戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~
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八章 幕間劇
ご褒美×森家
「一真隊に不足しているのは、だいたいこの辺りですね・・・・」
「ふむ。まあ想定通りだな」
足りない物は装備、兵糧、資金に人材。そして何より経験だな、対人戦なら何とかなるが今度の相手は鬼だ。
「はい。改善策は幾つか考えておりますが・・・・」
「経験は訓練や鍛錬で己を強くする。装備は資金繰りを見直しだが、最悪の場合は俺が創造して創るからいいとして、今すぐ何とかするのは兵糧だな」
「そうですね。こればかりは、ひよところに上手く立ち回ってもらうしかありませんが」
装備類ももっといい物にしようとするが、良い物にしすぎると兵は使いにくくなるし士気も下がる。だから、今使ってるのを調達してからになる。しかも消耗品だしな。
「で、余裕があれば装備か」
「はい。これもお二人の腕次第ですね」
まあ人材は足りないのは分かっているつもりだ。だけど、こういう特定された所だけは優れていると思う。たぶん一真隊は。
「じゃあ、とりあえずひよところに頼むとしよう。詩乃は・・・・」
「訓練計画をもう一度見直しておきます。上洛が始まるまでに、少しでも練度を高めておきたいですから。それと黒鮫隊の方はどうなんですか?」
「黒鮫隊なら、既にいつでも出れるようにしてあるから問題ない。一真隊は俺も指揮するけど、黒鮫隊の出番になったら俺はそちらの指揮をしたい」
「承知しております」
と言って俺は部屋を出た。詩乃と打ち合わせをした後に、一真隊の上洛準備を見に来た。
「あ、一真様!」
「ああ。もう準備してるのか」
「はい。兵糧も、なるべく良い物を安く仕入れられるように色んな所にお願いしてきました!」
「武具類も、野武士だった頃のツテで、中古でも安くて質の良い物を回してもらえるように頼んでます。上洛が始まるまでに、少しでも良い物にしておきたいですから」
「お、さすがというべきだな」
「それで・・・・ですね」
「ん?予算の配分なら二人に任せるけど」
「それはとっくに済ませました」
やはり、一真隊では俺の仕事はないな。
「そうじゃなくて、ですね」
「他の事、ああ昨日の事か?」
「そうです。久遠様のお屋敷に行った時は、いつも昨日みたいな事をしているんですか?」
「そう何度もする訳ないだろう。それに昨日が初めてみたいなもんだ」
「そう何ですか?じゃあ昨日は朝帰りでしたよね。何してたんですか?」
「何って、そうだな。閨で共にしてたとか」
とか言ったら、不潔とか言われたのでハリセン一発。そしたら、冗談だと言ったら性質が悪いとな。俺と久遠、それと結菜が恋人であるのも既に知ってるしな。
「ふふっ。でも一真様。久遠様の事、ちょっと羨ましいなーって思ったのは、ホントですよ?」
「分かってるよ。お前達も俺の事好きなんだろう?こっちに来い、頭撫で撫でしてやるから」
とりあえず頭を撫でておいた。そういえば、詩乃は何も言ってなかったが本当は気にしてるんだろうなと思った。で撫でてたら雛が来たけど。
「相変わらずお盛んだねー」
「えへへ。雛ちゃんもいかがですか?」
「やめとくー。雛、孕まされちゃったら困るしー」
「は・・・・・!?」
おいおい、一体どう見ればそう言えるんだ。そのあとお家流があるのか?と真面目に聞いてきたけど、そんなものはないと言った後に雛にハリセン一発。
「いたたた、相変わらず痛いよーそれ」
「お前がいらん事を言うからだ。で、何の用だ?」
「殿が、三河への書状の準備が出来たから取りに来るようにってさー。詩乃は?」
「今は長屋で訓練計画とか考えている。俺も一度戻るから、その時に伝えておく」
「じゃ、お願いするよ。それじゃねー」
と言って帰ってたけど。そしたら二人は真剣な顔で、あんなお家流はないですよね?と言ってきたからないないと言っておいた。そんなのがあったら随分前に使ってるわ。それに一々挿入しなくて済むが。
「ただいまー」
「お帰りなさいませ。如何でしたか?」
「装備と食糧の件、ひよところでもう手配してると。予算の配分を考えて、なるべく安く上げてくれるって」
「流石ですね」
「まあな。ホントありがたいよ。そうそう、それと・・・・」
