万華鏡
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第五十六話 クライマックスその十五
最初に立ち上がった、それでこうも言った。
「踊ろうか」
「よし、今から」
「そうしよう」
こう話して早速だった、四人も立ち上がって。
キャンプファイアーの方に行く、ただここでだった。
彩夏がふと気付いた顔になってだ、こう言ったのだった。
「何の踊り?それで」
「踊る踊りだよな」
「そう、何か皆チークダンスだけれど」
見ればカップルは皆それを踊っている、二人一組だからそれで踊っていた。
だがプラネッツの面々は五人だ、五人だからだった。
それでだ、彩夏はこう仲間に言うのだった。
「どうしようかしら」
「ううんと、困ったわね」
景子も腕を組んで考える顔になる、その顔は酒で真っ赤だ。
「どうしたものかしら」
「二人一組じゃないと無理となると」
彩夏はまた言った。
「困るわね」
「そうよね、どうしたものかしら」
景子も答えが出ない、そしてそれは他の三人もだった。
難しい顔で悩む、言いだしっぺの美優も困った顔で言った。
「あたしもさ」
「美優ちゃんもなの」
「ああ、ここまで考えてなかったから」
困った顔で頭を左右に振って言うのだった。
「参ったな」
「チークダンスを五人で踊るって」
それはというのだ、琴乃も困った顔である。
「無理よね」
「流石にな」
「これが皆で踊るフォークダンスならともかく」
それならいけた、五人でも。
「チークはね」
「無理だよな」
「五人一緒でないと」
まさにこの五人でないとだ。
「意味がないし」
「参ったな、こりゃ」
流石の美優も今はお手上げといった顔である。流石に手振りは入れていないが。
「諦めるか、今回は」
「そうしようかしら」
「ううん、ちょっと待って」
だがここでだった、里香が困っている四人に言って来た。
「今携帯で副部長さんにお聞きしたけれど」
「あっ、そうなの」
「うん、それでお聞きしたところだけれど」
どうかというのだ。
「チークダンスの次にはフォークダンスをやるらしいから」
「丁度いいわね」
「そうだよな」
里香が副部長から聞いた話を耳にしてだ、琴乃も美優もこう言った。
「じゃあそれじゃあ」
「フォークの時にだよな」
「皆で踊ろう」
「五人でな」
意外といった顔からだった、明るい顔になって話すのだった、そして。
彩夏もだ、笑顔でこう言った。
「じゃあフォークの時に踊ろうね」
「そうね、五人でね」
景子も彩夏に笑顔で話す。
「そうしようね」
「それじゃあ」
こうしてだった、五人は。
一緒に踊ることにした、まさに五人一緒に。
フォークの時間はまだだ、しかし琴乃は笑顔で四人に話した。
「いい文化祭だったわね」
「ああ、そうだよな」
美優は琴乃のその言葉に満足している笑顔で返した。
「本当にな」
「そうよね、何もかもがね」
「楽しかったよな」
「とてもね。最後までね」
「じゃあ最後の最後までな」
まさにその時までだというのだ。
「楽しくやろうな」
「五人でフォークを踊って」
「最後の最後まで楽しいとな」
それでだというのだ。
「もう最高だしな」
「そうよね、じゃあね」
「フォークも踊って」
それもだというのだ。
「終わろうな」
「うん、それじゃあね」
こう話してそしてだった、五人はそのフォークも仲良く踊った。そのうえで文化祭を最高の気持ちで締めたのだった。
第五十六話 完
2013・11・1
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