| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ロボスの娘で行ってみよう!

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第72話 第2次ダゴン星域会戦 その1

 
前書き
此方へ来て、最初のUPです。少々短めです。 

 
宇宙暦795年 帝国暦486年 3月16日

■自由惑星同盟 ダゴン星域 同盟軍総旗艦ペルーン

「第1遊撃艦隊、作戦通りダゴン星域へ後退中。敵追尾艦隊凡そ6,000隻」
オペレーターの声がペルーン艦橋に響き渡る。
「6,000隻かまずまずの量だな」

「追尾艦隊の後方から他の艦隊は来てないのか?」
参謀がオペレーターに確認を取る。
「今の所、それらしき兆候は無いそうです」

「まあ、36,000隻の六分の一を引き寄せただけでも御の字といえるでしょう。今の銀河帝国軍には6,000隻でも打撃は大きいわけですから」
リーファが面白く無さそうにボソッと呟くように話す。

それを聞いた、ボロディン大将とコナリー中将が顔を見合わせながらリーファに質問をする。
「准将、何やら含むところがあるのかな?」
それを聞いたリーファが手を振りながら答える。

「いえいえ、不服は無いんですけどね。敵さんの猪突猛進振りを見てもうホンの少し早く引きずればよかったかなーと思いまして」
「それは何故かね?」

「敵はどうやら、イゼルローンヘ一旦引き上げる準備をしていたようでして、その準備中に嫌がらせの挑発をしたらもう少し多くの敵が乗ってきたのでは無いかと思いまして」
ボロディン大将とコナリー中将もそれに納得したのか、しきりに頷いている。

「まあ、お客さんは少ないですが、態々来て頂けるのですから、それなりのお持て成しをして差し上げないと失礼にあたりますね」
リーファの言葉に艦橋内で苦笑が起こる。

「第1遊撃艦隊はどの程度で到着する予定か?」
「ダゴン星域まで後3日程で到着する予定です」
「うむ、準備万態整える訳か」

ボロディン大将、コナリー中将がお互いに頷き合う。
「よし、ウランフ提督に連絡、『猪はホイホイにかかりつつあり』とな」
「はっ」



宇宙暦795年 帝国暦486年 3月16日

■自由惑星同盟 アルレスハイム星域 第10艦隊旗艦盤古

「ウランフ提督、第12艦隊より連絡です、『猪はホイホイにかかりつつあり』以上」
「ふむ。ボロディン提督の方は旨く行っているようだな」
「その様ですな」

ウランフ大将とチェン中将が話し合っている。

「そうなると、此方の出番は相当後になりそうだな」
「敵艦隊の数が6,000隻程度です。ティアマトに残留している30,000隻とイゼルローン要塞駐留艦隊15,000隻を合わせれば45,000隻ですので、当方の第3艦隊、第10艦隊の30,000隻では数において劣ります」

「此方とて、無謀な戦闘は本意ではないからな」
「確かに」
「まずは、敵艦隊の動きを慎重に見極めつつ準備を怠らぬように」
「はっ」



帝国暦486年 3月16日

■銀河帝国遠征軍 総旗艦レーゲンスブルク

「ビッテンフェルト艦隊、直ちに引き返せ!」
「ブラウヒッチ艦隊、応答せよ!」
「エルラッハ艦隊、帰還せよ!」

総旗艦レーゲンスブルクでは突出した艦隊に帰還命令を続けて居たが、妨害電波の影響なのか次第に連絡が途絶え始めて来ていた。宇宙艦隊副司令長官メルカッツ提督と総参謀長メックリンガー中将が苦い顔をしながら話し合っていた。

「参謀長、不味いな」
「はい、この状態ですと、敵の罠にはまる可能性が出てきます」
「やはりそうなるか」

「しかし、見捨てるわけにはいかんだろう」
「閣下、しかしそれではみすみす敵の罠にはまりに行くのですか」
「一個艦隊を持って敵に一当たりして急速反転離脱をさせる」

「どちらの艦隊を充てるのですか?」
「当艦隊を持って迎えに行くしかない」
「しかしそれは、ミューゼル提督の艦隊を向かわせた方が宜しいのでは?」

「ミューゼル提督は未だ若い、彼等が言う事を聞くと思うか?」
「それは」
「儂の威厳の無さが、今回の突出を招いた以上は責任を取らねばならんからな、皆には貧乏くじをひかせる事になってすまん」

「閣下」
「ミューゼル提督にはティアマトで後方からの支援をして貰うつもりだ」
「はっ」


帝国暦486年 3月16日

■銀河帝国遠征軍 ミューゼル艦隊旗艦タンホイザー ラインハルト・フォン・ミューゼル

ビッテンフェルト、ブラウチッヒ、エルラッハ達がトチ狂ったかのように敵艦隊を追撃していったが本隊は待機を命じられた状態で必死に突出した艦隊に帰投命令を出してはいるが、妨害電波の影響か連絡が着かなくなってきているとのことだ。

