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真似と開閉と世界旅行

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起死回生~

 
前書き
遂に仮免許&卒業式です!長いようで短い三年間でした・・・ま、僕のことは置いといて。ではどうぞ! 

 

「本気、なんだな」

「この状況で洒落を言う余裕はねぇよ」

俺と咲はお互いに武器を突き付けたまま話す。

「・・・解ってるだろ。ここで俺達のどっちかが・・・」

「死んだらリーチってことだろ。・・・解ってんだよ、んなことは。だけどな、やるしかないんだ、俺は」

・・・確かに、人質の数が多すぎる。アイツなら一人や二人は・・・

「お喋りは終わりだ。・・・行くぜ、亮」

「・・・くそっ!」

咲が方天画戟を振り払う。それを擬音で弾く。


「ふっ!」

身体を捻って回し蹴りを放つが咲はそれを腕で受け止める。

「らぁっ!」

逆回転して擬音で斬りつけるが咲は避けて方天画戟の石突き部分で顔面を狙ってくる。

ガキン!

人解で防ぐがそのまま吹き飛んで距離が開く。

「猛虎獣衝撃!」

「ダークファイガ!」

闇と気がぶつかり、相殺される。

「くっ・・・はぁ・・・ふぅ・・・」

「どうした・・・息が上がってるぜ、亮・・・」

さっきの戦闘で気が少なく・・・

「・・・はっ、お前だって本気じゃねえだろ、咲」

「・・・お前にはAモードを使う必要もねぇよ・・・」

・・・どうやら咲も体力的にキツイらしい。よく見ると顔に疲労の色が浮かんでいた。

「短期・・・決戦だな」

気が少なくなってる今なら・・・使える。

「はぁぁぁぁ・・・」

気と魔力を均等に調整する。身体を鍛えて気が増加しすぎたせいで使う機会がなかったのだが・・・

「咸掛法!!」

身体が多少軽くなる。

「チッ・・・そういやそんな技能持ってたな・・・ならBモードだ!!」

咲の姿が変わる。

「なんつーか、久々だな。この姿でテメェと殺るなんてな」

「あぁ。ったく、なんでこうも争うのかな」

口は軽く、目は相手を睨み、手は武器を握り締める。・・・何をやってるんだ、本当に・・・

「てぇぇやぁぁ!!」

擬音を振り下ろし、弾かれたなら瞬動で背後に回って拳を放つ。

「ちょこまかと・・・!」



咲は武器を鎌に変形させ、不規則な軌道で攻めてくる。

「ふっ!はぁっ!」

「ぐっ、この・・・」

カァン!キィン!



形状的にあまり近くで刃を受けると身体に刃が届いてしまう。出来る限り弾き飛ばし、つばぜり合いには持ち込まないようにする。

「っと・・・!オラァ!」


合間を狙って気弾を放つが咲は咄嗟に身を捻って回避する。

「そこだ!」

跳び、叩き付けるように拳を放つ。

ガァン!

「ぐはっ・・・」

咲が吹き飛ぶが、左手を地面に叩き付けてブレーキをかけた。


「やってくれんじゃねえ、かっ!?」

ドゴォン!

瞬動で踏み込み、今度は腹に叩き込む。そして・・・

「気功破!」

ズン!

「がっは・・・」



もう一発・・・!

「ザケん・・・な!」

ガキィン!


咲が腕を出し、擬音と競り合う。

「なろっ!」

地面を蹴り・・・咲の目に砂をかける。

「っぐ・・・てめぇ!」

気配を消し、無心となって背後に回る。

「(・・・終わりだ)」


『・・・っ・・・!・・・咲さん!背後右四十五度!!』


「っ・・・!!」

ガキィン!

「なっ・・・!」

「調子に・・・!」

咲に弾かれ、隙が出来る。咲は腕に溜め・・・

「しまっ・・・」

「乗ってんじゃねぇ!!」

ズガァァン!

