戦国異伝
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第百五十四話 北ノ庄その六
「北陸の政、そして上杉謙信の備えとしては」
「一乗谷はですな」
「うむ、狭い」
だからだというのだ。
「より大きな城が欲しいからじゃ」
「それで北ノ庄ですな」
「あの地を見てそのうえで」
「決めたい、そしてじゃ」
「さらにですな」
「加賀にも」
「加賀にも城を築きたい」
加賀を収め北陸の抑えとする城をというのだ。
「出来ればな」
「だからこそですな」
「あの国にも」
「どの辺がよいかは加賀を見て考える」
実際にその国をだというのだ。
「それからじゃ」
「わかりました、それでは」
「まずは北ノ庄ですな」
「そうする」
そこを見て決めるというのだ。
「無論安土にも城を築くがな」
「安土が拠点ですな」
「当家の」
「うむ、安土からじゃ」
全てはというのだ。
「東は清洲、岐阜じゃ」
「その二つの城が軸ですな」
「武田への」
「武田と上杉にはそうして毛利には姫路じゃな」
西のこの家も迫っているのだ、信長にとってはこの家もまた驚異になろうとしているのだ。それでだというのだ。
「あの地じゃ」
「あそこにもですか」
「城を」
「一向一揆を収めてからじゃ」
それからだというのだ。
「それもな」
「左様ですな」
「では」
「うむ、それとじゃが」
ここでだ、信長は曇った顔になり言った。
「金ヶ崎の爺から文が来たが」
「はい、何かあったのですか?」
「平手殿から」
「近江の一向宗は収めたがじゃ」
それでもだというのだ。
「延暦寺がな」
「あの寺がですか」
「都に僧兵を向けたのでしょうか」
「いや、どうも動きがおかしいらしいのじゃ」
そうなっているというのだ。
「僧兵達を集めてな」
「それで、でしか」
「当家に」
「うむ、何か企んでいるとのことじゃ」
そういった気配が見られるというのだ。
「これはな」
「気をつけねばなりませんな」
「それでは」
「加賀攻めは慎重にいきたいが」
それでもだというのだ。
「あまり時間をかけてはならんな」
「ですなl、それでは」
「加賀攻めも」
「長々とはせぬ」
慎重にいくが、というのだ。
「そうするぞ」
「慎重ではあってもですか」
「それでも」
「うむ、やはり近江は要地じゃ」
それ故にというのだ。
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