鉄槌と清風
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9部分:9:立場と弾丸
9:立場と弾丸
はやてから誘われた日の夜、偶にはという事で高町家で夕食をご馳走になり、その後なのはが何か用事があるというので、引っ張ってこられた。
やはり、眠かったからといって、「そっちに全部任せる、あとよろしくっ」、は通用しなかったようだ…今から転送するから、アースラのトップの人とも話合って、どうするかちゃんと決めてくれ、との事だ。
「話は判ったけど、クロノがトップじゃなかったのか?」
「違うよリンディさんって言う、クロノ君のお母さんが艦長さん、この間は色々いそがしかったみたい」
「ふーん、クロノの母さんってことは、俺の母さんとかと同年代かね」
「あ、それなんだけど、クロノ君て、14歳なんだよ」
「……え、マジで、なんか俺クロノに親近感が沸いてきたよ」
「にゃはは、よしくん、背きにしてるもんね」
「なのはじゃなかったら、一発いっとくか?ってコースだったな、うん」
「あわわ、ごめんごめん、さっき念話で連絡したから、もう直ぐ連絡くるよ」
「念話?何それ?」
「あれ、したことないっけ…えーとね、(よしくん、きこえる?)」
「うぉっl、頭に声が」
「(これが念話、魔導師なら、誰でもできるはずだっていってたよ)」
「なぬ…どうやるんだ」
「(相手を思い浮かべて、心の中で念じるか…緊急時とかは、誰でもいいからー、って考えると聞こえる範囲の人には聞こえるって)」
「ほうほう、えーっと…(なのはーきこえるか、こうか?)」
「(そうそう、聞こえてるよ、これで授業中でもお話とかできるよ)」
「(なるほど、便利ではあるな、ウィンドウが出るのは話しやすいけど、誰かに見られると、まずいんだろうし)」
「(そそ、だから近くに人がいる時はこれでね)」
「(了解、しかし、そうするとこれ、結構遠くまで届くんだな)」
「(そうだね、あ、そろそろ転移させるけど良いかって)」
「(ん、あぁ、そっちに連絡がきたのか、こっちはオッケーだ)」
「(うん…じゃぁ、クロノ君おねがい)」
そして、室内が光に一瞬包まれて。
次の瞬間には、アースラの転送ポートに出現する。
「いらっしゃい、なのはちゃんと、八坂良彦君よね?」
出てきて直ぐにかかった声は聞き覚えが無い女性の声で、緑の長い髪の毛を、後頭部でくくっている、若い女性…額になんか文様がある。
「あ、はい、八坂良彦です」
慌てて、一礼。
「ご丁寧にどうも、私はリンディ・ハラオウン提督です、このアースラの艦長をしています」
そういうリンディの後には、なぜか困った顔のクロノが立っていて、肩を落としている、何かあったんだろうか?
「ささ、こちらへどうぞ、話合いの席を用意してあるから」
そういって、リンディさんは歩き出すので、遅れないように歩き出しながら、小さい声で…
「クロノ、いきなり一番偉い人がきたっぽいんだけど、なんで?」
「かぁ…提督は、そういう人なんだ」
「苦労してるっぽいな」
「ははは…なれたよ」
暫くして、一つの部屋まで案内されていった。
部屋に入った瞬間感じたのは違和感…白い未来チックな壁に対し、床には赤い敷物、見える位置に盆栽、茶の湯の席でみられる日よけの傘、室内なのにししおどしの音が響いてていたのだ。
「なぁ、なのはこの勘違い日本感バリバリな空間はなんだ?」
こそっときけば
「リンディさんのお部屋で、私も最初迎えられたときはこうだったよ、たしか『現地の人の慣れ親しんだ空間を作ることで、会話を潤滑にする』とか」
「なれてないから、というかびっくりだよ!」
「どうしました、二人とも…どうぞ、座ってください」
「あ、はいほら、よしくん」
「はぁ、わかりました、お邪魔します」
二人も、正座で其処へ座り。
「はい、どうぞ粗茶ですが」
と、しっかり立てられた抹茶と羊羹をだされたので
「あ、ありがとうございます」
素直にお礼をいいながら、固まった。
あれは何をしているんだろう…抹茶に砂糖とミルクを入れている。
「なのは、なのは、あれは?」
「リンディさん、甘いのが好きなんだって」
「だが、あれはないだろう…いや、個人の好みか」
小声で言い合い、クロノもそのようすを見て苦笑している。
「それで、お話なんですけれど」
「あ、はい…なんでしょう?」
「良彦君、魔導師登録はいいのだけれど、一般の魔導師登録だと、地球では魔法が使えない事になるんだけど良い?」
「えーと、詳しくおねがいします」
「えぇ、まず地球はこちでは管理外世界にあたるの、管理外世界では基本的に管理局の許可無く魔法を使用できないの、あと管理外世界への渡航も禁止されています」
「ふむふむ」
「なので、管理局に一般魔導師登録すると、魔法はつかえません…渡航は、元々地球の人だから、そこに居ることはできるのだけれど」