「っが・・・!」

闇をぶつけられ、そのまま地面を転がる。


「ぐっ、ち、畜生・・・がはっ!」

血を吐き出す。・・・中にまでダメージが入ったのか。

「リパル・・・」

『オイラには黙って見ている事なんて出来ないッス。今やってることはおかしいッスけど・・・オイラは咲さん信じるッス。咲さんはもう無意味なことしない筈ッスから・・・』


「・・・サンキュー、リパル。これなら確率が上がる」


「はっ・・・また・・・二対一か・・・?」

気合いで立ち上がり、擬音を逆手に持って右手で迷切を引き抜く。


「二人で一人と思ってくれよ。リパル、剣だ」

『ッス!』



咲がダークリパルサーを持ち、手斧を空間に投げ入れる。

「・・・っ!」

俺は瞬動を使おうとするが・・・

「閉じろ」

それよりも速く、咲が目の前にいた。

「・・・!!」

「そんくらいの芸当なら俺も出来るんだよ!」

ビュン!

ギリギリで避ける。

「っぶな・・・いな!」

踏み込み、擬音を振り下ろしてから迷切で切り上げる。

ガキキン!


「っ・・・ハァァ!」

横一線。それを逸らして蹴りを叩き込む。

ガツン!

「ぐっ・・・やっぱり真っ向勝負じゃ分が悪いか」

『距離を開きながら隙をつくッス!』

「ああ!」

咲が手に銃を持つ。

「タイトバレット!」

「うっ!?」

飛来した銃弾を弾いていく。・・・やっぱりこっちのが咲らしい戦い方か・・・!

