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とある英雄の学園生活

作者:にゃん丸
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間話 アリス・シュタイン・イングランド 後編

 セシリアの護衛の時に、私は初めて宮殿から出ました。
 イングランド王家では10歳でシャーウッドの森の湖で洗礼を受ける習わしがあるみたいです。
 私とセシリアとセシリアの部下4名で行くことになりました。

 洗礼もおわりセシリアと2人で湖近辺を散歩していると星の形をした光る石を見つけました。
 私はその石を手にとって見てみたくなったので石のあるところまで走りました。
 石に手が届く瞬間目の前が真っ暗になり、次の瞬間私の周りはお花で囲まれていました。
 後で聞いたのですが光る石の周りに転移魔術が仕掛けられていたと言っていました。

 私の周りに綺麗な花畑になっていることに興奮しました。
 だって絵本の世界に入ったみたいでなんだかワクワクしました。
 そうだ、お花の冠を作ってセシリアにあげよう。

 座り込みお花を集めていると私の後ろで何かが動く気配がしました。
 
 「がああああああ」
 
 振り返ると大きな魔物が私を襲おうとしていました。
 
 「キャー」
 
 私は怖くて目をつむりました。
 
 ガキン!
 なにかぶつかったような音がしました。
 目を開けると剣を2本持って私を助けてくれたお兄さんがいました。

 「すぐに終わるから」

 「うん」

 お兄さんと魔物が何度か打ち合ったあと

 「二天炎氷斬り!」
 
 お兄さんはそう叫び魔物を倒しました。
 剣を2本持って魔物を倒す姿がかっこよかったです。

 お兄さんは綺羅と名乗りイングランドの騎士の礼で挨拶をしました。

 「イングランドの騎士なのですか?」

 お兄さんは頭をかきながら笑い

 「3ヶ月ほどでやめたがな」

 恥ずかしそうに話してくれました。

 「とりあえず城に向かおうか」

 「送っていただけるのですか」

 「ん、まあ俺も城に行くとこだったんでな」

 「ありがとうございます。お城に着いたらお礼いたしますね」

 「お礼が欲しくて送りんじゃないよ。ついでだから気にしするな」

 綺羅さんは私の頭を優しく撫でました。

 「え……あの」

 私は戸惑いました。
 久しぶりに頭を撫でられたからです。
 そんな私を見て。

 「すまない、無礼だったな」

 「いいえ、昔お父様によく頭を撫でられていたので……その……」

 私はうれしくもあり、恥ずかしくもありました。
 綺羅さんを見ると頬をかきながら照れていました。

 「下郎!アリス様から離れろ」

 後ろからセシリアの声が聞こえました。
 少し離れたところで剣を抜き綺羅さんに斬りかかっていました。
 
 「ちょっとまて! 俺は……」
 
 「死ね!」
 
 「セシリアやめて」
 
 私の声がセシリアに届かない。
 
 「ちょっと、落ち着いてくれ。俺はアリスを……」

 「貴様! アリス様を呼び捨てにするなど言語道断!」

 「だから、俺の話を聞い……」

 セシリアが綺羅さんに剣で斬りかかっています。
 早く止めないと。
 どちらかが怪我をしてしまいます。

 「セシリアやめて、ちがうの」

 「姫安心してください。この狼藉者をすぐに始末いたしますので」

 だからセシリア話を聞いて。
 セシリアは上段からの斬撃をお兄さんはギリギリのところで交わし地面に突き刺さつたセシリアの剣がなぜだか凍りました。

 なんとか終わったみたいです。

 「セシリア話を……」
 
 「くっ……」
 
 「勝負ありだな。とりあえず話を聞いてくれないか」
 
 「まだよ!」
 
 セシリアは綺羅さんから一定の距離をとり
 
 「これならどう」
 
 セシリアの手から火炎矢を10本綺羅さんに向かって放たれました。
 
 「綺羅さん!」
 
 綺羅さんは心配ないと目で私に合図をすると
 綺羅さんの前に氷壁のが現れセシリアの火炎矢を全部防ぎました。

 「まさか火炎矢まで防がれるなんて」

 「頼むから話を聞いてくれ」

 「セシリア、私の話を聞いて」

 私はセシリアに抱きついていた。

 「姫様……」

 「綺羅さんは、魔物から私を助けてくれたの」
 「え……」

 「そのあとお城に送ってくれると言ってくれて」

 「え……」

 「私を慰めてくれて頭を撫でてくれたの。私は別に嫌じゃなかったし、むしろうれしかったの」

 「そ、そうでしたか」

 やっと話を聞いてくれたセシリアは綺羅さんに謝罪をしていました。
 一緒に宮殿に戻ることになったのですが、私は馬車で、綺羅さんは徒歩の為お話ができませんでした。
 セシリアに綺羅さんも馬車に乗せて上げればと言ったのですが素性がわからないものを姫と同席をさせるわけにはいけませんと言われました。
 助けてくれた恩人なのに。
 宮殿にもどったのですが、綺羅さんと会うのは2日後でした。



