ヘタリア大帝国
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TURN133 隠された航路その一
TURN133 隠された航路
エイリスの敗北が近いことはまともな者なら誰もがわかることだった、最早その劣勢はどうしようもないまでだった。
本国、唯一残った領土の軍は健在だ。だが軍は彼等だけで。
最早世界のほぼ全てが敵だった、これでは勝てる筈がなかった。
セーラもだ、覚悟を決めてこう言うのだった。
「ただ戦い」
「そしてですか」
「はい、誇りを見せます」
敗北を念頭に置いている言葉だった。
「何があろうとも」
「では我等も」
「最後まで」
将兵達も意を決している顔だ、皆敗北も死も覚悟していた。
だがここでだ、エリザとイギリス兄妹が彼女のところに来た、そのうえ玉座にいるセーラにこう言うのだった。
「セーラちゃん、じゃあね」
「もういい頃だからな」
「お話することがあります」
「?そういえば」
ここでだ、セーラは三人の言葉にふと眉を動かした。
そのうえでだ、こう言うのだった。
「以前から」
「ええ、その時が来たからね」
エリザが娘に応える。
「あのことを話すわ」
「私にですか」
「このことはね、女王であってもね」
「話せなかったのですか」
「女王になって暫くしてからね」
それからだったというのだ。
「話す決まりになってたのよ」
「先代の女王さんか俺達がな」
イギリスがまた話す。
「そういうことになってたんだよ」
「つまりそれだけ重要なことですか」
「エイリス、いえ世界全体に大きく関わることです」
今度はイギリス妹が話してきた。
「このことは」
「それだけにね」
エリザも何時になく真剣な顔だ、いつもの余裕のある軽さはない。
「セーラちゃんにもこれまでお話してなかったのよ」
「そろそろって思ってたんだよ」
イギリスもだ、いつも以上に真剣である。
「特に今はマジでやばいからな」
「このままだとエイリスは確実に負けるわ」
「だからな、話すな」
「エイリスの為にね」
イギリスとエリザでセーラに話す、今場にいるのは四人だけだからだ。
それでだ、イギリス妹が懐からあるものを出してきた。それは。
「宙図ですか」
「はい」
まさにそれだった、イギリス妹が出してきたのだ。
「ワープ航路を描いたものです」
「それですか」
「ただ、普通の宙図ではありません」
「?これは」
セーラはその開かれた宙図を見た、それはというと。
エイリスを中心として全世界の星域にそれぞれつながっている、まさにそうした宙図であった。これはセーラが今まで見たことのないものだった。
それを見てだ、セーラはいぶかしむ目でイギリスに問うた。
「祖国さん、これは一体」
「もう一つの世界宙図なんだよ」
「もう一つのですか」
「普通の宙図のワープ航路はそれぞれの星域でつながってるよな」
「はい」
「それは確かだよ、けれどな」
「まさかエイリスは」
「ああ、エイリスのこのロンドンはな」
「全ての星域とですか」
「つながってたんだよ」
「エイリスが最初にワープ航路を発見したことは知ってるわよね」
エリザがここでセーラに話す。
「それがエイリスを発展させ世界の盟主にしたわね」
「はい、そのことは」
「その時にこのことも発見したのよ」
ワープ航路自体の発見と共にだというのだ。
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