Element Magic Trinity
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星霊合戦
「ジェラール!首洗って待ってやがれーっ!」
ナツは走る。
封印の解かれた光と闇を入れ替える魔法ニルヴァーナ。
樹海から天へと伸びる黒い光の柱・・・その場所に、因縁の相手以外の何者でもない存在であるジェラールがいると推測し、その場所へと向かう。
会わせる訳にはいかないのだ――――――エルザには。
「ん?」
走っている途中で足を止める。
視線の先には川があり、そこには見覚えありまくる人物がいた。
「グレイ!?」
そう。
川に力尽きたようにプカーッと浮かんでいるのは、レーサーと戦うべくティアと残ったハズのグレイ。
「お前何やってんだよ、こんな所で!あの速ェのはどうなったんだァ?つか、ティアは一緒じゃねーのかよ?」
そこにいるのはグレイだけで、どこを見回してもあの青い髪の曲者の姿はない。
「お・・・おい」
そして浮かぶグレイは何も答えない。
それ以前に目を閉じており、気を失っているかのようだ。
「チッ」
黒い光の柱に目を向ける。
急いであの場所に行かなければならないが、目の前で倒れる仲間を放っていく事は出来ない。
それがたとえ、喧嘩相手であろうとも。
「ったくよォ!こっちは急いでんだっつーの!起きろ!バカ」
グレイの身を引き上げながらその顔を覗き込む。
すると、グレイはゆっくりと目を開いた。
――――――何かを企むような、邪悪な笑みを浮かべて。
水が揺れる。
グレイの手には縄が握られ、引っ張ると同時に近くの木の幹に結ばれていた縄が解ける。
そして・・・足元には木と縄で造られた、3人程度乗れそうな『それ』があった。
「イカダの上!?」
しゅる、と縄が完全に解ける。
ナツとグレイはイカダの上にいた。
そして、イカダといえば―――――――
「お・・・乗り・・・も・・・おぷ」
乗り物。
そして、魔導士としては陰でティアも認めるほどの実力者であるナツの唯一の弱点といっても過言ではない弱点は『乗り物』。
それは地面を走ろうが水に浮こうが空を飛ぼうが関係なく、ナツはいつもの様に酔ってしまった。
「かかったな、ナツ。確かお前の弱点は『乗り物』だ」
「お・・・おま・・・うぐ・・・」
イカダに倒れ伏しながらも、ナツはグレイを睨みつける。
「死ね」
頭上へと上げた両手。
そこに一瞬にして氷の槍が握られる。
冷気を纏った氷の槍は、勢いよくナツに振り下ろされ―――――――
「!」
――――なかった。
ナツとグレイの丁度間、そこに1本の矢が刺さる。
「何してんのよ、グレイ!」
「であるからして、もしもし」
グレイが目線を向けた先には、人馬宮の星霊サジタリウスを召喚したルーシィを始めとする、ナツを追ってきたメンバー達がいた。
「ルー・・・シィ・・・」
「邪魔すんなよ、ルーシィ」
ゴガッと音を立て、イカダが川に落ちていた大きな木の欠片に引っかかって止まる。
「な・・・何よ、これ。まさかグレイが『闇』に落ちちゃったの・・・?」
普段とは違い、ただ冷たく言い放つグレイにルーシィは困ったような疑うような表情を浮かべる。
が、グレイ本人は薄い笑みを浮かべるだけ。
「なが・・・流れる・・・揺れる・・・揺れてる・・・」
「止まってるからしっかりしなさい!」
「ナツさん、滅竜魔導士だから乗り物に弱いんですね・・・」
止まっているとはいえ完全停止ではない。
変わらず苦しそうなナツにココロが呟いた。
「ナツ!今助けるよ!」
苦しそうな相棒を放っておける訳が無い。
ハッピーはナツを助けようと飛ぶ、が。
「フン」
「ポゲー!」
グレイが左手を向けた瞬間、ハッピーは氷漬けになり地面に落ちた。
「オスネコ!」
「ハッピーに何するんだよう!」
