Sword Art Online~星崩しの剣士~
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01:第1層、ボス攻略会議
前書き
ビーター前編にしようと思ったら長過ぎたので止めました。
このデスゲームが始まって、はや1ヶ月。
2000人の死を前に、俺達は未だに第1層を突破出来ないでいた。
しかも、ベータ出身の俺でさえ、ボスの部屋に辿り着けていない。
―――そして今日、ようやくと言っていい程遅いが、第1層ボス攻略会議が行われる。
* * *
プレイヤー達はそれぞれ色々な所で座り、会議の始まりを待った。
ざわついている中、一人のプレイヤーが前に立ち、手を叩いてそれを静止する。
「はーい、それじゃあ、そろそろ始めさせてもらいまーす」
青年は澄んだ声でそう言う。
プレイヤー達は全員黙り混み、次の言葉を待つ。
「今日は、俺の呼び掛けに応じてくれてありがとう!俺はディアベル。職業は······気持ち的に、ナイトやってます!」
青年――ディアベルがそう言うと、プレイヤーの中でもどっと笑いが起こる。
プレイヤー達は口々に「jobシステムなんてねーだろ」や「真面目にやってくれよー」と茶化すように言う。
ディアベルはそれを、両手を上げて静にのジェスチャーをして黙らせる。
そして、ディアベルは顔を真剣なものに変えた。
「今日は、俺達のパーティーが、あの塔の最上階でボスの部屋を発見した」
プレイヤー達は「おお」や「マジ?」と言った言葉を投げ掛ける。
ディアベルはそれを右から左に流し、口を開く。
「俺達はボスを倒し、第2層到達し、この途方もないデスゲームだって、何時かきっとクリア出来るって事をはじまりの町で怯えて待っている人達に伝えなくちゃならない」
ディアベルは一度間を開け、再び口を開く。
「それが、今ここにいる、俺達の義務なんだ!そうだろう、皆!?」
プレイヤー達は顔を見合せ、頷く。
確かに、至極真っ当な意見だと俺は思う。
そして、そう言い切ったディアベルに敬意を込めて拍手を贈る。
「オッケー」
ディアベルはそう言うと、先に進める。
「皆意見が同じだと分かったし、早速だけど攻略会議を始めたいと思う。先ずは、6人のパーティーを組んでみてほしい」
うげっ…。
俺は内心呻いた。
何故なら、俺は今の今までソロで戦ってきたからだ。
俺は誰かいないかと焦って回りを見回す。
――いた。
ただ1人、何もせず座っている少女が。
俺はすぐにその少女の隣に移動すると、声をかける。
「もしかして、お前も溢れたのか?」
そう訊くと、少女は答える。
「溢れてないわ。······ただ、回りが皆お仲間同士の様だったから遠慮しただけよ」
要するに、今はソロプレイヤーって事か。
なら、今の俺にとっては丁度いい。
「なら、俺とパーティーを組んでくれないか?」
少女は「えっ?」と可愛らしい声を出したが、すぐに訊き返してくる。
「どうして?」
答えない訳にもいかないので、簡単かつ納得出来るように説明する。
「確か、ボスは1人じゃ攻略出来ないって言ってただろ?大丈夫、組むのは今回だけだから」
少女は少し悩んだが、無言で頷いてくれた。
俺はすぐさまウィンドウを開き、パーティー申請をする。
相手が了承し、斜め左上に新たなHPバーが出現する。
俺はそれを凝視する。
名前は···Asute···アステか。
そんな中、バッチリのタイミングでディアベルが口を開く。
「よーし、そろそろ組み終わったかな。それじゃあ――」
「ちょお待ってんか!」
言葉を遮ったのは、ディアベルとは正反対の濁った声。
全員が声のした方に振り向く。
そこに立っていたのは、見事なまでのサボテンヘッドの男だ。
男は「よっ!」と言う声を出し、一気に階段をかけ降りる。
最後は盛大にジャンプし、ディアベルから少し離れた所に着地、そして口を開く。
「わいはキバオウって者や。ボスと戦う前に、少しだけ言わせてもらいたい事がある」
······言わせてもらいたい事?
