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八条学園怪異譚

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第五十六話 鼠の穴その十

「この学園の責任者だからね」
「妖怪さんや幽霊さんのことをご存知で」
「そのうえで経営されているのね」
「そうだよ、何でも知ってるんだ」
 八条学園、この学園のことをだというのだ。
「そのうえで経営されてるから」
「凄い器の人なのね」
「度量が違うわね」
「地球にいるのは動物や植物だけじゃないよ」
 その他の存在もだというのだ。
「わし等もいるんだ」
「妖怪さんも幽霊さんも」
「皆いるのね」
「そう、そのことを知っているとね」
「違うわよね」
「世の中の見方が」
「そうだよ、あとね」
 ここで鉄鼠は話を変えてきた、今度の話はというと。
「君達が天井に入る時だけれど」
「あっ、その時?」
「その時のことね」
「そう、その時は気をつけてね」
 ここでこう言ったのである、二人に。
「くれぐれもね」
「脚立から落ちない様に」
「そうしてよね」
「それとね」
 もう一つあるというのだ、それは何かというと。
「スカートの中もね」
「見えない様によね」
「そのことよね」
「そっちは大丈夫だよね、女の子ならね」 
 意外と真面目にだ、鉄鼠は二人に話す。
「そういうことは気をつけてね」
「下半ズボン穿いてるわよ」
「私もね」
 二人は即答した。
「だってもう寒いから」
「体育の時の半ズボン穿いてるの」
 そうして防寒対策をしているというのだ。
「半ズボンだとスカートからも出ないから」
「それでもう穿いてるの」
「だったらいいよ」
 鉄鼠も二人の言葉を受けて納得して頷いた。
「とはいっても見えない様にじゃないんだ」
「そう、基本防寒なの」
「冷えない様にね」
 そのことからだというのは間違いないというのだ。
「神戸って寒いし」
「特に冬はね」
「それが基本に来るんだね」
「寒いの苦手だから」
「スカートって冷えるのよね」
 二人は微妙な顔になった鉄鼠にあっさりと返した。
「その対策をしないと」
「寒くて仕方がないじゃない」
「冷えると身体によくないでしょ」
「それでだけれど」
「というか二人共言っていることが妙に老けてるね」
 鉄鼠はこのことについても言った。
「何か」
「そう?皆でしょ」
「皆このことには気をつけてるでしょ」
 二人は老けているという言葉には自覚のない感じで返した。
「リュウマチとか神経痛とか」
「そういうのになるじゃない」
「おばさんじゃないんだから」
 鉄鼠は特に愛実に突っ込みを入れた。 
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