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久遠の神話

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第八十八話 強くなる水その二

 その巨大な怪物、それこそがだというのだ。
「ギリシアにおける最強にして最大の怪物よ」
「そうでしたね」
「この戦いでのテューポーンはレプリカだけれど」
「強さjはですね」
「同じよ」
 オリジナルのテューポーンとだというのだ。
「全くね」
「じゃあゼウス神と同じだけの強さでないと」
「勝てないわ」
 到底だというのだ。
「それにね」
「それに、ですか」
「貴方が今闘っているオルトロスもそうだし」
 その怪物からも話すことだった。
「ケルベロスも私もね」
「確か兄弟でしたね」
「テューポーンの子よ」
 スフィンクスは自分から言った。
「私もまた」
「オリジナルはですね」
「ええ、私はレプリカだから」
 セレネーが戦いの中で剣士と闘わせる為に作り出したレプリカだというのだ、今ここにいるスフィンクスは。
「オリジナルはもう死んでいるわ」
「エディプスとの謎比べに敗れて」
「自ら崖の底に飛び降りたわ」
 そうして死んだのだ、オリジナルのスフィンクスは。
「そして私は一説にはオルトロスの子になるわね」
「今僕が闘っている」
「そうよ」
 まさにその怪物だというのだ。
「そう言われているわ」
「そうですか」
「私の父かも知れないわ」
 そのオルトロスがだというのだ、尚母は変わらずエキドナだ。この辺りの家系図は複雑なものがあるのがギリシア神話だ。
「そうかもね」
「じゃあ僕は貴方の」
「気にしないで。私はオリジナルではないわ」
 そのスフィンクスと違うというのだ。
「あくまで私は私だから」
「だからですか」
「気にせずにね」
 そうしてだというのだ。
「その怪物を倒すといいわ」
「わかりました」
「倒しそして」
 そうしてだというのだ。
「その力を身に着けるのよ」
「そしてさらに強くなるんですね」
「次も怪物を出すわ」
「次の怪物は一体」
「ラドンよ」
 その怪物だというのだ。
「やはり私の兄弟よ」
「ラドンですか」
「百の首がある竜よ」
 スフィンクスはそのラドンについても話す。
「巨大なね」
「その竜とも闘って倒して」
「強くなるといいわ」
 オルトロスが炎を吐いてきた、二つの口から上城に向けて同時に吐いてきた。七色の炎が上城に向かって来た。
 上城はそれを上に跳んでかわしてそしてだった。
 着地する瞬間に剣を振り下ろす、だが。
 怪物は素早く、犬というより狼の動きでかわしてだった。
 すぐに態勢を立て直す、上城はその怪物を観てスフィンクスに言った。
「お話通りですね」
「強いわね」
「ただ炎を吐くだけじゃないんですね」
「そうよ、動き自体がね」
 それ自体がだというのだ。
「素早いのよ」
「そうですね、それもかなり」
「強さは攻撃力だけではないわ」
「素早さもあるんですね」
「そう、炎等の能力も防御力もあるし」 
 スフィンクスは上城にこう答える。 
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