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魔法少女リリカルフィア(リメイク)

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無印編
  第五話 いざ湯の町。温泉へゴーなのだ。


謎の少女の襲撃から数日後、フィアは春亮とともに商店街で買い物をしていた。

「なあハルアキ、さっきもらったこれは何なのだ。」

フィアが手に持った一枚の紙切れをふりながら言った。そこには“福引券”と書いてある。

「ああ、実は今商店街で一定の値段以上を買うと福引券がもらえるんだ。」

「福引券?」

「ああ、その券を福引の会場まで持って行くと福引、つまりくじ引きに挑戦できるんだ。ハズレならティッシュとかが、当たりなら旅行券とか新型の家電がもらえる。」

「ふむ、つまり私達にはその福引をする権利が与えられたわけか。」

フィアが福引券をまじまじと見ながら言った。

「よしハルアキ、私達も挑戦するぞ!」

そして、フィアはそのまま走って行こうとする。

「まあ待て。」

が、春亮が後ろから彼女の襟首を掴んで止めた。

「い、いきなり何をする。首が締まるではないか。呪うぞ!」

「落ち着けって、まだ買い物が残っているからそれを済ませてからだ。」

「むう、なら仕方あるまい。それに、まだおせんべを買っていなかったからな。」




買い物を済ませた二人は、早速福引の会場に来て列に並んでいた。

「なあハルアキ、賞品に高級おせんべとかはあるか。」

「いや、流石にそんなのは無いだろ。」

「何だと!お前にはおせんべの素晴らしさが解らんと言うのか!」

「いや、別にそういうわけじゃないって。」

そうやって話していると、ついに二人の番がやって来た。

「ハルアキ、この妙な道具は何だ。」

フィアが福引のガラガラを指差しながら聞いてきた。

「これはレバーを回すとそこにある口から玉が出るんだ。で、玉の色からハズレとか何等とかを判断するんだよ。」

「そうか・・・なあ、私が回してもいいか?」

「別にいいぞ。でも、あんまり勢い良く回すなよ。」

「よおし…」

フィアは早速ハンドルを握り、回し始める。そして2、3回すと青色の玉が出てきた。すると、係の人がハンドベルを鳴らしながら大声で言う。

「おめでとうございまーす!ペットOKの温泉旅館、二泊三日の旅へ四名様ご招待!」





「控えおろう、頭がたかーい!」

家に帰るとフィアは、居間でテレビを見ているこのはと黒絵、それにユーノに向かっていきなりこう言った。

「どうしたんですかいきなり。」

「時代劇ごっこでもしちょるん?」

「ええと、新しい遊びですか?」

フィアの行動の意味が分からず、困惑する三人。

「ふん、これを見てもそう言ってられるか?」

そんな彼らに対し、フィアはポケットからさきほど福引で当たった旅行券を取り出した。

「ふははははは、私のくじ運を思い知ったか!」

フィアがそう言うと、黒絵だけがへへぇ~と言いながら彼女にひれ伏す。

「何やってんだよフィア。」

すると、フィアの後ろから春亮が現れた。早速、このはが春亮に尋ねる。

「あの、春亮君。これは一体・・・」

「ああ、実はフィアのやつが商店街の福引で温泉旅行のチケットを当てたんだよ。二泊三日だけど次の休みが三連休だから丁度いいし、行こうと思ってな。」

「へえ、いいですね。でもユーノ君はどうするんですか?」

「それなら大丈夫、ペットOKの旅館だから。」

「ペットって…」

「仕方ないよゆーのん、まだ魔力が回復してないんじゃろ。」

ペット扱いされ、落ち込むユーノを慰める黒絵であった。





旅行当日、春亮達は列車で移動していた。目的地の旅館は比較的近場にあるのだが、やはりそれなりの長旅になるので彼らは暇つぶしにトランプをしていた。ちなみに、ユーノはペットという扱いなのでケージに入れられている。
まず最初に春亮達はババ抜きをしていた。今はフィアが黒絵からカードを引く番だ。フィアが手を伸ばすと、黒絵は一枚のカードを目立つように上に突出させる。すると、フィアは迷わずそれを引いた。

「な!?ジョーカーだと。図ったな黒絵!」

ババを引いてしまったフィアが黒絵を指差しながら叫ぶ。

「そんなのに引っかかるのはあなたくらいじゃないんですかねえ。」

そんな彼女に対し、このはが呆れながら言った。

「なんだと!」

「こら、他のお客さんに迷惑だから騒ぐなって。」

言い返そうとするフィアであったが、春亮に注意されてしまうのであった。
この後、フィアは黒絵が使ったのと同じ手を使ったが誰も引っかからず、ババ抜き連敗記録を更新したのであった。