「キルヒアイス、やはり此は罠だな」
「まず間違えなく」
「やはり此処は、あの艦隊を諦めて帰投するのか」

「メルカッツ提督にしてみれば断腸の思いでしょうが、それが最善の方法かと」
「俺に言わせれば、敵はダゴンの死滅戦再びだろう、それならば敵が集結する前に全戦力を持って各個撃破を行えば、此方の損害は殆ど無く敵を壊滅させられるのだが」

「ラインハルト様なら、そうなさりますね」
「俺に指揮権があれば、間違えなく帝国軍の大勝に出来るものを、メルカッツでは駄目だ、愚直でしかない」
「メルカッツ提督にもお考えがあるのでしょう」

キルヒアイスは優しいな。しかしその優しさは、俺と姉上だけで良いんだ。

「兎に角、此方としても今の状態では動きようが無いからな」
「仰る通りです」
「さて、メルカッツの老いぼれはこの事態をどう対処するかな」

「ラインハルト様!お声が大きいです」
「判っている。遮音力場でお前にしか聞こえないから、言っているだけだ」
全くと、キルヒアイスが溜息をつくなか、総旗艦レーゲンスブルクから通信が来た。

ラインハルトが通信に出ると、メルカッツ提督自ら連絡をしてきていた。真面目に敬礼するキルヒアイスと一応敬礼するラインハルト。それに対して答礼するメルカッツ達。挨拶が終わるとメルカッツ提督が口を開いた。

『ミューゼル提督、今回の件で卿に頼みたいことがある』
メルカッツの言葉に、ラインハルトは厄介事を押し付ける気かという顔が多少現れるが、それを隠して質問する。

「小官に頼みとは?」
『卿も判っているだろうが、叛乱軍の動きは間違えなく、我々をダゴンへ引きずり込み包囲殲滅戦を仕掛けるつもりだろう』

ほう、メルカッツもやるものだと、ラインハルトは感じた。
「小官もそう考えます」
『其処で、我々はそれに易々と乗るわけには行かないのが現状だ。其処で突出した艦隊を呼び戻すために一個艦隊を送ることにした』

なるほど、俺の艦隊を捨て駒にする気か、所詮メルカッツもこの程度の男かとラインハルトは内心で怒り始めたが、顔には出さずに話し続ける。
「つまり、あの艦隊を呼び戻すために私の艦隊を向かわせよと言う訳ですか」

その言葉に、メルカッツは細い眼を更に細めて否定する。
『いや、呼び戻すために向かうのは小官が向かうことにする。卿には残存艦隊の指揮と、イゼルローン要塞との連絡線の確保に努めて欲しい』

メルカッツの言葉に、さしものラインハルトも驚きを隠せない。
「副司令長官閣下、その様な危険なこと、大丈夫なので有りますか?」
『なに、今回の遠征自体を断れなかったのは、小官の不徳の致すところだ。本来であればあと一年訓練に充てたかったが・・・・・・それが今回の突出を招いた以上、小官が責任を取らねばならんのだ』

普段尊大なラインハルトも殊勝な顔で話すだけである。
「閣下」
『卿には、不測の事態の際、残存艦隊の指揮権を預ける。なに、やんちゃ坊主共にお仕置きして、連れ帰るだけだ』

「閣下」
『三時間後に出発するので、頼むぞ』
「はっ」

ラインハルトとキルヒアイスは、自然と確りとした敬礼を行っていた。


帝国暦486年 3月16日

■銀河帝国遠征軍 総旗艦レーゲンスブルク

ミューゼル提督と会話を終えたメルカッツ提督が側に居るメックリンガー中将に向き直した。
「さて、中将、聞いての通りだ。準備はどうか?」
「はっ、ご命令通り、後三時間で発進可能です」

「宜しい、私の艦隊に乗って貧乏くじを引かせてしまうかも知れないな」
「閣下、その様な事は有りません」
「冗談だ」


帝国暦486年 3月17日メルカッツ提督率いる15,000隻の艦隊はティアマト星系を出発した。行き行く先で何が起こるのか、彼等の運命、それは満天に輝く星の群れしか判らないのだろうか。



宇宙暦795年 帝国暦486年 3月18日

■自由惑星同目領ティアマト星系からダゴン星系間

ワイドボーンとヤンは巧みに艦隊を機動させながら、敵が引けば押し出し、敵が来れば引くという方法で帝国軍を翻弄しつつ、ダゴンへ引きずり込みを行っていた。帝国軍はそれにまんまとかかり、6,000隻が一丸となって追撃を行っている。

本隊との連絡が着かなくなったことで、不安がる者達も大勢いたが、指揮官の敢闘精神でその様な不安を出す事も出来ず、ズルズルとダゴンへと引きずり込まれていった。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