それを見たシャルルが叫び、ルーが仲間であるハッピーに攻撃した事に対して抗議の声を上げる。
「・ハッピーは空を飛ぶ
・運べるのは1人
・戦闘力は無し・・・情報収集完了」
が、グレイは意味の解らない言葉を呟くだけ。
「何言ってんのよグレイ・・・しっかりして・・・」
「これが闇に落ちた者・・・」
「・・・」
そんなグレイを見てルーシィとヒビキが口々に言うが、アランは怪訝そうな表情を浮かべてグレイを見ていた。
「グレイから見たルーシィ
・ギルドの新人
・ルックスはかなり好み
・少し気がある」
続けてグレイはルーシィに関する何かを言う。
何かは解らないが。
「はあ?な・・・何よ、それ」
「むぅぅぅぅっ!知らなかったよグレイ!そうか、君こそ僕のライバルかーっ!」
頬を染めるルーシィに対し、ルーは今にも飛び掛かりそうな勢いでグレイを睨む。
「・見た目によらず純情
・星霊魔導士
ほう・・・星霊ね・・・面白い!」
「!」
「ルーシィ危ないっ!」
グレイの右手がルーシィに向けられる。
一瞬にして攻撃が放たれ、ルーがルーシィを庇うように引き寄せ抱きしめた。
そして攻撃を覚悟し目を閉じた、瞬間。
「魔神壁!」
黒い光の壁がその攻撃を防いだ。
盾を張ったアランは灰色の髪を揺らしながら、ゆっくりと口を開く。
「違いますね・・・あなたはグレイさんじゃない」
「アラン君の言う通りだ。君はグレイ君じゃない。何者だ」
「え?グレイじゃない!?」
「・・・遠すぎて匂いは解らんが」
アランとヒビキの言葉にルーシィは目を見開いて驚愕し、ヴィーテルシアは首を傾げた。
「グレイから見たヒビキ
・青い天馬
・男前
・詳しく知らない
チ・・・情報不足か」
舌打ち混じりにグレイはそう言うと、ルーとアランに目を向ける。
「グレイから見たルーレギオス
・ギルドの同期
・女っぽい
・歳上に見えない
・二重人格
グレイから見たアラン
・化猫の宿
・それなりの戦闘力
・詳しく知らない」
変わらず訳の分からない事を言うグレイ。
だが、ルーシィは確信する。
(そっか・・・『闇』に落ちるのは確か善と悪の感情の狭間にいる人。グレイがそんな感情に揺れ動くハズが無い)
「貴様は誰だ。グレイの振りをするとは・・・敵か?」
ヴィーテルシアが牙を剥く。
すると、目の前のグレイは突然もこもこと姿を変えた。
背は低くなり、髪は金髪、キャミソールにミニスカート、ブーツというハッキリ言って戦いには向かなさそうな出で立ち。
腰に鞭を装備し、金髪を右上で括った姿・・・見覚えがある。
「あ!あたし!」
「グレイさんがルーシィさんに!?」
「君・・・頭悪いだろ?そんな状況でルーシィさんに変身しても騙されるハズがない」
確かにヒビキの言う通りだ。
本物のルーシィは今ここにいる訳で、そのルーシィに変身したところで騙されはしない。
「そうかしら?アンタみたいな男は女に弱いでしょ?」
が、偽ルーシィは全く動じない。
キャミソールに手を掛け、するするとたくし上げ―――――――
「うふ♪」
バッと、服を上げた。
それと同時に・・・ポロンッと、胸が露出される。
「もしもしもしもしもしもし!」
「・・・!」
「あ、ああああ大空目隠ーっ!」
「きゃあああああああ!」
「フン・・・何を騒ぐか」
「アラン君は見ちゃダメぇーっ!早く目を閉じてっ!」
「だ、大丈夫!み、見てないからっ!」
当然の如く、ヒビキとサジタリウスはその姿に釘付けとなる。
間接的にでも自分の胸を曝け出されたルーシィはこちらも当然悲鳴を上げ、ココロは顔を真っ赤にしながらアランに叫び、アランは慌てて両腕で目を隠し、ルーは噛みまくりながらも風の目隠しをし、ヴィーテルシアは唯一冷静に目を逸らしていた。
「ゆ・・・揺れてる・・・」
「確かに・・・」
「うまい事言うなー!」
「ヒビキさんも目を閉じるなりしてくださいっ!」
