季節の変わり目
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佐為の訪問
ヒカルは明日から復帰するらしい。記憶を戻す手助けになるかもしれないと、ヒカルのお母さんもすぐに了承したそうだ。今、ヒカルは自宅のベッドですやすやと眠っている。昨日、ヒカルは退院したのだ。ヒカルの部屋のカーテンは開け放され、晴れた空が見える。光が燦々と広がり、ヒカルの前髪をさらにきらきらさせている。まるでヒカルの復帰を祝っているようだった。
「応援していますからね」
私は小さく言った。すると、ヒカルの瞼がぴくぴく動いた。
「ん・・・」
そのまま目を覚まし、身体を起こしたヒカルは、ベッド脇にいる私を見て後ろにのけぞった。
「うわあああー!ふ、藤原さん、何でここにいるの!?」
「何となく、来てしまって・・・。ちゃんと今日ヒカルのお母さんに電話したんですけれど、ヒカルが全然起きなくて」
まさかそんなに驚かれるとは思っていなくて、私は目をぱちくりさせた。時刻は11時30分だ。ヒカルは落ち着こうと溜め息をつき、「おはようございます」と挨拶をした。
「おはようございます。いえ、こんにちはかもしれませんね。今日の気分はどうですか」
「元気です・・・」
ヒカルは恥ずかしそうに俯き答えた。寝顔を見られたのが嫌だったのだろうか。
「ちょっと顔洗ってきます」
ヒカルはそのまま一階に。私はヒカルの部屋に一通り目を通した。何だか初めて来る気がしない。こうしてここにずっと居た気がする。私は外からの光に目を閉じてしばらくの間瞑想していた。
「佐為さーん。ご飯できたわよー」
ヒカルのお母さんが下から呼ぶ声がしてすぐに一階に向かった。下にはヒカル、ヒカルのお父さん、お母さんが揃っていて、一緒にご飯を食べた。お昼ごはんはヒカルの好物のラーメンで、ヒカルははふはふと勢いよくラーメンを口に運んだ。そんなヒカルが可愛くて、私が微笑むとヒカルと目が合った。ヒカルは赤くなって目を逸らし、水をごくごく飲み始める。まだヒカルには警戒されているのかもしれない。
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