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寂しきロックンローラー

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第三章

「アキレス腱なんてな」
「暫くここから出られないよな」
「退院は結構早いけれどな」
 それでもだとだ、ラビルは今度はドワンゴに答えた。
「全治半年だよ」
「アキレス腱は治るのに時間がかかるからな」
「スポーツ選手でもやばい怪我だからな」
「ああ、相当な」
「仕方ねえな」
 苦い顔で言うラベルだった、ここでも。
「どうしたものだよ」
「休んでろよ」
 ドワンゴはそのラビルに笑って返した。
「御前の穴は俺が完璧に埋めてやるからな」
「おいおい、言うな」
「暫くそこで寝てろよ」
「本当にそうしてていいんだな」
「ケーキでも食ってな」
「ケーキだけじゃなくてアイスも貰うか」
 ラビルは笑って自分の好きな食べ物をまた出した。
「後はステーキもな」
「病院でそんないいもの出ないだろ」
「差し入れてだよ」
「差し入れてでステーキなんて出るかよ」
 こう返すドワンゴだった。
「そんなことは退院してから言え」
「退院してからか」
「そうだよ、とにかくな」
「今はかよ」
「休んでろ、本当にな」
「わかったよ、じゃあな」
 ラビルは相棒の言葉に少し大人しくなった、そして。 
 ソーサーもだ、こう彼に言った。
「とにかくね」
「ああ、大人しくしてろっていうんだな」
「そうよ、半年の間ね」
「これじゃあセックスもできねえしな」
「上に乗ってもらうとかはなしよ」
 ソーサーもラビルの冗談に乗って言う。
「貴方そうしそうだから」
「というか言われて気付いたよ」
「それも怪我によくないから」
「本当に半年大人しくなんだな」
「そうしなさい、いいわね」
「じゃあ半年の間退屈な時間を過ごすか」
「ゲームでもしてね」
 それ位しかなかった、今の彼が時間を潰す方法は。
「それか本を読むことね」
「俺本読まないからな」
「俺もだけれどな」
 ラビルもドワンゴもだ、二人共読書はしない。音楽雑誌やそういったものは読むが。
「ゲームにするか」
「ああ、とにかくその間レコーディングとかはなしでな」
 仕事のことも伝えるのだった。
「テレビとかラジオは俺だけでやってくからな」
「その間はか」
「そういうことでな」
「じゃあ精々頑張れよ」
 ラビルは笑ってドワンゴにこう告げた。
「御前も怪我しねえようにな」
「馬鹿、御前とは違うんだよ」
 そこはというのだ。
「ヘマするから」
「そう言うと怪我するんだよ」
「俺がそんなことになるかよ」
 病院でこうした軽いやり取りを経てだった、そして。
 ドワンゴは一人で頑張ることにした、そうしてだった。
 テレビもラジオも一人だった、彼は一人だけで仕事をしていった。
 コレーディングやコンサートはなかった、そちらはラビルが戻って来るまで延期だった。この日ラジオの生放送を終えてから。
 彼は局を出る時にだ、こうソーサーに漏らした。 
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