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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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六章 幕間劇
  双葉と京の街へ

「おーい。一葉に久遠。どこだー」

全く、すぐ来てくれと言ったから来たのにさー。

「あ、双葉」

「一真様。どうかなさいましたか?」

「一葉か久遠、どこにいるか知らないか?用事があるから来いって言われたから来たんだが、どこにもいなくてな」

ここに入れてくれた侍女もどこにいるかは不明だとか、こういう時に限って知ってそうな幽もいない。

「さあ?出掛けるという話は聞いていませんから、館にはいるかと思いますが・・・・」

「そうか」

「・・・・・・」

「どうかしたか?」

「い、いえ・・・・」

んー、何か言いたそうな顔をしているな。聞いてみたら、やはりそうだったけど。お付きの人は今日は一緒ではないのか?と聞いてきたが、お付きのとはひよたち達の事だった。

「はい・・・・。・・・・申し訳ありません、お名前をちゃんと伺っていませんでしたので」

「そういえば、この間の顔合わせはあの後に、鬼や今後の話になったんだったな。あの三人なら宿にいるよ、それとお付きではなくて仲間って感じかな」

「お仲間・・・・ですか?」

「まあそういう事だ。形式上は部下になるが、俺はこの世界の事何も知らないからな。だから任せている」

「へえー、凄いですね。お見受けした所、私とそれほど年も違わないのに・・・・日の本を平和にするために働いていて」

「双葉も一葉を助けたり、影武者を引き受けたりしてるじゃないか」

「ですが、私はお姉様のように外に出る訳でもありませんし」

どうやら、あまり外には出ないようだ。小さい頃に寺に預けられていたようで、出かける習慣がないようだ。今は二条館で書見をしたり、この間のように影武者をしたりしてるそうだ。

「そっか、じゃあ次はひよ達も連れて行く。あの子達の相手を頼めるかな?」

「あ・・・・はい!」

「何だ一真。来ていたのか」

「来ていたのならば、なぜ余の所に来ん」

「探したがどこにもいなかったのでね、しばらく双葉と話してた」

「はて。幽に出迎えを頼んだはずだが?」

あの野郎、知っていて知らない振りしやがったのか。まあいいとして、久遠が俺の意見も聞きたいようだ。

「またな、双葉」

「はい。行ってらっしゃいませ」

と言って久遠のところに行き、意見交換をした。その後夜の宿にて、食事をしながら双葉の事について話してた。ちなみに久遠はまだ二条館にいる。一葉とは色々と話が残ってるらしいからだった。