列車が目的の駅に着くと、春亮達はバスに乗り換えて旅館に向かった。旅館に着くと、早速フィアが大はしゃぎする。

「ハルアキ、ここが旅館か!温泉というのはどこだ。これか?」

「それはただの池だよ。ほら、鯉が泳いでいるだろ。」

「相変わらず騒がしいですね。同じように初めての温泉なのに落ち着いているユーノ君を見習ったどうなんですか。」

「そうでもないですよ。僕もワクワクしています。」

「そう言えばさ黒絵、放浪している時もこういう所に泊まったりしたのか?」

「ウチは持ち合わせを考えてなるべく安い所に泊まっちょったからねえ。こんな立派な所には泊まれんかったよ。」

一同はそうやって喋りながら旅館の中に入って行った。




旅館に入った春亮達は、まず受付へと向かおうとする。

「あれ?春亮君達も来てたの。」

その時、誰かが声をかけてきた。その方を向くと一人の美少年が居た。その後ろでは白穂が最悪だわといいながら頭を抱えている。

「あ、ここペットOKだからユーノ君も連れて来たんだ。」

少年がケージに入ったユーノを見ながら言った。

『あのフィアさん、この人誰なんですか。前に会った記憶が無いんですけど。』

見覚えの無い少年が自分を知っていた事に疑問に思ったユーノが、念話でフィアに聞いた。

「あ、そう言えばこっちで会うのは初めてだったね。」

すると、“少年が答えた”。
念話を聞かれた事でユーノは驚き少年を警戒するが、フィアは“別の意味”で驚いた。

「“サヴェレンティ”、お前ユーノの声が聞こえたのか!?」

「サヴェレンティさん!?」

思わぬ名がフィアの口から出た事で、ユーノは思わず声を出して驚いてしまう。

「こらユーノ、ここは人目が有るんだからあまりしゃべるな。」

声を出したユーノを春亮が小声で注意する。

「いや、だってサヴェレンティさんって女の人でしたよね!」

「落ち着けって、前にサヴェレンティもフィア達と同じって言っただろ。」

「ええ。」

「サヴェレンティは呪われた道具としての性質で男にも女にもなれるんだよ。正式な名前が“王権を果たす完全人形(サヴェレンティ・パーフェクション・ドール)”だからな。」

「そ、そうなんですか。」

「ちなみに、シラホとサヴェレンティは恋人同士だぞ。」

すると、フィアが説明を付け加えた。

「ええ!そうなんですか!?じゃあ、ここに来たのもその…」

「多分、デートじゃろうね。」

「ええ、そうよ。」

その時、サヴェレンティの後ろで頭を抱えていた白穂が会話に参加してきた。

「この前酷い目にあったから心のケアもかねてここに来たの、“ふたりっきり”で。貴重な連休だからそれを利用して思う存分サヴェレンティ分を補給しようと思ったのに、それを無神経に無意味に無目的に阻んできた邪魔者をどうすればいいのかしら。」