「それじゃ、一般じゃなくて、魔法とかも使えるようにするには?」
「そうね、管理局に入局するか、なのはさんみたいに嘱託魔導師になるか、ね」
「入局は、学校もあるし、パスで、嘱託っていうのは?」
「現地での協力者ね、何か事件があったときは局員の指示で動いてもらう事になるわ…ただし、局員が居なくても魔道士などが自分のいる世界で事件を起こしたら、独自にもうごけるの」
「ようするに、嘱託なら…俺以外の魔導師、たとえば、なのはが街を破壊した、とかしたら、魔法使ってとめても良いと?」
「ちょっ、よしくん、わたしそんなことしないよ!」
「たとえだ、地球でなのは以外魔道師しらないから」
「まぁ、その場合も魔法使用は許可できるわ、後は次元犯罪者なんか逃げ込んで事件起こした時なんかも」
「ふむ…所で、嘱託って年齢とかいいんですか、なのははなってるみたいだけど、俺も9歳だよ」
その瞬間一瞬クロノからの視線が優しくなった気にするが無視。
「えぇ…哀しいけど、管理局は慢性的な人手不足で、ある程度実力があれば、子供でも就労できるようになってるの」
「なるほど」
「とはいえ、此処は管理外世界だし、そうそう次元犯罪者がきたりはしないから、魔法を使わないなら、一般でも十分よ?」
「……いえ、嘱託でおねがいします…魔法は使いたいですし、一応なのはも心配だし…なにかどじしそうで」
「って、どじとかしないよ、酷いよよしくん」
「そうだな、どじはしないが、無茶はするんだよな」
「く、クロノくん、しーー!」
「ほほう、無茶はしたのか、後でそこ等辺くわしく頼むな、クロノ」
「あぁ、実例は知ったほうが良い」
「ふぅ、判りましたじゃぁ、八坂良彦君…時空管理局嘱託魔導師として、登録します、此処にサインと、こっちに掌をおしつけてね」
出てきたウィンドウに、渡されたペン?でサインし、大きな円の部分に掌を乗せる。
「はい、これで完了よ…それで、他に質問とかあるかしら?」
「あ、そうだ…これって、なんですか?」
言われて取り出したのは、ゼピュロスが出てきた箱に入っていた、ケースで、開けると中には細長い筒が12本入っている。
「これって…」
リンディは一本を取り出し眺め
「エイミィ、これ…あれかしら?」
ウィンドウが現れ、人懐っこい笑みを浮かべたエイミィが映し出される。
「そうですね、ベルカのカートリッジだと思いますけど…いま管理局にあるのとは、一寸規格がちがいますね、ゼピュロス用じゃないでしょうか?」
「やっぱりそうよね…良彦君、ベルカ式カートリッジシステムの事は聞いたのよね?」
「はい、でもこの間此処で魔法使った時は、ゼピュロスにカートリッジ無かったみたいで」
「そう、これがゼピュロスのカートリッジよ、一応使い方の説明をさせるから、聞いていってね」
「はい、ありがとうございます」
「これが、カートリッジなんだー…なんか、テレビとかで出てくる拳銃の銃弾みたいだね」
「そうだな、俺もあの箱にはいってなきゃ、そう思ってたと思うぞ」
「あぁ、地球では質量兵器が使われてるんだったな」
「そうね、とはいえ管理外世界だから此方からは手を出せないわね」
「とりあえず、カートリッジの使い方と準備方法、どっちも一緒にやっちゃおうよ、クロノ君」
「そうだな、訓練室でいいだろう、いこう」
「頑張って頂戴ね、良彦君」
「はい、がんばります」
艦長室を出て、思わず
「なぁ、なのは…リンディさんて、14の息子がいるんだよな?」
「そうだね、クロノが14歳だから」
「桃子さんも若いけど、あの人も若いなぁ」
「にゃはは、たしかにそうかもね」
などと、のんきな会話をしながら、訓練室へ。
カートリッジへの魔力の込め方、カートリッジの使用訓練を行ったのだが…『貫き』は危険だった、上がった魔力分速度もあがり、訓練室の壁に衝突したのだ…
「カートリッジ使って『貫き』はもうしねぇ」
とは、壁に打ち付けられ戻ってきた良彦の一言だった。
また、カートリッジは使用後、吐出するのだが…予備がないため、排出はやめて、後で抜き取り、入れ替える、という手間のかかる方法になった事も付け加える。
管理局のカートリッジは、規格外で使えなかったかららしい…どうやら、形式が古く、聖王教会辺りじゃないと無いだろうといわれた。
「で、聖王教会って、なんだ?」
だが、それを聞くには時間切れ…前回の反省を踏まえ、0時前にはなのはと一緒家に帰ったのであった。、
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今回はアースラメインスタッフが一応登場…クロノはあんまり会話はなかったものの、一寸通じ合いました。
次回は、はやての家への及ばれ予定です。
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