「三河への書状の準備が出来た件ですか?」
あれま、俺が言おうとしたが誰か来たらしい。もう既に、出立の準備が出来ているから、訓練案が纏まり次第城に向かうとの事。だが、詩乃は何だかいつもより雰囲気が違うなと思った。だから。
「・・・・・・一真様?」
だから、抱きかかえている。詩乃とはしばらくこういうのしてなかったし。
「このような事・・・・久遠様となされば良いではありませんか」
「俺から見ると詩乃は、少し冷たい風に見える。何を言っても距離を置くからな。それに昨日の事は聞かないし」
「恋人の営みに口を出すほど野暮なつもりではありませんが、それでこのような事を?」
「ああ。一真隊は俺の隊でもある事はさっき言ったが、俺は兵士一人一人をただの兵とは思っていない。家族とか仲間と思っているからな。それにひよやころもその仲間の一人だしな。こうでもしないと、詩乃は素直になってくれないだろう?」
「家族ですか。やはり一真様には御見通し何ですね」
俺は抱いてる間に頭を撫でた。まあ、さっき言った雛のような冗談で孕んだとしても責任は取るつもりだが。
「でしたら一真様。ついでですので、一つお伺いしたかった事があるのですが?」
「何だ?何でも言ってみろ」
「一真様。以前・・・・私の事を何としてでも手に入れたいと仰いましたよね?だから清州から美濃まで攫いに来たと」
「ああ言った」
それは井之口で初めて詩乃に会った事。
「あれは、今孔明の、竹中半兵衛重治が欲しかったのですか?それとも・・・・」
ついでとは言えない質問だな。だから、俺は正直に答えた。
「最初はそう思ったかもな。だけど井之口で話した時、こんなに困っている女の子は助けなきゃと本心でそう思ったよ。まあ男だったとしても、今孔明と呼ばれる軍師は手放せなかっただろう」
「あの時攫われたのは、やはり身柄だけではなかったのですね」
「そういう事だ。だから、後悔しないように言ったからな。さてと、そろそろ行くんだろう?」
と言ったら、頷き俺の腕を解いた。元々そんなに力を入れてないから。
「ええ、そうですが、この残りは三河から戻ってきたらにしてくれますか?」
「もちろんだ。早めに帰ってこいよ。帰ってきたら二人で遊びに行こう。今はそれ位しか出来ん」
「分かっております。ふふっ。絶対、叶えて頂ますからね」
と笑っていたが、やはり詩乃はこうじゃないとなと思った。で、ひよところが戻ってきたら、何かずるーいとか言っていたが、聞かれてなかったようだ。何かズルい感じがしたと、ひよが言っていたが女の勘なのかな。
「それに何か詩乃ちゃん、嬉しそうな顔をしている」
「・・・・いつもと変わりませんよ」
「ううん。確かに何か、良い事があったみたいな顔をしてる。昨日より良い顔だね」
「・・・・変わりませんってば」
何か言っていたが矛先がいつの間にか俺に向いていた。やはり、女の勘が働いているのかと思ってしまう程だ。
「三河の後に詩乃と二人で遊びに行く事になっただけだ」
「やっぱりずるーい!一真様、私ところちゃんには何もナシですかー?」
「んな訳ないだろう。そうだな、・・・・じゃあ二人で遊びに行くってのはどうだ?」
「いいですね、それ。ころちゃんと遊びに行くの!」
「それなら納得します」
それでいいのかよ?と思ってしまう程だった。本当は、一人ずつデートもいいかなと思ったが、ひよはころと一緒なら構わないしな。
「で、行きたい所はあるのか?二人とも」
「いえ、特には」
ノープランかよ。まあ今は上洛の準備とかで忙しいからな。川遊びとかは、もうシーズン終わったし今やると風邪ひくし。
「そうだ!じゃあ、一真様の手料理が食べたいです」
「ん?そんなのでいいのか?例えば一緒に空を飛ぶとかもあるが」
「だって、一真様の料理って、もう当分食べれないじゃないですか?」
そういえばそうだな。朝食や祝勝会以来かな?作ってないのは。すると、俺の料理もいいけど、一発屋の支店が美濃にできたんだと。親父さんやきよも一緒だと。それもよかったが、何を作るか迷っていたけど、とりあえず三人の頭を撫でておいた。
「ひゃあ、一真様。何ですかいきなりー」
「あぅ・・・・頭撫でられるのも嬉しいですけど、いきなり心の準備が・・・・っ」
「とりあえず俺の料理を食べたい何て嬉しい事を言ってくれたからな」
「んぅ・・・・。か、一真様・・・・私には関係ないではありませんか」