「射出!」

「なぁ!?」

更に大量の武器が飛んでくる。それの対応に気を取られ・・・

『っ、今ッス咲さん!』

「応よ!」

咲が飛び込んでくる。

「コイツ・・・がっ!?」


飛来した武器が擦り、よろめくが・・・それでもなんとか立ち直して咲の一撃を弾く。



「ふらついてるぜ、亮!」

「抜かせ!」

そのまま乱舞を繰り返し、お互いに距離を開く。


「・・・これ以上は面倒だ。・・・決めるぜ、亮」

「ああ・・・これで終わりだ」


擬音を突き刺し、迷切に全ての気を注ぐ。


「・・・!」

咲も闇を全て剣に集め、構える。



「ハァァァァァ!!」

「デヤァァァァ!!」


お互いの一撃が当たると、激しい光と爆発音が全てを呑み込む。


「・・・っ!!」

地面を滑り・・・なんとかブレーキをかける。

「咲は・・・っ」


煙に包まれ周りが見えない。集中して咲の気を探ろうとした瞬間・・・

「“開け”」

ズン


・・・背後から、声。視界には、自らの体から生える刃。

「・・・マジか・・・」


そう、俺は呟いた・・・・・・






































咲~

「・・・わりぃな、亮」


「・・・く・・・あ・・・」


空間から取り出した刀が亮を貫き・・・亮はそのまま倒れた。


「くく・・・はは・・・はーっはっは!!」


シンが笑い、俺を見る。

「本当に殺しちゃったよ!怖いねぇ、咲くんはぁ!簡単に親友を殺しちゃうなんて!」

「・・・天秤にかけたら亮が軽かった。・・・それだけだ」

「うんうん、いい考えだよ!っと、とりあえず・・・見てもらおうか」


パチン、と指を鳴らすとみんなを閉じ込めていた闇の壁が消滅する。

「・・・っ!!」

真っ先に反応したのは春鈴だ。亮を見た瞬間、膝を着く。

「亮・・・様・・・?」

確実に胸元・・・心臓を刺し貫かれているであろう位置。・・・人間なら死ぬだろう。

「嘘、ですよね・・・?そんな・・・え・・・?どうして・・・」

どうやら思考が追い付いていないようだ。

「早貴・・・お前・・・」

キリトが変なものを見るような目で俺を見る。いや・・・ほぼ全員が亮と俺を怪訝な目で見ていた。・・・“ありえない”とでも言いたそうに。


「ちょ、ちょっと待ってよ・・・リパル!亮は死んでるの!?」


シィが聞くとリパルは言い淀み・・・

『っ・・・亮さんは心拍、脈拍、共に停止・・・死亡ッス・・・』


「な・・・き、キリエぇっ!?」

「アル・・・!」


シィとクラナがそれぞれのデバイスに聞くが・・・

『・・・残念ながら』


『相棒・・・結果は変わりません』

「「・・・!」」


自身のデバイスにすら言われ、二人は沈黙する。

「早貴ちゃん・・・どうして・・・どうして亮を・・・!」

「殺るしか道がなかった。・・・言い訳はしない」


いや・・・理由なんてとっくに理解してるだろう。


「・・・リョウが・・・」

みんなの目に・・・悲しみ。

「あははは!いや、本当お見事だよ、咲!」

「・・・だったら・・・!」

愛依が亮に向けて手を向けるが・・・

「“止まれ”」

「うっ!?あぁぁぁ!?」

シンが言うと愛依は頭を抑えてうずくまってしまう。

「そんなの使ったら興醒めじゃないか。・・・もうその力は没収しちゃおっか」

シンが言うと愛依から何かの光が出てきて、それはシンと一体化する。



「さて、と。お疲れ様・・・と言っておこうかな?」

シンが俺に近付いてくる。

「・・・随分不用心に近づくんだな」

「君程度の攻撃が僕に届くと思うのかい?」

「・・・試してやろうか?」


「おぉ、恐い恐い。ただ・・・あまり調子に乗らない方がいいんじゃないかなぁ?」

シンが俺の真っ正面に立ち・・・俺に蹴りを入れた。

「ぐっ・・・!?」

「ムカつくんだよ、その顔・・・さーて、第2ラウンドに行こうか?」

「なんだと・・・!」

「あっはっは!誰が亮だけって言ったかなぁ!?このまま君達には殺しあいをーーーーーー」

シンの言葉が止まる。何故かって?簡単だ。

「な・・・に・・・」


シンの身体に・・・迷切が突き刺さっていた。よろめくシンの背後にいたのは・・・

「やっと隙を見せたな・・・この屑野郎が・・・!!」

「亮、様・・・!!」


亮だ。亮が背後からシンを貫いていた。

「ば、バカな・・・!確かに心臓を貫かれた筈だ!君は闇は・・・」

すると亮はニヤリと笑って刺さった刀を指差す。

「ああ、これ?・・・よく見ろよ」

亮がシャツのボタンを外す。するとそこには・・・空間があった。

「俺が本当に亮を殺すと思ったか?最後の開閉能力は武器を取り出すのだけが目的じゃなく、亮の前後に空間を出す為だったんだ」

「後は咲がそこに的確に刃を通すだけ。・・・そして油断した馬鹿を貫くって作戦だ」


「で、ですが亮様・・・リパルさん達は・・・あっ!」

「・・・まさか、アル!?」

「キリエっ!?」

『すいませんッス・・・嘘、ついたッス』


『申し訳ありません、相棒。的確な筈のリパルのサーチでああ言ったので・・・』