「そうですか・・・・」

「ふわぁ・・・・。ホントにお姫様なんですね、双葉様って」

「年も近いのに、将軍様の代役だなんて凄いです」

「それでさ、ひよ達は双葉と仲良くなりたくない?」

と言ったら、とんでもないです!とか恐れ多いとか言ってたけど。双葉は結構気にしているんだよな。

「その理屈で言うなら、天下に一人しかいない将軍様やその妹君は、誰も友達が作れない事だ」

「それはそうですけど・・・・。それでも身分が違いすぎますよぅ!」

また身分かよ。この時代は身分身分とうるさいが、関係ないと思うのだがな。

「例えばの話だ。身分なんか関係なく、ひよ達個人としてはどうなんだ?」

「それは・・・・年も近いですし、気にはなりますけど」

「ならばなお尚の事だ、そういう風に接してもらえると双葉も喜ぶ」

「はぁ。身分の差のない国で育てられた方はこれですから・・・・発想が自由すぎて困ります」

「でも俺が、神の姿になっても普通に接してくるだろう?それと同じだ」

まあでも身分の上下で接しにくいかもしれないな、こいつらなら俺があの姿になっても普通に接してくれている。

「ところで一真様。明日なんですが、ちょっとお買い物に行ってきていいですか?」

「ん?まあいいけど。ころと詩乃もついて行ってあげてくれよ?・・・・待てよ、それ少し保留にしてもらっていいか?」

「何かご用がありますか?」

「ある訳でもないが、とりあえず明日買い物に行けるようにしておいて。明日の朝まで待て」

「何か企んでいらっしゃるのです?」

別に企んではいない。ちょっとした策さ。俺は久遠を迎えに行くと言った後、皆は先に寝てろと言っておいた。そして次の日になってから俺達は二条館に行った。

「足利義秋・・・・通称、双葉と申します。本日はよろしくお願い致します」

双葉はお淑やかにそう言って、小さくぺこりと頭を下げた。

「「「・・・・・・・」」」

やはり黙るか。俺の策成功だな。

「あ・・・・その、顔をお上げ下さいませ。双葉様」

「かかか、一真様っ!これ、どういう事ですか!?」

「何で公方様の御妹君が、私達に頭を下げてるんですかっ!」

「何って?買い物に行こうと思ってな、誘ってみた」

本当は護衛として行くんだが。まあそれはいいとしよう。

「はい。一真様から一緒にどうか?とお声掛け頂きまして、私も是非にと」

「買い物って・・・・まさか」

「ひよ、買い物があるんだろう?」

「やややややややぱっ!?」

「そんなに焦らなくていい。一葉からはちゃんと了承している」

一応、町から出ない事と、日が沈むまでという条件は付けられたが、空の上までは決められてないから大丈夫だろう。仮に何かあれば、黒鮫隊のIS部隊で何とかするし俺もISを装着する。翼出したら、偉い目に合うからな。

「一真様・・・・私みたいなのが公方様の御妹君を連れてお買い物とか聞いた事ないですよ・・・・」

「駄目・・・・でしょうか?」

「我らは護衛の身ですから、駄目とは申しませんが・・・・」

「久遠の護衛と似たようなもんだろう。それに烏だったか?一葉の方にも護衛はつけると言っていた」

一葉は烏に関しては、双葉に言えば分かると言っていた。

「はい。ですので、ご安心下さいませ」

まあ俺も烏と言う人物は知らないけど、たぶんあの時撃った奴らの事だと思う。双葉はそれで通じてるから、信頼できる者だとは思った。

「一真様ぁ・・・・」

「そもそも足利家の御方に二度も頭を下げさせるなど、前代未聞です」

「とりあえず話してないで行くぞ」

「うぅ・・・・責任重大ですね・・・・」

と歩き出した俺達。一応黒鮫隊にも連絡していつでも出れるようにしてある。今回IS部隊の桜花、結衣、沙紀にな。特に沙紀とは顔見知りだからな。桜花は白式で結衣は紅椿で沙紀はサバーニャだけど、エヴォルトシステム搭載機だから自由に変えられるけど、今はその機体でいいらしい。

