ヘタリア大帝国
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TURN131 二度破られるものその二
オフランス軍の数は激減した、残っている者達も。
「いないのと一緒だな」
「そうですね」
ロレンスは無念といった顔でぼやくイギリスに応えた。
「これでは」
「元々やる気がなかったのにな」
「枢軸軍が略奪暴行をしないと約束したので」
「というか元々あいつ等そういうことはしないからな」
「規律のいい軍です」
あの日本軍が主導でしかも日本軍の中でもとりわけ軍規軍律に厳しい山下が自ら憲兵隊を率いて目を光らせているのだ、これではだった。
「その面では我がエイリス軍よりもさらに」
「エイリス軍の軍規も厳しいんだがな」
セーラにしても略奪暴行を許す様な人間ではない、エリザもそれまでの女王達も同じだ。エイリス軍は女性特有の潔癖さと倫理観から略奪暴行にはかなり厳しい軍なのだ。
しかしそのエイリス軍以上にだ、今の枢軸軍は。
「その上をいってるからな」
「まさに鋼の如き軍律ですね」
「そのせいで評判がいいからな」
略奪暴行を働く軍程恐ろしい災厄はない、しかしそれがないからだ。
枢軸軍は常に評判がいい、それ故になのだ。
「オフランスもな」
「それならですね」
戦う理由がなくなった、将兵達が去るのも当然のことだ。
そしてだ、結果としてオフランス軍は完全に戦力ではなくなり実質エイリス軍だけが戦う状況になっているのだ。
このことにイギリスはぼやいている、軍を率いるセーラにしても。
暗鬱な顔でだ、こうモニターにいるイギリス妹に話した。
「この状況では」
「エイリス軍だけで戦う様なものですから」
「はい、非常にです」
「苦しい戦いになりますね」
「ですが」
セーラは自分達の苦境を把握して苦しい顔になっている、だがだった。
それでも毅然さを失わずだ、イギリス妹にチゲた。
「この戦いではです」
「何としても勝ち」
「はい、エイリス本土への攻撃を防ぎます」
「マジノ線がありますので」
イギリス妹はここでオフランス軍が今だに誇っているその防衛ラインの名を出した。
「ですから」
「マジノ線に篭もりですね」
「戦いましょう」
「そうですね、ただ」
「そのマジノ線がですね」
「大戦初期のものです」
戦争はかなり進み兵器も第一世代から第八世代にまで移っている、ここまで差が出来てしまっているのだ。
だからだ、マジノ線も最早旧式になっているというのだ。
「使えるでしょうか」
「楯と思うべきです」
兵器としては使いものにならない、イギリス妹も割り切っている。
「あの程度の攻撃力では最早」
「枢軸軍にとってはどういうものではないですね」
「また攻撃も一撃受ければ」
それでだというのだ。
「終わりです」
「楯としても大したものではないですか」
「一撃を避けられるだけです」
「ですか」
「しかしないよりましです」
これがイギリス妹の言葉だった。
「ですから」
「一撃でも防ぎつつ」
「そうして戦いましょう」
「わかりました、それでは」
イギリス妹も頷きだ、そのうえでだった。
彼等は実際にマジノ線を楯として布陣した、最早オフランス軍は数に入れず後方に置いているだけだった。
実質枢軸軍とエイリス軍の戦いだった、ここでも。
セーラは自ら前線に立っている、そのうえで枢軸軍を見て言うのだった。
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