ヘタリア大帝国
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TURN132 一騎打ちその七
「しかもロンドンに潜入することも」
「案外容易でしたね」
「抜け道だらけでした」
厳重な筈の入国チェックもだというのだ。
「オフランスの亡命者と言いそして」
「貴族の一人に賄賂を使えば」
本当にそれだけでだったのだ。
「潜入出来ましたから」
「他には伊勢志摩からのルートもありました」
今もエイリスとは中立条約があり国交がある、だから今も人の行き来は戦争中とはいえ行われているのだ。
このことは把握していた、とにかくエイリスのスパイ監視網は完全に節穴だらけだった。そしてゾルゲはさらに言うのだった。
「こうして議会の会議も聞けます」
「本当に容易に」
「そうです、そしてその議論も」
議会のそれもだというのだ。
「酷いものです」
「全くです、これでは例えセーラ女王が幾ら必死に国を支えようとも」
「土台が腐っています」
国家のそれ、貴族達がだというのだ。
「エイリスは土台も変える必要があります」
「それをですね」
「最早貴族はどうにもならないです」
腐敗を極めているからだ、彼等で構成されている貴族院もまた。
「ソビエトならば即座にでした」
「全員お仕置きでしたね」
「カテーリン書記長が許される筈がありません」
そうした特権だのを最も忌み嫌う彼女なら、というのだ。
「全員シベリアで再教育でした」
「そうされていますね」
「今の書記長でもです」
かつてよりかなり穏やかになったカテーリンだがその彼女でもだというのだ。
「そうされているでしょう」
「そうですね」
「はい、そうです」
必ず、というのだ。
「そうされています」
「そうですね、この腐敗は酷過ぎます」
「エイリスは彼等により世界の盟主の座から降ります」
確実にだ、そうなるというのだ。
「欧州の一国となるでしょう」
「それでも欧州の中では大国ですね」
「しかし最早世界帝国ではありません」
それが今後のエイリスだというのだ。
「既に植民地を全て失っていますし」
「彼等はまだ植民地を取り戻せると思っていますが」
ベラルーシは冷めた目で喚き続ける貴族達を見て言う、どの貴族達も醜いか卑しい顔をしており変に着飾っている。
「不可能ですね」
「出来る筈がありません」
ゾルゲは表情を変えず一言で切り捨てた。
「最早」
「独立した国々は全て軍を持っていますし」
「もう彼等はエイリスを受け入れる気もありません」
その植民地支配をというのだ。
「全く」
「そうですね」
「彼等は今は誇りがあります」
彼等の国の国民としてだというのだ、植民地の現地民ではなく。
「ですから」
「今後もですね」
「彼等はどの国からの支配も受けません」
エイリスからもである。
「ましてや腐敗した無能な彼等なぞ」
「全くですね」
「そうです、軍を率いて行っても撃退されるだけです」
それが関の山だというのだ。
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