【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
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役者は踊る
第七一幕 「貴方を振り向かせたくて・中編」
前書き
自分の小説の点の入り方を分析してみた。
分析の結果読者が求めているのは・・・
①シリアス②モッピーのノロケ話③佐藤サン×ベル君 ということが判明した。
どういうことなの。
前回のあらすじ:3人寄ればなんとやら
「・・・来たか」
「お、お前たち何やってるんだ・・・?」
そこにはどことなく新撰組ちっくな法被を着た鈴、箒、ラウラが立ち塞がっていた。
混乱する一夏を尻目に鈴が一歩足を踏み出し、中国拳法っぽい構えを取った。
「のさばる悪何とする!?」
「天の裁きは待ってはおれぬ!!」
続いてそこはかとなく楽しそうな箒が木刀を構えて一歩踏み出した。そしてそれに続いてラウラもファイティングポーズをとりつつ足を踏み出す。
「学校の秩序も当てにはならぬ・・・ならば!」
「我ら『BHM団』がッ!!」
「少年の安息を守るために!」
「世にはばかる変態共を、その手で裁いて仕置きする!!」
「「「さあ!死にたい奴から・・・かかってきやがれぇぇぇぇ!!!」」」
びしぃぃぃぃっ!!!
3人はそれぞれバラバラなポーズをとりつつも絶妙なアングルと位置を取って戦隊モノのヒーローさながらのフォーメーションを取ってみせた。ジョウの考案したIS展開を応用した光源によって見事に逆光を再現しており無駄に本格的だ。鈴は大真面目、箒はノリノリ、ラウラは小声で「ちょっと恥ずかしいな」などと呟いている。
「・・・何なんだ、この微妙に異様かつ奇妙な異形は?」
「分からんのか、一夏」
「あ、ああ」
「この戯けが!」
「何で!?普通分からねえよ急に幼馴染が奇行に走り出したら!?」
これではさっぱりわからないと思うので説明しよう。
佐藤さんのプランにはまず、こう書かれていたのだ。
―――織斑君は現在ベルとも会に傾倒しているから今のままではデートに誘うのは難しい。正攻法は勿論遠回しな誘いでも乗って来ないであろう彼を振り向かせるには実力による妨害しかない。が、妨害しようにも人数差がありすぎて相手にされない可能性がある。ならば、こちらも徒党を組めば妨害はより確実なものになるだろう。
幸いベルとも会の実働部隊は基本的に人数が少ないので最低2人の協力者がいれば何とかなる。
だが、ただ徒党を組んだだけではただのお邪魔虫なのである程度相手に意識されるような大義名分が必要だ。ではその大義名分はどうするか・・・心配せずとも私にいい考えがある。それは―――
「佐藤さんから話は聞いてるわよ、悪名高きベルとも会!ベルーナ少年が嫌がっているにも拘らずしつこく付き纏い悪行三昧の魑魅魍魎共め!」
「我等3人!佐藤さんよりデッケンの護衛を承りし戦士たちは、お前らの活動を認めない!!」
「よって我等『BHM団』は、お前たちに決闘を申し込む!父直伝のCQCで目にモノみせてくれる!」
一糸乱れぬ口調でつらつらと喋る3人。鈴とラウラは予め脚本を読み込んで台詞を暗記しているが箒だけはアドリブである。時代劇のノリが好きなんだそうな。そしてラウラはノってるのかノってないのかどっちなのやらシャドーボクシングの動きでファイティングアピール。
それはさておき一夏とのほほんには戦慄が走った。佐藤さんより選ばれた、ということは彼女たちBHM団は教務補助生公認の部隊ということになる。顕現的にも状況的にもあちらの方が正義・秩序に近いと言っても過言は無いだろう。
「どうしようのほほんさん!佐藤さんを本格的に敵に回しちゃったよ!!」
「それはどうかな~?」
「へ?」
情けない表情で頭を抱えた一夏に、のほほんさんはいつもよりちょっぴり真面目な顔で言った。
「さっき“決闘を申し込む”って言ってたよね?完全な学園公認ならわざわざ挑戦しなくても実力行使で取り締まれるはず・・・という事は、佐藤さんはきっとBHM団を“ベルとも会の行き過ぎた活動を抑制する組織”として作ったんじゃないかな~?ほら、本人は参加してないみたいだし~」
「確かにそうも考えられるな・・・」
「決闘に関してはきっと勝敗如何でその日の活動ができるかできないかを決める、一種のエンターテインメント性を持たせてるんだと思うよ~」
実の所、のほほんの推測は概ね当たっている。BHM団はベルとも会の活動抑制効果を持つと共に、決闘に勝てばその日は活動を続けても構わないという相手方の逃げ道もちゃんと用意されている。娯楽に飢える学生にとっては決闘もいい刺激と言えなくもないし、大義名分も最低限押さえている。
「おいこら一夏!聞いてんの!?勝負を受けるの!?受けないの!?」
「・・・よっし!ベルとも会設立者にして不動の実働部隊長、織斑一夏様がその勝負受けて立つ!のほほんさん、万さん!」
「や~ってやるぞぉ~!」
「フフフ・・・この時を待っていた!」
(新人さんノリがいいなぁ)
―――さて、そこまでいって上手く相手を乗せられたら次の段階に行こうか。なぁに、織斑君なら適当に煽ってやればすぐに熱くなって食いつくよ。何もしなくたって乗ってくれる可能性はあると思うし。
ここからがポイントなんだけど・・・ここで『罰ゲーム』を相手に要求する。ここは間違っても省かないでね?罰ゲームという曖昧な形で約束を提示しておけば、一度乗った相手側もそう簡単には退けない。言葉の響きからもそこまで深刻なものとは思わないだろうと思う。何故罰ゲームなのかって?それはね―――
「なお!負けたら罰ゲームを受けてもらうわよ?文句ある?」
「無いね。何故なら俺達は勝つからだ!!」
よし、乗った!と鈴は内心でガッツポーズをとった。
言質は取れたのだからもう一夏が無視したり逃げる事は出来ない。残る問題は―――自分が勝たなければ意味がないという事。・・・いや、負けるものか。意地でも勝利を勝ち取って、一夏に私という存在を無視できないように刻み付けてくれる!!