「緑が綺麗ですね・・・・」

遠くの山々は無論同じ景色だが、気分が変わればその見え方も変わる。二条館を出て街を歩くのは、双葉にとっては新鮮だろう。

「お屋敷の中から見る景色とは、随分違って見えます」

「確か、あそこの山を越えてから帰るんだったな」

「東の山を越えるという事は、皆さんはこれから近江に向かわれるのですか?」

「あ・・・・はい。浅井様の所にご挨拶に」

「時間があれば・・・・という話ですが、浅井様の所には、久遠様の妹のお市様が嫁がれていますし、せっかくの機会ですので」

「そうなのですね。凄いですね、皆さんは」

とひよが、何が凄い?と聞いた所、双葉は嵐山や大文字山も越えた事はないんだと。

「かくとだに えやは伊吹の さしも草」

「さしも知らじな 燃ゆる思ひを・・・・藤原実方ですか」

「はい。本物の伊吹の山も見たいと憧れてはいるのですが・・・・行く機会などとても」

「伊吹の山って、近江だったか?」

「確か伊吹山は小谷の近くだったはずです。帰りに見えるのでは?」

「まあ・・・・羨ましい・・・・」

「双葉様は宗祇抄もお読みに?」

宗祇抄・・・・・百人一首の一つ

「はい。万葉集も、源氏の物語も・・・・」

万葉集・・・・日本最古の和歌集。全二十巻、四千五百首の歌を収録している歌本

「なるほど・・・・」

「詩乃ちゃんは読んだ事あるの?」

「嗜む程度には」

「そうですか!幽とはそう言った話も出来るのですが、お姉様はあまりお好きではないようで・・・・」

詩乃は書見が出来ると言ったら、兵法書がほとんど。孫子や六韜三略だったら、双葉も読んだ事あると言ったら詩乃は一晩でも二晩でも話ができるって。

六韜三略・・・・六韜、と三略、という兵法書。統率が上がるかもしれない。

「伊吹山がどんな山かは知らないが、実際の山の話ならひよところにも出来るよな?」

そしたら謙遜し出したが、双葉にとっては凄い事だろうけどひよ達にとっては普通な事。ここまで来る間も、色々な所を見たのかと聞かれると。

「美濃から南近江を通って、堺に寄って京に来ましたが、私もここまで来たのは初めてでした。今までは長良川や木曽川の辺りを回っていたので」

「木曽・・・・木曽路のはしのある所ですね」

「はし・・・・?橋はまあ、たくさんありますけど。木曽路の橋だと・・・・どこにあるのかなぁ?」

「ああ、やはりご存じなのですね」

「拾遺和歌集ですか」

何か盛り上がってるな。こんな感じになれば、自然と分かち合えると思うのだが。木曽路のはしというのは、橋ではなくて崖や切り立った場所に渡された木の道なんだと。

「なら、行ってみるか。さすがに伊吹山とかは無理だが、近くの山から京の街を見下ろすくらいなら大丈夫かと」

「本当ですか!?」

「一真様。一葉様からは、街の外を出るなという条件だったのでは?」

「そうですよ。護衛も私達だけですし、危ないですって」

んー、そうなんだけどな。と思っていたらひよの様子が可笑しかった。双葉に質問したら、遠出は許してもらえなかった。そしたら、ひよ達も初めて堺に行った時、南蛮の物ではしゃいでいたからなと。

「今日もまた、千載一遇の好機、という事ですか」

「詩乃ちゃん・・・・?」

「何度も言いたくはありませんが、私も友達はいませんでしたし・・・・。籠の鳥の気持ちも、少しは分かるつもりです」

そういえば詩乃も、籠の中から飛び出そうとして、籠を突き破った事があったな。ただ詩乃と双葉の違いは、規模の差はどうであれその籠から見限られる相手だったか、そうでないかって事だろう。大切に思っているから飛び出せない。でもほんの少し籠の扉が開いて、外を見せる位は出来るはず。そんな二人の言いたい事は、痛い程分かる。

「なら行くか。双葉はどうしたい?」

「行ってみたいです!か・・・・・一真様や皆さんと・・・・・見た事ない景色を・・・・・見てみたい・・・・・です」

と大きな声で決断をした。ころも納得してくれた。ひよの買い物もいつでも出来るという事で、早速俺達の出番だな。

「少しここで待っていてくれ」

といって空間の中に入ってトレミーの格納庫に来た。一応準備していたのが、出番が来たと言う事だ。

「隊長、一応準備はいつでもできていますが、任務内容は?」

「今回の護衛任務だが、双葉・・・・足利家将軍の妹さんの護衛及びあの三人の護衛でもある。全員ISを展開し、カタパルトで発進。俺も久々に黒鐵で出る」

『了解です隊長』

と言って全員展開したので、俺も久々に黒鐵ISモードになった。桜花達と違い全身装甲だけど、まあいいかと思った。カタパルトで発信し、ひよ達がいる所に降りて行った。

「一真様、どこに行ったのでしょうか?」

「ん?あれは何でしょうか」

「皆さん、上から何か来ます!」

桜花達は地面に着地した後、ひよ達は沙紀を見て安心した。が、最後に俺を見て驚いていたけど。

「あなた達は一体?」

「双葉様、この人達は敵ではありません。一真様直属部隊である黒鮫隊の皆さんです」

「この人達が・・・・。でも何やら鎧みたいなのを着ていますが、それにそこの全身鎧の方は?」

「俺だよ俺。一真だ。さてと話をしても仕方がないから桜花達はひよ達で、双葉は俺が運ぶ」

と言って、桜花達はひよ達を抱えて、俺は双葉を抱えた。その時、鉄砲の音が聞こえたと思ったら俺に当たったけど、こんなのカスリ傷だな。

「しっかり捕まっていろよ。桜花達も前進微速だ」

と言いながら、何度も鉄砲が当たっているが効かない効かない。そして、双葉達を抱えて空を飛んだ。微速だし、一応双葉達に結界を張って寒くならないようにしといた。

「こ、これは!私達空を飛んでいるの?」

「そうだよ、ひよ。正確には俺達が飛んでいるという事だ」

「これが空を飛ぶ事何ですね。あそこの山に行くのにどうして空を飛ぶのですか?」

「一応な。それに山には山賊がいるかもしれんから」

一方、烏と呼ばれた者達は、公方様の妹が攫われたと勘違いをした様子。それで、一葉と幽を呼んで行った。それで空を飛んで行った者達はあの山に行ったと言ったので、山に向かった。

