魔法少女リリカルフィア(リメイク)
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無印編
第三話 サヴェレンティのドジは危険?
放課後の大秋高校の校舎の裏、今回のジュエルシードはここに落ちていた。
「リリカルマジカル・ジュエルシード封印!」
フィアは封印魔法でそれを封印する。
「今日もお疲れ様。ふぃっちー。」
ビデオカメラを持った黒絵が言った。
「ああ。しかし、今回はゼノンのおかげだな。」
そう言いながら、フィアは漸音の方を見た。
「いえ、校内に危険物が無いか確かめるのも私の仕事ですので。」
それに対し彼女は、いつものようにクールに答える。
「ところでフィア様。」
「何だ?」
「あなたのコスチュームのデザインをさせてはもらえないでしょうか?」
漸音はクールな秘書だ。だが、実は可愛い物が大好きなのである。しかし、自分には可愛い物は似合わないと理解しているので、代わりに別の誰かを可愛いく着飾らせているのだ。サヴェレンティのメイド服も彼女が着せている物なのである。
「いや、別に私はこのままでかまわんのだが…」
「まあ、そう言わず。既に幾つかアイデアを考えておりまして・・・」
「きょ、今日はもう遅いから帰る!!!」
嫌な予感のしたフィアは、逃げるように帰って行くのであった。
「これで集まったジュエルシードは5個か…」
帰宅後、フィアはレイジングハートから今まで集めたジュエルシードを出して数えていた。
「まだまだ先だけど、ペースは順調だと思うぞ。」
すると、彼女に春亮が励ますように言った。
「明日は休みなんですし、一日くらい休むのもいいんじゃないんですか?」
「確かにそうですね。」
このはが提案するとユーノもそれに賛成した。
そして翌日、ここは白穂の家。
「白穂!こっち来て!」
サヴェレンティが庭で白穂を呼んでいた。
「どうしたの、サヴェレンティ。」
白穂が庭に出ると、サヴェレンティは近くの茂みを指差しながら言った。
「ほら、あれ見て!」
白穂がその先をよく見ると、そこにはなんと青い菱形の宝石、ジュエルシードがあった。
「・・・最悪ね。こんな物が家のすぐそばにあるなんて。」
「は、早くフィアちゃん達を呼ばないと…」
ケータイを取り出し、フィアに連絡しようとするサヴェレンティ。だがその時、一羽のカラスが飛んで来て、ジュエルシードを嘴でつまもうとする。
「ああ!?だめー!!!」
それを見たサヴェレンティが慌ててカラスより先にジュエルシードをつまみ上げた。
「ふう、危なかった…」
「ちょっと!何やっているのよサヴェレンティ!早くそれ捨てなさい!」
「あっ!?」
その時、ジュエルシードが凄まじい光を放った。
「!?これは…」
「ジュエルシードが発動したんだ!」
その頃、夜知家にいたフィアとユーノはジュエルシードの発動を感知していた。
「春亮、ウシチチ、クロエ行くぞ。」
「ああ。」
「分かりました。」
「さあ!今回もふぃっちーの勇姿を撮らんとな!!」
一同はジュエルシードの発動した場所のすぐそこまで来ていた。すると、春亮がある事に気付く。
「なあ、こっちって確か白穂の家の方向じゃないか。」
「そう言えばそうですね。まさかサヴェレンティさんがうっかりジュエルシードにさわって発動させたとか…」
「・・・あり得るな。」
このはの推測を聞いて、春亮もまたそうではないのかと思う。
「ええと、いくらなんでもそれは無いんじゃないんですか?」
「いやユーノ、サヴェレンティならあり得るのだ。」
「じゃね。」
数分後、一同は白穂の家についたが…
「なんだこれ…」
その庭から“ジャックと豆の木”みたいな巨大な植物が天高くまっすぐ伸びていた。
「と、とりあえず行ってみるぞ。」
フィアはそう言って、家の裏から直接庭に入っていき、春亮達もそれに続いた。
そして庭に入ると、巨木の根元で白穂が気絶していた。
「白穂!」
それを見た春亮が慌てて彼女に駆け寄る。
「大丈夫か、しっかりしろ。」
「ううっ…」
春亮が抱き起こすと、白穂は目を覚ました。
「気安く触らないでよ!人間!!!」
そして彼女は春亮にビンタを食らわせて、立ち上がる。
「それよりシラホ、これは何なのだ。まさか…」
ビンタされた春亮を無視し、フィアは巨木を指差しながら白穂に聞いた。
「あ!?そうよ、お願いサヴェレンティを助けて!」
「・・・やっぱりか。」
あまりに予想通りだったため、フィアとこのはは頭を抱えた。
「まあいい、行くぞレイジングハート!」
〈了解、マスター。〉
「レイジングハート、セットアップ!」
フィアはレイジングハートをセットアップする。
「う〜ん・・・やっぱり毎回ちゃんと変身の呪文は全部言わんと物足りんねえ。あと、変身するたびに口上も上げてもらわんと。」
「そんな事言ってる場合ですか。」
ビデオカメラを回しながら呑気な事を言う黒絵にこのはがツッコミを入れた。
「フィアさん、この場合はどこかにあるコアを探して封印しないといけません。」
そんなやり取りを他所に、フィアの肩に乗っているユーノが言った。
「解った。レイジングハート頼む。」
〈エリアサーチ〉
レイジングハートが探索魔法を発動させ、コアを探した。そして、かなり上の方にある事が解った。
「かなり上だな。だが、絶対にサヴェレンティを助けるぞ。」
〈フライヤーフィン〉
フィアは飛行魔法で飛び上がる。そして、コアまでもう少しという所まで来た時…
シュッ!
