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魔法少女リリカルフィア(リメイク)

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無印編
  第四話 それは不思議な出会いだった


放課後、夜知家のメンバーと錐霞はバスである場所に向かっていた。

“ふれあいわんにゃんパーク”

犬や猫を始めとした動物と触れ合えるテーマパークで、ペットといっしょに入場する事も可能だ。
今回彼らが来たのは遊ぶためでは無い。理事長からそこでジュエルシードが見つかったと聞いたからである。

「まさかあんな所にあるなんてな。」

春亮が呟いた。

「ええ、でも発動する前に見つかって良かったです。もし後手に回っていたら大惨事になっていたかもしれませんし。」

「今回ばかりはウシチチに賛成だ。前の犬についたやつは巨大化した上、凶暴化したからな。」

「ここでもそうなる可能性が高いというわけか。」

このは、フィア、錐霞が順番にしゃべる。それに続いて黒絵が言った。

「確か、見つかった場所は子猫のいるコーナーの近くといっちょったねえ。」

「じゃあ、着いたらそこに直行するべきだな。」





ふれあいわんにゃんパークに着いた一同は、入場券を買うとさっそく中に入った。久々にここに来たフィアは目を輝かせている。

「フィア、解っていると思うけど、遊びに来たんじゃないんだからな。」

「わ、分かっておるわ、呪うぞ!」

「フィアさんってホント動物が好きなんですね。」

フィアの反応を見てユーノが呟いた。

「一日三回はゆーのんを撫で回しているからねえ。」

黒絵のその言葉を聞いて、ユーノは苦笑する。本当は人間である彼にとって、あれはとても恥ずかしいのだ。




子猫のコーナーへと着いた一同は、ジュエルシードを探し始める。

「確か、この近くの林の中って聞いたけど…」

そして、春亮達が林の中に入ろうとする。

「すみません!」

その時、係員の一人が声をかけてきた。春亮達は自分達が林に入ろうとしているのを見て、注意しに来たのだと思ったが

「あの、子猫が一匹脱走してしまって、見かけませんでしたか?」

「いえ、でも見かけたら捕まえておきますけど。」

「そうですか。ではお願いします。」

そして係員は去っていった。




春亮達は林の中を探し回るが、ジュエルシードは中々見つからない。

「結構広いな、ここ。」

春亮が息を吐きながら言った。

「いったい、見つけた人はどういう状況でここに入ったんじゃろうねえ。」

「理事長の話では、脱走した子猫を探している時に見かけたらしい。」

黒絵が呟くと、錐霞がそれに答えた。それを聞いたこのはが心配そうに言う。

「さっきも子猫が脱走したって言ってましたけど、ここの管理は大丈夫なんでしょうか。」

その時

ザザッ

フィアの近くの茂みが揺れた。

「な、何だ!?」

フィアはそれを見て身構える。そして、そこから出て来たのは…

「にゃ~」

一匹の子猫だった。

「猫ではないか、驚かしおって。」

「さっき言ってた脱走したやつか?」

春亮は、捕まえるために近づこうとする。だが…

「にゃっ」

子猫は逃げてしまった。

「あ!待て!」

春亮は慌ててそれを追う。それを見たユーノが叫んだ。