ナツの苦しそうな呟きを全く違う方向に捉えているヒビキを殴るルーシィと自分には全く関係ないが慌てた様子で喚くココロ。
「星霊情報収集完了。へえ・・・凄い」
「!」
服を戻しながら、偽ルーシィは感嘆の声を零す。
そして、ゆっくりと告げた。
「サジタリウス、お願いね」
その一言。
その瞬間―――――
「がはっ!」
「え?」
ヒビキの背中に、矢が刺さった。
その矢を放ったのは・・・サジタリウス。
「な・・・何よこの馬・・・!裏切・・・」
「ち・・・違いますからして・・・それがしは・・・」
シャルルが叫ぶ。
が、矢を放った張本人であるはずのサジタリウスでさえ表情を動揺と恐怖に染めている。
「ヒビキ!」
「くっ」
「大丈夫!?」
がくっと膝を折るヒビキにルーシィとルーが駆け寄る。
(まさか・・・あたしの星霊を操って・・・)
だとすれば、ここにいる全員が危ない。
そう感づいたルーシィは慌てて立ち上がった。
「シャルル!ウェンディを連れて逃げて!こいつヤバイ!」
「言われなくてもそうするわよ!」
ルーシィが言うよりも早く、シャルルは気を失ったウェンディを抱えて飛ぶ。
「アランとココロも早く!」
「で、でも私達、シャルルちゃんを追う手段がないです!」
「僕もココロも飛べませんし・・・」
シャルルが運べるのは1人。
ウェンディをどこかに置いて戻って来る、なんて時間のかかる事をしている暇はない。
すると、ヴィーテルシアが溜息をついた。
「全く・・・俺がいる事を忘れるな」
刹那、魔法陣が展開する。
ヴィーテルシアは・・・一瞬にして、漆黒の翼を生やした。
身の丈を超えるほどに巨大な翼をはためかせ、ヴィーテルシアは口を開く。
「乗れ。ガキ2人乗せて沈むほど軟ではない」
「は、はいっ!」
「ありがとうございます!」
アイスブルーの狼に2人は乗る。
慣れたようにヴィーテルシアは宙を舞い、シャルルを追いかけていった。
「ルーはヒビキをお願い!」
「任せて!」
倒れるヒビキを抱えるようにし、ルーは左手に緑の光を灯す。
「完全に回復させるのは魔力残量的に無理だろうけど・・・大空治癒!」
光がヒビキとルーを包み、2人の傷をゆっくりと時間をかけて癒していく。
「サジタリウス、強制閉門!」
「申し訳ないですからして、もしもし・・・」
それを見たルーシィはまず、操られてしまう恐れのあるサジタリウスを強制閉門する。
それに対し、偽ルーシィはピッと金色の鍵を構えた。
「開け、人馬宮の扉」
呼び出されたのは―――――
「サジタリウス!」
「お呼びでありますか、もしもし。え・・・あれ?」
「えーーーーーーっ!?」
「馬ーーーっ!」
今さっき、数秒前にルーシィが強制閉門したサジタリウスだった。
思わず目を見開いて驚愕するルーシィとルー。
「あの飛んでるネコと狼、殺して!」
「いや・・・しかし・・・それがしは・・・」
ウェンディを抱えるシャルルはともかく、ヴィーテルシアを殺す必要はないのだが、偽ルーシィには関係ない。
その命令にサジタリウスは戸惑いを隠せず声が震えた。
「強制閉門!」
「無理よ、あたしが呼んだ星霊だもん」
「そんな~」
自分の星霊であるにも拘らず閉門できない事にルーシィは悔しそうな表情を浮かべる。
いくら姿がルーシィであろうと別人。他の星霊魔導士が呼んだ星霊を閉門できるのは召喚した人間だけだ。
「早くあのネコと狼撃ちなさいよ!」
「うぐぐ・・・」
偽ルーシィの命令に動揺するサジタリウス。
所有者の命令は絶対。目の前に立つのは偽物であろうと所有者である。
が、命令を実行する訳にはいかない。
どうしようもない矛盾にサジタリウスは戸惑い―――――――
「もういいゾ。ニルヴァーナが見つかったって事は、あのガキの役目も終わってるって事だゾ。狼とガキ2人は関係ないからどうでもいいゾ」
樹海の木々の奥。
そこから、少女のものと思われる声が響いてきた。