無数のツルが伸びてきて、フィアに襲いかかった。
「くっ…」
フィアは何とかそれを躱す。だが、ツルが多過ぎて避けるのに精一杯で、とてもこれ以上上に飛べそうに無かった。
「どうしよう、このままじゃ近づけない。近づかなきゃ封印出来ないのに…」
ユーノが悔しそうに呟く。その時、フィアが言った。
「なら、ここから封印する。」
「え!?無茶ですよ!」
「大丈夫だ。レイジングハート!」
〈了解、カノンモード〉
すると、レイジングハートの先端についた立方体が変形し、四角い砲身のような形になる。さらに、柄の部分からトリガーのついたグリップがせり出した。フィアは柄を左手で、トリガーのついたグリップを右手で持ち、狙いを定める。
「いくぞ、レイジングハート!」
〈了解。ディバインバスター〉
そして、フィアがトリガーを引くとレイジングハートの砲身から銀色の砲撃が放たれた。砲撃はツルを消滅させながら進み、ついにコアまで到達する。
「今だ!リリカルマジカル・ジュエルシードシリアル8・封印!」
そして、砲撃魔法を介して封印魔法を発動させ、ジュエルシードを封印する。だが、封印したら当然、巨木は消える訳で・・・
「危ない!」
取り込まれていたサヴェレンティが落ちて行ってしまった。フィアは慌てて降下してキャッチする。
「ふえ~ん、ごめんね。僕のせいで…」
ジュエルシードのせいでめちゃくちゃになった庭を春亮達が直していると、サヴェレンティが目を覚まして謝ってきた。
「ジュエルシードを渡しちゃいけないって思いながら触ったらこんな事になっちゃって・・・」
「サヴェレンティ、気にする事は無いわ。あなたが無事だったんだもの、私はそれで十分よ。」
そんな彼女を慰めようと白穂が言った。
「でも…」
「じゃあ、申し訳ないと思うんなら作業を手伝ってくれないか?」
まだ自分を責めようとするサヴェレンティに春亮が提案をした。
「ちょっと人間、なにドサクサに紛れてサヴェレンティをこき使おうとしてるのよ。」
「いや、別にそういうつもりじゃ…」
「いいよ、僕のせいなんだし僕が何もしないのはおかしいから。」
そして、サヴェレンティも作業に加わった。
そんな中、作業がめんどくさくなったのか、白穂がフィアに聴いた。
「でもあなた、魔法使いになったんでしょ。魔法でパッパと直せないの?」
「えっと、それは…」
「一応、無くはないんですが、レイジングハートにはインプットされていませんし、そもそもすぐにパッと直せる物じゃ無いんです。」
「そう。」
それを聞いた白穂は興味を失ったかのように作業に戻るのであった。
続く
後書き
今回は原作の“大樹事件”にあたる話です。ここではサヴェレンティのうっかりが原因でしたが、これは前から決めていた事です。最初は白穂も一緒にと考えていたのですが、彼女は不用意に触りそうにないからサヴェレンティだけになりました。
被害が白穂の家の庭だけになったのは、どでかい被害が出るのはC3っぽくないと考えたからです。
次回はいよいよお待ちかね、フェイトの登場です。
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