「ま、待って下さい春亮さん。今はジュエルシードを…」

「あの子猫がのそのジュエルシードに触ったりしたらまずいだろ!」

「うっ…」

ジュエルシードの探索が優先のユーノであったが、逆に正論を言われ黙ってしまった。

「はあ、しょうがないですね春亮くんは…」

「仕方ない、私たちも追うぞ。」

そして、一同は春亮とともに子猫を追った。




が、結局子猫を見失ってしまった。

「全く、わざわざジュエルシード探しを中断したというのに、馬鹿げている。」

「ご、ごめんいいんちょーさん。」

錐霞に注意され、頭を下げるしかない春亮であった。

「まあいいさ、とりあえずジュエルシード探しに戻ろう。」

「そうだな。」

一同はジュエルシード探しを再開しようとする。その時…

「「これは…」」

フィアとユーノが何かを感じた。

「気をつけろ、ジュエルシードが発動したぞ!」

「何だって!」

「そんな、こんな所で…」

自分達が間に合わなかった事に春亮達はショックを受ける。

「ここは僕に任せて下さい!」

そこで、ユーノが魔法陣を展開した。

「どうするのだ。」

「この辺りを封鎖結界で隔離します。そうすれば一般人に被害は出ません。」

そう言って彼は結界を展開する。それにより景色が色褪せ、今までふれあいわんにゃんパークの方から聞こえていた喧騒も聞こえなくなった。

「これで大丈夫だと思います。」

「でもお前、もう魔法を使ってもいいのか。」

フィアが心配そうに言った。
ユーノがフェレットの姿をしているのは魔力の回復のためなので、無理をさせてしまったのではないかと思ったのだ。

「はい、これくらいの魔法を使えるだけの魔力はもう回復しています。」

「そうか、なら行くぞ。レイジングハート、セットアップ!」

〈Stand by ready set up〉

フィアはレイジングハートをセットアップし、ジュエルシードの反応のする方へと向かった。春亮達もそれについて行く。そして、その先にあったのは…

「にゃ~お」

巨大化した猫であった。しかも、先ほど逃がしたやつである。

「なあユーノ、あれって…」

「多分、あの子猫の“大きくなりたい”っていう願いをジュエルシードが正しく叶えた結果だと思いますけど…」

「いや、全然正しく無いだろ。」

ユーノの推測に春亮がツッコミを入れた。

「でもまあ、このまま放っておく訳にもいきませんし。」

「ああ、早く封印するべきだな。」

「分かっている。」

このはと錐霞に言われ、フィアはレイジングハートを構えて封印魔法を発動させようとする。だが、その時・・・

ドンッ!

「にゃっ!?」

突然、どこからか電撃を纏った魔力弾が飛来し、猫に直撃した。それにより猫はバランスを崩して地面に倒れる。

「な、何だ!?」

フィア達は魔力弾の飛んで来た方を見た。そこには小学生くらいの女の子が居た。黒い衣装を身に纏い、金髪の髪をツインテールにしている。その手には黄色い宝石の埋め込まれた機械的なデザインの黒い戦斧のような物を持っている。

「な、なんだあのハレンチな格好をした奴は!」

少女の衣装のデザインを見てフィアが叫んだ。少女が纏っている衣装は、黒いレオタードの水着のような物をベースに、腰には白いスカートにそれを固定する赤いベルトが巻かれ、さらに背中にはマントをつけていた。

