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万華鏡

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第五十六話 クライマックスその四

「それであのグループはサックスがあったのよ」
「普通キーボードじゃないんですか?」
 プラネっつのキーボードの里香の言葉だ。
「バンドですと」
「そうだよな、ロックとかポップスだとな」
「キーボードよね」
 美優と彩夏もこう話す。
「普通はな」
「それでサックスっていうのは」
「ジャズっぽいよな」
「そう感じるわよね」
「その時キーボードが殆どなかったのよ」
 宇野先輩はプラネッツの面々にこの事情を話した。
「それでサックスだったのよ。それにね」
「それに?」
「チェッカーズはアメリカンポップスバンドをイメージしてたから」
 この辺りの事情も話された。
「だからサックスなのよ」
「あっ、そういえば」
 今度は景子が言う。
「チェッカーズってアメリカの昔のバンドっぽかったですね」
「初期は特にそうよね」
「はい、結構以上に」
「中期からはまた違う感じになるけれど」
 チェッカーズの音楽は初期と中期、後期でかなり違う。自分達の作詞作曲をシングルに出してきてからが中期であり藤井郁弥が結婚した辺りからが後期だろうか。
「初期はね」
「アメリカンポップスバンドですか」
「そのイメージだったから」
 それでだとだ、宇野先輩は五人に話す。
「サックスなのよ」
「そうなんですね」
「それでチェッカーズはロックでもサックスを使ってたから」
「宇野先輩もですか」
「サックスを使ってみるの」
 そうしているというのだ。
「それでこれが中々面白いのよ」
「ううん、サックスですか」
 琴乃がここで腕を組み考える顔で述べた、
「そういえば私達って吹く楽器は使ってこなかったです」
「オーソドックスなロックのバンドだよな」
 美優も言う。
「そのタイプは」
「ギター二つにベース、ドラム、キーボードで」
 里香はプラネっつの楽器の編成を具体的に述べた。
「メインヴォーカルは琴乃ちゃんでね」
「皆それぞれ歌ってね」
 彩夏も言う。
「ロックとかポップスを歌う感じで」
「歌う曲のジャンルは色々だけれどね」
 琴乃はまた言った。
「楽器の編成はオーソドックスよね」
「そこをちょっとね」
 宇野先輩はまた話した。
「変えてみたのよ」
「ジャズですか」
「それかアメリカンポップスバンドに」
「そうした曲も演奏してみるわ」
 実際にそうするとだ、宇野先輩は五人に笑顔で話す。
「ジャズもいいものよ」
「それで私もね」
 高見先輩も五人にベースを手にして話す、今度はこの先輩だった。
「普段はキーボードだけれど」
「ベースですね」
「それにされるんですね」
「そうよ、奏でる楽器をね」
 ベースがまさにそれだというのだ。
「やってみるのよ」
「先輩ベースをされたことは」
「一度あるわ」
 高見先輩は琴乃の問いに答えた。
「本当に一度だけね」
「そうなんですか」
「そう、チャレンジしてみるの」
 高見先輩は明るい笑顔で話していく。
「あえてね」
「普段使わない楽器をですか」
「本番で」
「練習はしてきたし練習でも出来たからやってみるけれど」
 高見先輩は笑顔の中に緊張を入れて話す。 
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