「これは凄いです。街があんなに小さく見える何て・・・・!」

「凄いけど、物凄く高くない?」

「さすが一真様の部隊と言った所でしょうですが、護衛の者が何発か撃っていたのが気になります」

「まあいいと思うよ。さてとあの山の頂上に行ってみようか」

と俺達は山の頂上に行った。普通は山を登って行くが、一応なので空から降りて行ったのだった。

「わあああ・・・・・っ!」

本当に素敵な物を見た時には、余計な言葉なんて出てこない。双葉の口から漏れた歓声も、聞くだけで分かるものだった。

「凄いです。さっき京を真下から見ていた時は、小さかったのに今はこんなに見渡せる何て。想像してたよりも、ずっとずっと素敵」

「一真様。双葉様、嬉しそうですがいつまで鎧をつけてるんですか?それに沙紀さん達は今どこに?」

「ああ、連れてきて良かった。これについてはずっとだ。京に戻り次第、一度前線基地に戻ってから解除したい。それと沙紀達は透明になっているから」

「どの辺りが二条館なのですか?」

「あの一角が、そうですね」

「ここからだとあんなに小さく・・・・。あんな小さな場所で、私はずっと過ごしていたのですね」

でも小さくても今の日の本を取り仕切る場所だ。一葉の手伝いをしているんだから、あまり卑下するものではないと。

「さてとこれは水な・・・・」

四人分の水が入ったガラスのコップを渡した。そして飲んだら美味しいと。自然の水だからな。とその時、トレミーのレーダーから反応があった。これを見た俺達は双葉達の前に出た。いきなりの事で、動揺するひよ達であったが、ここは俺達が守ると言ったのでその意味が分かったのであろう。木立の向こうから姿を見せたのは、古びた鎧を纏った数名の男達だった。どこかの兵士崩れがそのまま山賊になったのであろうな。

「ンだあ?こんな所に旅人かと思ったら、ガキばっかりじゃねえか」

俺達は、今透明になっているから山賊達はひよ達しか見えていない。だが、実際はひよ達の前に俺達がいる。出てきたのは三人だけど、サーモグラフィーでの反応からして伏兵がいるとの事。

「まあいいや。金目のモンは、全部置いてってもらおうか」

「一真様・・・・」

で、こっちに来た山賊達を殴ってから俺らは姿を現した。

「な、何だぁ!」

今の俺はボイスチェンジャーで声を変えている。

「ここから先には行かせん、皆の者、参るぞ」

『了解』

と言って、桜花達は攻撃に入ったがここで銃声が聞こえた。俺らじゃないとすれば、もしかして?

「我が妹とその友たちを攫おうとは良い度胸だな」

あれ?山賊より俺らか。まあ山賊達は桜花達がやっているが、はてどうしようかな?で、山賊らは全滅したから残ったのは一葉と幽。

「双葉!無事か。おのれ、化け物の類め。万死に値する!」

双葉は俺の前に行こうとしてたが、俺が止めた。桜花達は、顔にバイザーをしているので顔は見えないようにしている。銃声が聞こえたと思ったら俺のISに当たったが、傷一つない。

「ん?何かしたかな」

「な!鉄砲が効かんだと。ではこれではどうだ!」

と言って、刀で斬ろうとするがあえて受けた。幸い刀は折れなかったが、こちらも無傷であった。

「さてと、そろそろ我らはこの御嬢さん方を京に戻すのでな。さらばだ」

と言いながら、双葉達を抱えて空を飛んで行った。山の頂上からは待て!という声が聞こえたが、まあいいだろう。

「よろしかったのですか?一真様」

「俺達だけの秘密だよ?おっと声を変えてたのを忘れてた。・・・・では二条館まで送ろう」

と言いながら空を飛び、山から見た小さな二条館に着いた後、双葉は館に戻っていった。その後、ひよ達は買い物をすると言って向かったので、俺達はトレミーに帰投した。久々に黒鐵を展開した。その後、俺は一応二条館にいる双葉の所で話してたら鎧姿をした一葉達が来た。何事か?と聞いたら、先程双葉達が黒い全身鎧に誘拐されたと聞いた俺達は、適当に誤魔化した。次の日になってから、二条館にてひよ達と一緒に掃除をする双葉だった。一葉からは、何をしたんだ?と問われたが、特に何もしてないと言った。その後、双葉と一緒にお買い物に行きたいと言ったので同行するのであった。 
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