疑問に思っていると、キバオウはその答えを言った。
「こん中に、今まで死んでいった2000人に、詫び入れなあかん奴がおる筈や!」
キバオウはそう言うと、勢いよく指を指す。
察しがいいのか分からないが、俺は直感的にベータテスターの事を言っているのだと悟った。
プレイヤー達がざわつく中、ディアベルがキバオウに問う。
「キバオウさん。君の言う奴等とはつまり、元ベータテスターの人達の事、かな···?」
「決まってるやないか!」
キバオウは間髪入れずに答える。
そして、キバオウは自分の意見を述べ始める。
「ベータ上がり共は、こんクソゲームが始まったその日に、ビギナーを見捨てて消えおった。奴等はうまい狩場やらボロいクエストを独り占めして、自分等だけポンポン強なって、その後もビギナーの事はずーっと知らんぷりや」
キバオウは目を見開き、俺達に向けて口を開く。
「こん中にもおる筈やで、ベータ上がりの共が!そいつ等に土下座さして、溜め込んである金やアイテムを全部吐き出して貰わな、パーティーメンバーとして命は預けられんし、預かれん!」
くそっ······好き勝手言ってくれやがって···!
「発言いいか?」
1人の男の声が広場に響く。
そちらを向くと、立ち上がったのは、濃いクリーム色の肌にスキンヘッド、そして斧を持った男だった。
男性はキバオウの前まで移動すると、口を開く。
「俺の名前はエギルだ。キバオウさん、あんたの言いたい事はつまり、元ベータテスターが面倒を見なかったから、大勢のビギナーが死んだ。その責任を取って謝罪、賠償しろ、と言う事だな?」
男性――エギルは、キバオウの意見を簡単に纏め、そして質問する。
「そ、そうや」
キバオウはエギルを軽く睨む。
エギルはキバオウの答えを聞くと、懐から小さな本を取り出し、話す。
「このガイドブック、あんたも貰っただろ?道具屋で無料配布してるからな」
え、何、あんなのがあったのか?
事実俺はあの本の存在を知らず、たった今初めて知った。
くだらない事を考えていると、キバオウは二度質問に答える。
「もろたで、それがなんや···!?」
エギルはやれやれと言った様な顔をし、そして口を開く。
「配布していたのは、元ベータテスター達だ」
プレイヤー達は驚き、「マジで?」と言った言葉を投げ掛ける。
そんな中、キバオウは歯を噛み締める。
「いいか、情報は誰にでも手に入れられたんだ···なのに沢山のプレイヤーが死んだ。その失敗をふまえた上で、俺達はどうボスに挑むべきなのか、それがこの場で論議されると、俺は思っていたんだがな」
エギルはそう言うと、キバオウを一瞥し、先頭座席に座る。
キバオウもそれに習い、少し離れた所に座る。
一段落着いたところで、ディアベルが話し出す。
「よし···じゃあ、再開していいかな?」
プレイヤー達は頷く。
ディアベルはそれを見ると、話を再開する。
「ボスの情報だが、実は先程、例のガイドブックの最新版が配布された。それによると、ボスの名前は、《イルファング・ザ・コボルドロード》それと、《ルイン・コボルド・センチネル》と言う取り巻きがいる。ボスの武器は、斧とバックラー。4段ある内のHPバーの最後の1段が赤くなった時、曲刀カテゴリーのタルワールに武器を持ち変え、攻撃パターンも変わる、と言うことだ」
プレイヤー達の中で三度ざわつきが起こる。
「攻略会議は以上だ」
ディアベルはガイドブックを閉じ、終りを告げる。
「最後に、アイテム分配についてだが、コルは全員で自動均等割り、経験値は、モンスターを倒したパーティーのもの。アイテムは、ゲットした人の物とする。異存はないかな?」
プレイヤー達の中に異存はないようだ。
と言っても、それは俺に関しても一緒なのだが···。
それを確認すると、ディアベルは口を開く。
「よし、明日は、朝10時に 出発する。では、解散!」
その掛け声でプレイヤー達は席を立った。
「俺も宿に帰るか······」
俺は呟き、宿へと歩いていった。
後書き
本作は原則アニメ沿いとなります。
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