そう言うと白穂は春亮を睨みつける。

「人間、私があなたに求めるのは次のうちどれかよ。一つ目、永遠に息を止めること。二つ目、永遠に心臓を止めると。三つ目、生きる事をやめること。」

「全部一緒の内容じゃねえか!落ち着けって、俺たちがここに来たのは、福引でここへの旅行券が当たったからで…」

「そう、いつも厄介ごとに巻き込まれる不幸体質のくせに、どうしてそういう時だけ運が働くのかしら。その運を世の中の不幸な人達に分け与えた方が世のためになるわ。」

春亮が言い訳をするが、サヴェレンティとの二人きりでの旅行を邪魔された白穂の怒りは収まる事を知らなかった。

「あわわわわ…」

ユーノにいたっては彼女の鬼気に当てられ、ケージの中でガクガク震えている。

「しーらーほっ」

すると、サヴェレンティが白穂の肩に横から抱き付いた。これは別に春亮を助けたわけではなく、いつものスキンシップだ。

「早く部屋に荷物を置いて温泉入ろう。」

彼にそう言われると、白穂はマッハで表情を恋人に対しての幸福いっぱいの物に変える。

「そうね、行きましょう。」

そして二人は受付へと向かった。




白穂達が受付を済ませて部屋に行った後、春亮達も受付に行き部屋の鍵を受け取った。

「流石に部屋は白穂の隣じゃないよな…」

春亮が不安そうに言った。同じ旅館にいるだけであんな事を言われたのだ。もし部屋まで隣だったら口だけでなく手を出してくるかもしれない。

「あいつらの隣だと何が困るのだ?」

フィアが訳が分からないといった感じで聞いてくる。

「そんな事より早く温泉いこ。」

すると、いつの間にか浴衣に着替えていた黒絵が会話に割り込んで来た。

「そ、そうだな。確かここはペットを連れて入浴出来るから、ユーノも連れて行こう。」




浴衣に着替えた一同は、早速温泉に向かった。

「あれ、フィアちゃん達もこれから温泉?」

すると、入口の前で浴衣姿の白穂とサヴェレンティに遭遇した。

「そうだが。サヴェレンティ、今は女モードなのだな。」

フィアの言う通り、現在サヴェレンティは女バージョンになっていた。

「うん、白穂と一緒に入りたいし。」

「そこの人間と一緒の風呂に入れさせるわけにはいかないわ。」

「ハハハ…」

白穂の毒舌を聞いて春亮が苦笑する。

「あれ?ユーノ君も温泉に入るの。」

その時、サヴェレンティが、春亮がユーノを抱えているのに気付いた。

「ああ、ここはペットと一緒に入浴出来るからな。」

「そう言えばそうだったね。じゃあ、一緒に入ろうよ。」

フィアが答えると、サヴェレンティは“ユーノを抱えて”女湯に入っていった。

「ちょっと待て、そいつ一応男だぞ!」

春亮が彼女を追おうとするzが、このはに首根っこを掴まれ止められた。

「何をドサクサに紛れてふしだらな事をしようとしているんですか。」

「このハレンチ小僧め。」

「人間、やはりあなたは虫けらに生まれ変わるべきね。今すぐここで。」

そして、彼女の他にフィアと白穂も春亮を睨んできた。

「いや、慌ててたからつい。それより早くユーノを連れ戻さないと…」

「分かっています。ここは私達に任せて下さい。O・HA・NA・SHI はお風呂から出てからしますから。」

「・・・ハイ。」




春亮を男湯に行かせたフィア達は、ユーノ救出のため女湯の脱衣所に入る。

「あ、遅いよ白穂、それに皆。」

が、もう既にサヴェレンティは裸になり、もがいているユーノを抱えて浴場に入ろうとしていた。

((遅かった…))

(ゆーのん、君の事は忘れんよ。)

春亮に構っている間にすでに取り返しのつかない所まで行ってしまったが、過去をどうこう言っているばかりではいけない。前に進まなければ…

「サヴェレンティ、そいつは一応“オス”だから男湯の方に行かせるべきじゃないのか。」

フィアが前に出て言った。

「え?でもフェレットなんだし、別にいいと思うよ。ボクも気にしないし。」

(いや、そいつの正体を知ったら絶対気にするぞ。何よりユーノの奴の命が危ない。)

「それよりフィアちゃん。ボクは先に入っているから!」

そう言って、サヴェレンティは浴場に“走って”行く。そこでフィアはこの先に起きるトラブルを予想した。

「おい待て!こんな所で走ったりしたら…」

「うわっ!?」

案の定、サヴェレンティは転んだ。慌ててフィアがその下に回る事で助かったが、ユーノはその隙に逃げる。

「あ!?待ってよユーノ君!」

サヴェレンティはそのまま彼を追おうとするが。白穂と黒絵それにこのはが止めた。

「待ちなさい。そんな格好で外に出るつもりなの。」

「あ!?」

自分が裸だと思い出したサヴェレンティは顔を赤くする。

「大丈夫じゃって、ゆーのんはきっと男湯の方に行ったから。」

「そうそう。ユーノ君の事は春亮君に任せましょう。」




一方、男湯にいる春亮は浴衣を脱いでこれから浴場に入る所である。

「ん?何だあれ。」

その時、別の客が言った。それを聞いた春亮が振り向くと、ユーノがこちらに向かって走って来るのが見えた。そして彼は春亮の前まで来ると、その肩に飛び乗る。

「お、無事に脱出出来たみたいだな。」

春亮は安心しながらユーノに話しかけるが、ユーノはうつむいている。しかも、心なしか顔が赤かった。

「・・・まさか見たのか。サヴェレンティの裸。」

春亮がそう言うと、ユーノは黙って頷く。

「・・・お前、もし正体が白穂にばれたら殺されるぞ。」

その言葉を聞いて、ユーノは青ざめた。白穂は二人きりの旅行を邪魔されてあれだけの殺気を放っていたのだ。もし、自分が実は人間である事がばれたら恋人の裸を勝手に見たという罪状で確実に殺される。刃物を持ってじりじりと迫って来る白穂を想像して、ユーノは震え上がった。

「まあ、心配するな。バレなきゃ大丈夫だ。」

(全然大丈夫じゃありませんよー!!!)

心の中で叫ぶユーノであった。



続く
 
 

 
後書き
温泉編の前半は戦闘無しのほのぼのです。フェイトとアルフは後半で登場します。

そして、実は折れてなかったユーノ淫獣フラグ!
私はユーノの実力とか人間性は認めているんですが、同時に『ユーノ=淫獣』というのは『銀魂の新八の本体はメガネ』というのと同じで『この世界の真理』と考えているのです。

あと、何気にサヴェレンティに魔力がある事が今回分かりましたが、デバイスを手に入れるのはA'sに入ってからです。でも一応、デバイス無しで出来る簡単な魔法の使い方はユーノに教わります。

そして、まさかのこのはの『O・HA・NA・SHI 』
これはリリなの名物であるはずなんですが、この作品では出せないと考えていました。しかし、何故かなのはポジであるフィアではなく、このはが使ってしまいました。
もともと出せないと思っていた理由が、フィアが『O・HA・NA・SHI 』とか言っている所が想像出来ないというものでした。ですが、このはに言わせると何故かしっくりきてしまいました。・・・どうしてこうなった。 
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