万華鏡
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第五十七話 全てが終わってその五
「だからね」
「そこで勝って」
「次の甲子園でね」
「胴上げ出来ればいいわね」
つまり五戦までで終わらせられれば、というのだ。
「是非ね」
「そうよね、どうせ胴上げを見るなら」
「甲子園よ」
阪神の本拠地であるそこでだというのだ。
「観ないとね」
「今回はね」
「前の日本一の時はね」
その八十五年のことだ。
「西武球場で胴上げだったのよ」
「今の西武ドームね」
西武球場を改造してドームにした球場だ、元々立派で外野の緑が評判の球場だったがこれで雨も気にならなくなった。
「あそこでだったのよ」
「ネコ科同士の対決はあそこで決着がついたのね」
「あの時若し甲子園で優勝決めてたら」
日本一の胴上げが出来ていたらというのだ。
「もっと凄いフィーバーだったわ」
「今も凄いけれど」
「今以上によ」
最高の結末、それになるからだ。
「今でも道頓堀に飛び込む人いるでしょ」
「あれ絶対するのよね」
「阪神が優勝したらね」
恒例行事になっている、これも八十五年以降だ。
「その前にあそこ綺麗にしてるでしょ」
「飛び込んでも病気にならない様によね」
「あそこに飛び込むのはお約束だから」
まさに恒例行事だ、阪神が優勝すれば道頓堀に飛び込むことがわかっているから事前に綺麗にしておくのだ。
「今でもそうだから」
「これで甲子園で日本一になったら」
「もっとよ」
今以上にだというのだ。
「もう最高のフィーバーになるわ」
「ううん、どうなるのかしら」
「それを観たいでしょ」
母はスコーンを食べつつ娘ににこりと笑って問うた。
「是非共」
「ええ、どうなるのか」
「じゃあ甲子園よ」
優勝するのなら、というのだ。
「そこで胴上げよ」
「それ期待するわね」
「そうしていなさい、琴乃ちゃんもね」
「じゃあハロウィンの前後で」
「ひょっとしたら同時よ」
ハロウィンと阪神の日本一が、というのだ。
「ハロウィンと阪神の日本一がね」
「お祭りにお祭りなのね」
「それが一緒になるわよ」
「ううん、何か凄くなりそうね」
「とりあえずハロウィンのことはね」
それはどうかというと。
「誰かに聞くのよ、ハロウィンに何をするか」
「それを聞いてよね」
「若しないのなら」
何もしないのなら、というのだ。
「その時は自分達で何かしなさい」
「路上ライブとか」
「阪神の優勝はね」
そのハロウィンと同時になるかも知れないそれはというと。
「若しもだけれど」
「甲子園でそうなったら」
「やっぱりお祭りだから」
ハロウィンと同じく、というのだ。
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