「む・・・お前は確かトーナメントで谷本と組んでいた・・・マルルだったか?」
「万春々よ!はるると呼ばれてはいるけどマルルとかいうポ〇モンみたいな名前じゃない!!忌まわしき鈴音がここを快く思っていないという情報を得てすぐさま入団したのよ!!嫌がらせのためにね!!」
「お、応・・・何というか、陰湿なはずなのにそこまで言い切られるといっそ清々しいな・・・」
「ふむ、その神経の図太さ・・・評価に値する」
びしぃっ!と鈴に指を突きつけて不敵に笑うお団子ヘアー少女に、曲がったことが嫌いな箒も思わず苦笑いしてしまった。ラウラはラウラでずれた事を言っているが、そこで決して「馬鹿じゃないのか?」と言わないのが彼女たちの優しい所なのかもしれない。
「しかもまさかそっちから決闘を仕掛けてくるとはね!今日という今日こそは貴方を這いつくばらせ、私の栄光の代表候補生への道を閉ざしたことを後悔させてやるのだぁー!!うははははぁっ!!」
「ちなみに抽選で選ばれなかったらどうする気だったのだ?」
「真の決闘者は運と執念があれば引きたい数字を引けるのよッ!!!」
鈴が「だれだっけあいつ」と首を傾げているあたり完全に小物キャラではあるが、その驚異的な豪運は評価されるべきなのかもしれないと思う箒。そしてのほほんさんはというと・・・
「ほう、更識を支えるというあの布仏か。噂によると忍者に次ぐ戦闘力を持ち、死後の世界をその名の由来としたとまで言われる“MEIDO”の秘技を使えると聞き及んでいるぞ?」
「それ絶対ガセ情報だと思うなぁ~・・・」
ラウラに絡まれていた。ちょっと面白かったので箒は敢えて訂正しなかったとか。
かくしてBHM団とベルとも会の決戦の幕が切って落とされた。
ベルとも会側全員の心に『BHM』って結局何なんだ?という巨大な疑問を残しながら・・・
そのころベルーナ本人は・・・
『あなたがベル坊の言っていた女狐ね!?おのれよくも私の手の届かぬところでベル坊を惑わしてぇぇッ!!どうせあれなんだろう!ベル坊が寝ている隙にこっそり抱きしめたりちょっとキスしてみたり写真を撮ってニヤニヤしたりしているんだろう!風に吹かれて寄りかかってきたベル坊の匂いをクンカクンカしたり食事で汚れたベル坊の口元を「しょうがない子ね」なんて笑いながらナプキンで拭ってあげたりしているんだろ!?こっそり間接キスしたりとか!!だめなんだぞ!ベル坊の世話は私の方が昔から焼いていたんだぞ!お風呂だって入れてあげたしベル坊の事で知らない事なんて無いんだぞ!それを、それをお前は!独り占めなんて絶対に許さないぞぉぉーーーッ!!』
『お、落ち着きなさいアングロ!素数を!素数を数えるのです!!』
『わー馬鹿馬鹿!モニターが壊れるから暴れんなっておい!!』
どたん!ばたん!ばきん!
「ええっと・・・愉快なお友達だね?」
「普段は煩いけど・・・困った時には一番助けてくれる、最高の友達」
「・・・ベル君嬉しそうな顔してる~」
祖国の友達に同居人を紹介していた。つまり保健室にはいない。無論佐藤さんもこうなるであろうことを見越して敢えて一夏にこのことを教えていなかったりする。哀れ。
後書き
BHM団=ベル君を変態の魔手から守る団
アングロさんは残念美人の類。ベル君が絡まなければもっとクールビューティーっぽい感じの人です。実家は金持ちで婚約者とかいるけどガン無視してます。IS学園に行かなかったのは当時のベル君がIS無理だったからというそれだけの理由。
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