『咄嗟にこちらも乗っかってみました』

「「・・・」」

シィとクラナが自分のデバイスの発言に口をひきつらせる。


「貴様・・・貴様ぁ・・・!!」

シンが怒りで顔を歪め、その場から消える。

「な・・・」

そして少し離れた位置に現れ・・・

「この・・・虫けら風情がこの僕に・・・またこの僕に傷をつけたなぁ・・・!?」

「おうおう、随分余裕がなくなったじゃねぇか」


「それで、ここからどうするのよ?」

「・・・考えてない」

「はぁ!?」



闇風が驚く。

「いや・・・正直さっきの戦闘で気がすっからかんでさ・・・」

『でしょうね。相棒が気を感知できませんでしたから』

「アルが余計な事を言ったから先入観で・・・」

「んで、俺も闇を使いすぎた。・・・正直喋るのも気だるい・・・」


なんとかこの場を気合いで乗り越えないとな・・・


「遊びは終わりだ・・・!椿、明命、恋!コイツらを皆殺しにしろ!!」



三人が集まる。

「(不味い・・・!)」

だが・・・次の瞬間、椿が倒れた。

「・・・え?」

誰かが発した声が辺りに響く。椿の背後に・・・手刀を使ったであろう、明命の姿。

「な、なに・・・?」

明命は・・・口を開いた。

「ーーーそうですね。遊びは終わりにしましょう」


「な・・・っ!?」

恋が闇の刃をシンに向ける。シンはそれを障壁で防ぐが・・・

「・・・弱い奴は、死ね」

障壁ごと・・・シンを吹き飛ばした。

「・・・邪魔です、私の前に立たないで!」

そのまま流れで、明命は障壁が張られてない部分に瞬間で移動し・・・横一文字に切り裂いた。

「がぁっ・・・!?」





シンが吹き飛び・・・空中で体制を立て直した。

「明命・・・?」


「恋・・・?」


俺達が声をかけると・・・明命は笑った。

「はい。周幼平、ここにありです!」

「・・・咲、久しぶり」

その顔と声は・・・俺達の知る彼女達だった。

「な、何故だ・・・何故僕の洗脳が解けたんだ・・・!?」

「そんなの簡単ですよ」

「・・・恋達は元からお前の言いなりじゃない」

「た、確かに君たちは精神的に追い込んで・・・」

「亮があんな簡単に死ぬわけありません」

「・・・咲も同じ」

「ですが、このまま耐えていても仕方がありませんから・・・賭けに出ました」

賭け・・・?

「・・・演技をして、お前の技に耐える」

「結果はご覧の通り・・・あなたは簡単に騙されただけではなく、私たちを強化してしまった」

「・・・後は時を選んで動くだけ」

「それが今来た・・・ということなのです」



「そ、そんな訳が・・・再生させたとはいえ、傷だらけの体で想い人を・・・?」


「私の思い込みかもしれませんが亮は・・・どんな私でも、愛してくれます」


「思い込みじゃないさ・・・心が明命なら、俺は明命を愛し続ける」


「家族の絆はそんなもんじゃ断ち切れない・・・だろ?恋」

「(コクッ)」

「こ、この・・・こうなったら・・・閉じ込めた全ての人間を消滅させてやる!!」

「無理ですよ。・・・あなたが檻として使用していた世界は既に紫さんが発見したでしょう」

「・・・恋達がやったのも、全部紫の所に送った」

「なにぃ・・・!?」



「あなたの詰みです。諦めて・・・」

「・・・コケにしやがって・・・こうなったら・・・!!」

シンが言うと辺りが震え出す。

「この感じ・・・まさか!」

「そうさ!こうなったらこの世界ごとお前たちを消してやる!!」


「くっ・・・」


辺りが裂け始めたその時・・・新たに大きく空間が裂けた。その中から・・・


「亮さん!」

「咲!」

・・・亞莎と詠が飛び出してきた。

「亞莎!」

「え?・・・あぁ!?明命!?ど、どうして・・・」

「・・・詠、久しぶり」

「は・・・なぁ!?あ、アンタ・・・なんで・・・!?」

亞莎も詠も困惑してるみたいだが・・・

「と、とにかく!紫が逃げ道を繋いでくれてるわ!」

「みなさんはこのスキマに飛び込んで下さい!」

それぞれがスキマの中に飛び込んで行く。明命は椿を、恋は愛依を抱える。

「この子達は引き取らせて頂きます」

シンは歪んだままの顔で笑う・・・

「いいさ・・・椿の力なんて僕でも使える・・・そんな奴等はもう用済みだ・・・!・・・それよりも、どうせ真実を話すんだろう?椿達は耐えきれるのかなぁ」

「・・・明命?真実って・・・」

「・・・後でお話します。・・・行きましょう、亮」

「あ、ああ・・・」

「覚えておけ・・・必ず消してやる・・・」


その言葉を聞きながら俺達はスキマに飛び込んだ・・・ 
 

 
後書き

「明命!」

明命
「ただいまです、亮」


「本物・・・なんだよな」


「・・・偽物に見える?」


「いいや、本物だ」


「今回は演技だらけだったなぁ・・・それに真実って・・・」

明命
「それは次回のお楽しみなのです!」


「・・・次回も、見て」

明命
「それでは!」 
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