「そっかー」
「うおっ!」
その瞬間、偽ルーシィがぶよぶよと煙のようになる。
サジタリウスは召喚していた偽ルーシィが消えた事により強制的に星霊界へと返還された。
「「ピーリッ!ピーリッ!」」
偽ルーシィはポンッと2体の人形のような姿へと変わる。
そして樹海の奥から・・・天使が現れた。
「は~い、ルーシィちゃん。エンジェルちゃん、参上だゾ」
白い羽を思わせる服装に天使の輪を思わせるようにくるんと回ったアホ毛。
その少女の名は『エンジェル』。
六魔将軍の1人だ。
「六魔将軍!?」
「コイツっ・・・!」
目の前に現れた討伐対象にルーシィは目を見開き、ルーは開いている右手人差し指でエンジェルを指さした。
が、ルーは現在ヒビキと自分の怪我を治している為動けない。
「このコ達はその人間の容姿・能力・思考、全てコピーできる双子のジェミーとミニー」
「「ピーリッピーリッ」」
声と共に踊るジェミーとミニー。
「ジェミーとミニー?」
「双子宮の星霊ジェミニ。私も星霊魔導士だゾ」
エンジェルが自分と同じ星霊魔導士だと知り驚愕しながらも、ルーシィは冷静に状況を確認する。
(あたし達が決して『闇』に落ちないように・・・六魔将軍に善の心が宿る事もない!そんな甘えた考えじゃやられる!)
考えながら、ルーシィは目線を動かす。
その先にはヒビキを抱えるようにして傷を治すルーがいた。
(ヒビキもルーもナツも戦えない。あたしがなんとかしなきゃ!ギルドが危ないんだ!)
自分より明らかに高い戦闘力を持つナツや、攻撃が苦手といえど自分より戦闘経験があるであろうルーは今頼れない。
その事実を再確認しながら、ルーシィは覚悟を決める。
(幸い、ここは川・・・水がある!ついてるわ)
自分とエンジェルの間に広がり流れる川に目を向け、鍵の束に手を掛ける。
「私・・・君の持ってる鍵が欲しいの。ルーシィちゃん」
ルーシィは黄道十二門を6体持つ。
黄道十二門の鍵は世界に12個しかない。
欲しがるのも頷けるが、ルーシィはそれを無視する。
「開け!宝瓶宮の扉・・・」
「ジェミニ、閉門」
バシャバシャと音を立て、ルーシィは川の中へと入っていく。
それに対し、エンジェルはジェミニを星霊界へと帰した。
「アクエリアス!」
鍵の先を川の水へと突き刺す。
鐘の音と共に魔法陣が展開し、そこから水瓶を大事そうに抱えた人魚アクエリアスが召喚された。
「やっちゃって!あたしも一緒で構わないからっ!」
「最初からそのつもりだよ!」
「最初からって・・・」
遠慮も配慮もないアクエリアスの物騒な言葉にルーシィは少なからず引く。
「全員まとめて吹っ飛びなァ!」
鬼の形相とはまさにこの表情。
恐ろしいまでの表情で水瓶を振るい、荒れ狂う水で全てを流そうとするアクエリアス。
が、エンジェルは全く動じず、鍵を構える。
「開け、天蝎宮の扉」
その鍵の色は、金。
「黄道十二門!?」
「え?」
構えられた鍵の色にルーシィは驚愕し、天蝎宮という言葉にアクエリアスが反応する。
「スコーピオン!」
その間にも星霊界の門は開かれた。
鐘の音と共に魔法陣が展開し、そこから現れたのは―――――
「ウィーアー!イェイ!」
ANTARESと描かれたサソリのような尻尾を模した銃を持った、いかにもチャラそうな男性・・・スコーピオンだった。
「スコーピォぉぉん♪」
「はいいっ!?」
「えーーーーっ!」
すると、スコーピオンを見たアクエリアスの態度が一変する。
先ほどまでの恐ろしい形相はどこへやら。猫撫で声を出している。
「ウィーアー、元気かい?アクエリアス」
「私・・・さみしかったわ。ぐすぐす」
「・・・!」
「えーっと・・・あれ?」
今まで見た事のないアクエリアスの姿に絶句するルーシィと、先ほどまでのアクエリアスと比べて首を傾げるルー。
「ま・・・まさか・・・」
「私の彼氏♪」