「あの衣装のデザインをした人は中々なセンスをしちょるね。」

一方、黒絵はそのデザインに感心していた。

「そんな事言っている場合では無いでしょう!」

「このは君の言う通りだ。」

このはは手刀を構え、錐霞は自分の所有する禍具“黒河可憐”を服の袖口から伸ばし、臨戦態勢に入った。

「・・・同系統の魔導師、ロストロギアの探索者…」

少女がフィアを見て呟いた。そして今度は視線をレイジングハートに移す。

「バルディッシュと同じインテリジェントデバイス。」

そして、ユーノは少女の言葉を聞いて確信した。彼女は自分と同じ次元世界から来た人間だと。

「ロストロギア、ジュエルシード・・・申し訳ないけど、いただいて行きます。」

〈サイズフォーム〉

少女の持つデバイスが変形し、戦斧の刃にあたる部分が展開して黄色い魔力刃が生じ、死神の鎌のような形になる。そして、少女はそのままフィアに襲いかかろうとする。

「私達を無視しないでくれませんか。」

だが、先にこのはが手刀で斬りかかった。少女はとっさにデバイスで防御するが、その手応えが手刀の物とは思えない重いものだったので困惑する。

「モード・カオティック忠盛!」

「黒河可憐!」

その隙に黒絵と錐霞がそれぞれ髪と革ベルトを伸ばし、相手を拘束しようとする。少女はすぐこのはから離れ、魔力刃で髪と革ベルトを切断した。

「そこだ!」

〈ディバインバスター〉

フィアはさらにその隙をついて砲撃魔法を放った。

〈ソニックムーブ〉

だが、少女は高速移動魔法を発動させ、それを躱した。そしてそのままフィアに接近し、デバイスを振るう。そこでフィアはとっさにレイジングハートを盾にして防御した。

「お前は何処の何者だ!一体何が目的なのだ!!」

フィアは襲撃者の少女に言葉をかける。

「答えても、意味がない。」

「そうか!」

だが、話す気は無いようだった。フィアは少女を突き放し、一旦距離をとる。

(あまりこれは使いたく無かったが…)

そう考えながら、フィアはレイジングハートを左手に持ち替え、右手で四角い物体を取り出した。それはルービックキューブである。
彼女には禍具としての能力で、立方体もしくはそれにほとんど近い形の物体から“自分の分身”をつくる事が出来る。しかし、まだ彼女は呪いが解けていないため、使用すると暗黒面に引っ張られ暴走する危険性があるのだ。
一応、抑えられるようにはなったがリスクがある事には変わり無い。なので、レイジングハートを手に入れてからはなるべく使わないようにしていた。
しかし、レイジングハートには接近戦用のモードが無いため、拷問具を上手く使った接近戦をメインにしてきたフィアには少し使い辛かった。獣同然の暴走体にはそれで十分だったが、知性のある人間が相手だとそうはいかない。

「偽装立方体展開(エミュレーション・スタート)!」

フィアがそう叫ぶと、ルービックキューブは1辺1メートルほどの鋼鉄の立方体に変わる。

「!?この人、もう一つデバイスを!」

少女は、フィアが出した新たな武器をデバイスと勘違いする。しかし、それにより警戒を強めた。

「二十番機構・斬式大刀態《凌遅の鉈》_禍動(curse calling)!」

フィアが命じると、立方体は巨大な鉈に変形する。そしてそのまま少女に向かって斬りかかった。少女はデバイスで受け止めるが、人外であるフィアの力に押し負け後ろに吹き飛ばされてしまう。

「十九番機構・抉式螺旋態《人体穿孔機》_禍動!」

さらに、フィアは鉈を螺旋槍に変えて追撃をする。

〈ディフェンサー〉

避けられないと判断したバルディッシュが自動で防御魔法を発動させた。呪いにより強化されているとはいえ、流石にただの質量兵器では防御魔法を貫く事は出来なかった。

「貫けないなら叩き潰すだけだ。二十二番機構・潰式針球態《星棍》_禍動!」

今度は螺旋槍がモーニングスターのような物に変わり、少女に向って振り下された。少女の防御魔法は弱いものなのか、フィアの人外の力で振るわれた事もあり今度は砕かれた。

「キャア!?」

そしてそのまま星棍は少女に当たった。防御を砕いた際、威力が弱まっていたのでバリアジャケットで受け止められたが、彼女は気絶して地面に落ちていった。

「モード・クッショニング宗盛。」

そして落下した少女を黒絵が髪で受け止め、地面に下ろす。

「何者なんでしょうか、この子。」

少女の顔を覗き込みながらこのはが言った。

「一体、何でこんな小さな子が…」

さらに、そう言って春亮が少女に近づこうとした時だった。

ドドドドドド!

