が約束してくれました」
 聡美は中田に対して言った。
「助けて下さると」
「銀月さんのお兄さんか」
「はい、そうです」
「ってことはだ」
「アポロン神です」
 彼がだ、聡美の兄だというのだ。
「あの方が来て下さると約束してくれました」
「アポロン神jは太陽神で」
 中田はアポロン、ギリシア神話において最も人気のある男性神の名前を聞き彼が何を司っているのかを言った。
「音楽や占い、それで医療もか」
「それも司っておられます」
 まさにそうだとだ、聡美も答える。
「その方に来てもらいますので」
「医療の神様が来てくれるのならか」
「例えどの様な怪我でも」
 まさにだ、助からない様なものでもだというのだ。
「命を失っていなければ」
「そうか、じゃあな」
「中田さんのご家族は助かります」
 聡美はこのことを約束した。
「間違いなく」
「そうなんだな、よかったよ」
「これで貴方もですね」
「ああ、戦いから降りられるよ」
 その通りだとだ、中田も聡美に笑顔で答えた。
「これでな」
「戦う為の目的が適うならですね」
「俺はもう戦わない」
 その必要がないからだ、だからだというのだ。
「これでいいさ」
「そうですね、それでは」
「ただな」
 だが、だった。ここで。
 中田は笑顔から真剣な顔になってだった、聡美にこう言ったのだった。
「ちょっといいか?」
「いいとは」
「最後に戦いたいんだけれどな」
 そうしたいというのだ。
「いいか?」
「戦いですか」
「何かどの剣士の人も降りる前に闘ってるよな」
「どうも。このことは」
 聡美もそのことについてはよく知っている、それでだった。
 暗い顔になってだ、こう中田に話した。
「お姉様が」
「あの女神さんにとってはせめてだよな」
「力を集めたく」
 それでだというのだ。
「そうされています」
「そうだよな、だったら俺もな」
「怪物と闘われるおつもりでしょうか」
「いや」
「いや?」
「怪物じゃなくてな」
 それとは違い、というのだ。
「剣士と闘いたいんだよ」
「いえ、それは」
 聡美は中田の言葉に顔を曇らせて応えた。
「幾ら何でも」
「駄目か」
「あまり」
 どうかとだ、ここで聡美だった。
「出来れば」
「そうして欲しくないか」
「私としましては」
「剣士同士の戦いを避ける為にやっていたしな、そっちは」
「そうです。この戦いの本題はあくまで」
「剣士同士の戦いだな」
「そうです、ですから」
 最後の戦いに剣士を選ぶことはだというのだ。 
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