「ウィーアー、初めまして。アクエリアスのオーナー」
「キターーーーー!」
以前から何かと話に上がっていたアクエリアスの彼氏を見たルーシィは叫ぶ。
というより、叫ばざるを得ない。
「スコーピオンの前で余計な事言ってみろテメェ・・・お?水死体にしてやるからな・・・そこの坊主もだ」
「はい」
「りょ、了解です」
猫撫で声が消え失せた。
恐ろしい形相に戻ったアクエリアスの言葉に恐怖で頷くルーシィとルー。
「ねぇん♪お食事に行かない?」
「オーロラの見えるレストランがあるんだ。ウィーアー、そういう訳で帰ってもいいかい?エンジェル」
「どうぞ」
ラブラブムード全開でルーシィとエンジェルに背を向けるアクエリアスとスコーピオン。
「ちょ・・・ちょっと!アクエリアス!待って!」
が、ここで帰られてしまっては困る。
契約する中で最強の星霊といっても間違っていないほどの戦闘力を持つアクエリアスが帰ってしまっては大変なのだ。
「いやーーーー!」
だが、時既に遅し・・・というか聞いちゃいない。
アクエリアスはスコーピオンと共に星霊界へと帰ってしまった。
「星霊同士の相関図も知らない小娘は私には勝てないゾ」
「きゃっ!」
「ルーシィ!」
そこに容赦なくエンジェルの平手打ちが決まり、ルーシィは川の中へと倒れ込んだ。
(どうしよう・・・最強の星霊が封じられた・・・)
髪を結んでいたゴムが切れ、リボンと共に川に流されていく。
水の中に倒れながら・・・ルーシィは気づいた。
(いや・・・もう1人いるじゃない!最強の星霊)
ルーシィは立ち上がり、次の鍵を構える。
「開け!獅子宮の扉!ロキ!」
「王子様参上!」
現れたのは獅子宮のレオ。
否―――――妖精の尻尾の魔導士であり、ルーシィと契約する星霊でもあるロキだ。
「レ・・・レオ・・・」
「ロキだぁ!」
ヒビキは面識があるのか信じられないものを見るような表情を浮かべて呟き、ルーは満面の笑みで右手を突き上げる。
「お願い!アイツを倒さないとギルドが・・・!」
「お安い御用さ」
ルーシィの言葉に余裕の表情のまま言うロキ。
が、表情が余裕なのはこちらも変わらない。
「クス。言わなかったかしら?大切なのは相関図」
小さい笑い声を零し、エンジェルは金色の鍵を構える。
「開け、白羊宮の扉」
その言葉に、ルーシィとロキ、ルーは目を見開く。
開かれた門をくぐって現れたのは―――――
「アリエス!」
くるんと曲がった羊の角。
モコモコのワンピースにピンク色の髪、弱気そうな表情。
「ごめんなさい、レオ」
申し訳なさそうに謝る、少女の星霊。
彼女の名はアリエス。
かつてはロキと同じ青い天馬の星霊魔導士カレン・リリカと契約していた星霊。
カレンから酷すぎる仕打ちを受けて来た少女。
そして・・・ロキが助けたかった存在。罪を犯して星霊界を追放された切っ掛けともいえる存在だった。
「アリエス・・・」
「カレンの星霊・・・」
「ど、どういう事?アリエスって確か・・・」
ロキ、ヒビキ、ルーが呟く。
「そ・・・そんな・・・これじゃロキまで戦えないじゃない」
ロキにとって戦う事の出来ない相手。
どれだけの力があろうとも倒す事の出来ない存在の登場に、ルーシィは声を震わせた。
後書き
こんにちは、緋色の空です。
ジェミニはコピーできる人のストックが2人。
ルーシィとグレイで2人なんで、もし3人出来たらティアをやっても面白かったかな・・・と考えてみたりもしましたが出来ないんですよね。悔しい。
先の話ですが、天狼島編。
ナツとティアを戦わせたいけど、ギルダーツのセリフがカッコいいんでそれが出来ない。
あー・・・どうしよう。あのセリフはギルダーツが言うからカッコいいんだしなぁ。
感想・批評、お待ちしてます。
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