無数の魔力弾が彼らを襲った。

「うわっ!?」

「な、何だ!?」

春亮達が混乱していると、遠くから一つの影が近づいてくる。それは額に宝石を埋め込んだ赤い狼だった。

「フェイトから離れろ!」

狼が叫び、春亮達に向かって突進する。ユーノでもう慣れたので春亮達は驚かず、すぐに対応する。

「黒河可憐!」

「モード・カオティック忠盛」

錐霞と黒絵がそれぞれの得物を伸ばして迎撃しようとした。

「ジャマだ!」

しかし、狼は鋭い爪でそれを切り裂いてそのまま突き進んで来る。

「行かせません!」

そこで、このはが手刀を構えて立ちはだかった。狼は爪を振り下ろすが、このははそれを手刀で受け止めた。それにより狼の爪が欠ける。

「な!?嘘だろ!」

自分の爪が手刀に斬られた事に狼は驚いていた。その時、フィアがこのはに向かって叫んだ。

「ウシチチ、後ろだ!」

それを聞いたこのはが振り返ると、少女が意識を取り戻してデバイスを彼女に向けていた。

「・・・フォトンランサー!」

そして、少女はこのはに向かって魔力弾を放つ。このははそれを回避するが、その隙に狼が少女を回収した。

「逃がすか!」

それを見たフィアが左手のレイジングハートを構えてディバインシューターを放った。しかし、狼が魔力弾を放ってそれを相殺し、そのまま逃亡した。





「全く、あいつらは何だったのだ。」

あの後、フィア達はジュエルシードを封印し、子猫を係員の人に渡してから夜知家に戻ってきた。そして今、彼女らは今日遭遇した少女について話し合っている。

「おそらく、僕と同じ世界から来たんだと思います。」

「でも、目的は何なんだ?」

「私も聞いてみたが、答えても意味がないとか言っておったぞ。」

春亮が疑問を口にすると、フィアがそれに答えた。

「まあ、それならそれで次も来たらまた返り討ちにしてやるが…」

そこまで言って、フィアは考えこむ。

「あいつの目を見て、何か変な感じがしたのだ。」

「変な感じ?」

「それって、どういう感じなんだ?」

その言葉を聞いた黒絵と春亮が彼女に聞く。

「解らんから変な感じなのだ。」

だが、彼女自身にもそれは解らなかった。

「変な感じですか?確かにあの子は真っ直ぐな目をしていましたけど。」

「真っ直ぐな目?」

このはが言うと、フィアが聞いてきた。

「ええ、子どもだから出来るんでしょうね。やってる事は全然真っ直ぐじゃありませんが、おそらく確固たる信念があるのでしょう。」

「そう言えばあの子、“申し訳ないけど、いただいて行く”とか言っちょったねえ。」

「もしかして、何か訳が有るんじゃないのか。サヴェレンティと白穂の時みたいにさ。」

かつて、サヴェレンティは“持ち主に恋心を抱かせて殺す”という呪いの進行を遅らせるため、大秋高校の生徒を襲った事があった。その時は持ち主を殺すためにつけられた“殺害機構(キリングオルガン)”のみを破壊を春亮達が壊した事で一件落着となったが。

「まあ何にせよ、また会って話を聞かなければわからんがな。」

錐霞がそう言い、この話題は一旦保留する事になった。

「そう言えば、あの狼は何だったんだ。」

「ユーノ君みたいに人間が変身していたんじゃないんですか。」

春亮がふと疑問を口にすると、このはが推測を言った。すると、その会話にユーノが参加する。

「いえ、使い魔という可能性もあります。」

「使い魔?」

「動物をベースに作られた魔法生命体で、主人の魔力で活動しています。大型の狼の姿でも魔力の節約になるとは思いますが、小動物ほどでは無いので人間が変身しているとは考えにくいです。」

「なるほど、だがどちらにしてもこれからは常に複数でジュエルシード探しをするべきだな。」

錐霞の言う通りあちらはおそらく常に二人で行動している。初め少女だけが出て来たのは魔導師であるフィア以外は相手にならないと思ったからだ。

「いいんちょーさんの言う通りだ、フィア。無理して一人で行動するなよ。」

「それくらい分かっておる。ウシチチと二人きりでない限りは大丈夫だ。」

「あなたねえ…」



続く
 
 

 
後書き
はい、今回はフェイトフルボッコでした。フェイトファンの皆さんすみません。
そして、今回になってやっとフィアが自分の能力を使いました。暴走体との戦いではこれからも使いませんが、フェイトとの戦いでは積極的に使うので楽しみにして下さい。あとA's編では出ずっぱりになります。
次回は温泉です。皆さんはユーノの淫獣フラグが折れたと思っているでしょうが果たしてどうでしょう。フフフ…
 
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