「二人だけっていうのは不公平だからな」
「それはまあ・・・・確かにそうですけど」
「それで・・・・ご飯は?」
「一発屋もいいが、俺の海の幸でどうだ?ちょうど獲れたばかりの魚があるからな。刺身と焼き魚どっちがいい?」
詩乃は焼き魚でとソッコーで言った。なので、作りに行こうとしたら先程詩乃と抱き着いていたのが、気付いてたようだったので早速やった。ひよやころは、いきなり抱き着くのは反則とか言ってたが関係ないね。こういうのはご褒美無しでいいのだから。それにこうする事で落ち着くし安心するとか。詩乃もおいでと言ったら素直になって、そっと身を寄せた。で、しばらくしてから俺はトレミーに行って作り始めた。今回はご飯と味噌汁と海苔とお浸しとアジの焼き魚だった。アジは冷凍庫から解凍してから、焼いたけどね。作り終わってから、空間にしまって部屋に戻ったら既に机を出して待っている状態だった。
「お待たせー!焼き魚定食お待ちー」
と言って空間から出して一人ずつに置いてから、最後に俺の分を置いてと。いただきますと言ってから食べだしたが、本当に美味しいと言ってくれたのでよかったと思った。特に詩乃は、焼き魚に夢中になっていたけど。で、食い終わったらまだ時間があるので、井之口の町を散歩しようと言った。
「ふう、美味しかったですね。やはり一真様の料理はサイコーです」
「・・・・(コクコクコクッ)」
しばらく散歩していると和奏と犬子が暗い顔で来た。いつもと元気もないし、テンションが凄く落ちている。
「何かあったのか、二人共?」
「ああ・・・・。何か、森家の連中が来るんだって」
「森家ってあの戦闘狂の集まりか」
稲葉山城の時に暴れてた戦闘民族か。俺が首を取ったとの事で、戦わなくなった足軽達を皆殺しにした奴らか。でも普段は登城しないと聞いたが、それで和奏と犬子は出迎えを任されたとか。
「出迎え?出迎えなら玄関か精々城門までじゃないのか?」
「森家は特別だから、街の入口まで迎えに行けって壬月様と麦穂様に言われたんだよ」
すると、ひよがパニックになりそうだったので落ち着かせたら、森長可もいるのかと聞いたら多分来ると。そしたら早く行こうとか、大通りじゃない所にってどうしたんだ?
「ああ。ひよは門番した事あるんだ・・・・」
「清州で小者をしてた頃に、手が足りないからって一度だけ・・・・あぅ・・・・」
ふむ、声が本気で震えているな。
「それがよりによって森家って・・・・大変だったね」
「それ、皆やりたがらなかったから猿に回ってきたんじゃないのか?」
「あぅぅ・・・・すっごく怖かったです・・・・」
「おいおい。今日は城攻めじゃないぞ。ただの登城にどうしてそこまで怖がる?」
そりゃこの前みたいに首を刈りまくっていたのは事実だけど。
「敵が攻めてきた方がまだマシですよぅ」
何を言っているかよく分からん。だいたい味方のはずなのにそんなに怖がるか普通。
「ああ、思い出しました。森家・・・・森三左衛門殿と森勝蔵殿の親子ですね」
「ひゃああ・・・・」
「私も噂しか耳にした事がありませんが。敵とみれば鬼でも夜叉でも食い殺すとか、常に甲冑は返り血で真っ赤に染まっているとか・・・・。
「まあ、この前みたいな事だな。強い事は確かだけどな」
「・・・・ついでに味方も食い殺すとか」
おいおい、戦場でフレンドリファイアみたいな事を平気でする奴らかよ。こちらとしては考えられないのだが。
「まあ、噂ですから尾ひれが付くものだとは思いますが」
「・・・・ああそれ、尾ひれが付く前」
「はあ?」
「態度の悪い門番とか、ビビってる門番がいたら普通に噛みつくし」
何だそれ?まだ敵の方がマシだな。それに目が合ったら、敵と認識するとかどんだけ戦闘狂何だ。ヴァーリの方がまだ優しい方だったぞ。
「だから門番より前から出迎えなのか」
「とりあえず、大通りから離れましょう。その森家と出くわしたら、今のひよでは本当に死にかねません」
「ああ、行くんなら早く行ったほうがいいぜ・・・・」
その後詩乃がご武運をって、敵を迎えに行く訳でもないのに。生き残ったらご飯食おうとか言ってたけど、たぶん大丈夫だろう。その後森衆の気配が、絶つまで人気のない場所で待機していた。
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