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オズの五人の子供達

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第五幕その八

「それを巻くのに使ってるわ。お魚もね」
「湖で採れたのを食べてるんですね」
「ハマチとか鮭とか鮪をね。それとあんた鰹節って言ったけれど」
「はい、確かに言いました」
「それって鰹と何か関係あるのかしら」
「あります、鰹節は鰹から作るんです」
「あら、そうだったのね」 
 今度はビーナが驚きます、ビーナは鰹節というものを知らないので鰹節というものが鰹から作られるものであることも知らないのです。
 だからです、そのことには驚いて言うのでした。
「鰹って焼いやり煮たりして食べるんじゃないのね」
「そうなんです、鰹節からだしを取ったりして」
「そうそう、和食のだしも川草から取るわ」
「ううん、川草は使えないって思いましたけれど」
「オズの国ではね。塩の湖も多いから」
 こうした湖も一杯あるというのです、
「そこで採れるものを使うのよ」
「じゃあそれです、そこの川草を使って」
「お握りを作るのね」
「ただ。昆布を煮付けたり鰹節や明太子はすぐに出来ないですから」
 具のそうしたものはもう諦めます、何しろ今すぐにお握りを作るからです。
「海苔があるんなら」
「それを使うのね」
「はい、そうします」
 オズの国では川から採れるそれをだというのです。
「今から」
「わかったわ。それじゃあね」
「川草ならジョージ君も食べるでしょうし」
 海草でないからです、アメリカ人は海草は食べないですが川草ならというのです。
「後は温かいまま出せば」
「温かい状態は魔法の容器に入れれば保てるわよ」
「はい、温かいお握りなら神宝君も食べますし」
 冷えた御飯は食べない中国人の彼でもです。
「問題ありませんね」
「何か知らないけれど急に動きだしたわね」
「お握りは凄いんですよ」
 恵梨香は目を輝かせてビーナに言います。
「あんな美味しいものはないですから」
「そんなに美味しいのね」
「日本人は皆大好きですよ」
「お寿司よりもかしら」
「お寿司と同じだけです」
 日本人は皆大好きだというのです。
「今から作りますから」
「では頑張って作ってね」
「はい、そうさせてもらいます」
 こう応えてです、そのうえで。
 恵梨香はハンバーグやお味噌、豚バラ煮込みや天麩羅、カレーといったものを揃えて具として用意してそのうえで、でした。まずは御飯が炊けるのを待ちました。そのうえで手に塩水をたっぷりと漬けながらでした。
 お握りをどんどん作っていきます。お握りは一つまた一つと次々に出来ていきます。その三角のお握りを見てです。
 ビーナは目を丸くさせて恵梨香にこう言いました。
「あら、こうしたものだったの」
「はい、これがお握りです」
 恵梨香は緑のお握りを作りながらビーナに答えます。
「日本人の大好物です」
「これはまたえらく美味しそうね」
「実際に物凄く美味しいですから」
「私も御飯は好きだけれど」
「お握りはですね」
「食べたことがないからね」
「では後でお一つどうですか?」
「いえ、食べたいけれどこの大きさだとね」
 ビーナはお握りの一つを見て言います、お握り一つでビーナのお腹位はあります。
「私にとっては大きいわ」
「じゃあこれ位でいいですか?」
 恵梨香はビーナの言葉を受けて小さなお握りを作りました、それはビーナの頭より少し大きい位です。そのお握りをビーナの前にちょこんと置いて言いました。
「この大きさで」
「あっ、この大きさならね」
「ビーナさんも食べられますよね」
「充分よ。貴女気遣いが上手ね」
「有り難うございます」
「それじゃあね」
「はい、召し上がってくれますね」
 こうビーナに尋ねます。 
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