 「アリス、学園都市に一緒に行く護衛騎士が決まったぞ」

 朝早くお父様は私に会いに部屋に来てくれました。
 セシリアが護衛騎士になってくれるとうれしいんですが、政治的にセシリアが正式に護衛騎士になることは難しいとセシリアが言っていました。

 「セシリアですか?」

 「セシリアでわないが頼りになる方だ」

 やっぱりセシリアではないみたいです。

 「すみませんが入ってきてくれますか」

 父に言われドアが開き3人が私の部屋に入ってきました。
 そのうちの1人は私の知っている人でした。

 「アリス姫の護衛騎士をさせていただきます、綺羅・一条です」

 綺羅さんだった。
 綺羅さんが私の護衛騎士になってくれたのです。
 あれ?でもキラ・イチジョウて聞いたことある名前……
 あああああ! キラ・イチジョウて、お父様と一緒にヒミコを倒した英雄キラ・イチジョウと同じ名前です。

 「お父様、キラ・イチジョウ様はもしかして」

 「うむ、余と一緒にヒミコを倒した英雄キラ・イチジョウ殿だ」
 
 ビックリです。私を助けてくれた人が英雄キラだなんて。
 そして私の護衛騎士にもなってくれるなんて。
 でも……
 
 「綺羅さん、私は呪われた姫と言わ……」
 
 「そんなの関係ない。子供がそんなことを気にするな」
 
 笑顔で私の頭を撫でてくれます。
 綺羅さんに頭を撫でられるのは気持ちがいいです。
 
 「あとメイドも一応この2人になってもらう予定なのだが……」

 お父様はなんだか言いにくそうに綺羅さんの両脇の美しい人を紹介されました。

 「イフリートよ」

 「シヴァです」
 イフリート! シヴァって……
 炎の魔人と氷の魔人が私のメイド
 魔人の2人にメイドなどできるのか心配ですが、これから1ヶ月ほどセシリアの実家でメイド修行をするみたいです。
 なので正式にメイドになるのは、私が学園都市に行ってからみたいです。

 そしてこの1ヶ月間はいろいろあって楽しかったです。
 セシリアは、私が学園都市に行くまで護衛をしてくれました。
 キラはなにか行事などで忙しかったみたいですが、時間を作っては、私と遊んでくれたり、内緒で街に買い物に連れて行ってくれたりしてくれました。
 綺羅さんがキラと呼び捨てでいいと言ってくれたのでじゃあ私もアリスと呼び捨てでお願いと言ったら
 まぁいいか、よろしくなアリスと言ってくれました
 そして炎の魔人であるイフリートがメイド修行を抜け出しては私のところが隠れやすいと言って私にお話をしてくれたり、初歩の炎の魔術を教えてくれたりしてくれました。
 そのことを知った氷の魔人のシヴァがイフリートがいない時間に私の部屋に来て初歩の氷の魔術を教えてくれることになりました。
 よくわからないけど、2人の魔人はキラと一緒でとてもイイ人です。

 1ヶ月が過ぎ船で学園都市に向かう船旅も楽しかったのですがセシリアとセシリアの部下2人は船酔いで苦しんでいました。
 学園都市はすごく賑やかでした。
 途中でレストランによりお子様ランチを食べたのですがすごく美味しかったです。
 食べ終わった時に怖そうな人が私たちに近づいてきました。
 どうやらドイツの方でセシリアの知り合いのようでした。
 1人はドイツ軍人のシュナイダーさんで
 もう1人はドイツ帝国第1王子のイオリ皇子でした。 

 「君はもしかしてアリスか?」

 私は無言で頷きました。
 私を知っているんだこの人。

 「そうか、アリスなのか!大きくなったな」

 イオリ皇子は私の頭に手を伸ばしてきました。
 私は怖くてキラの腕にしがみつきました。

 「……」

 「アリス、オレだよ、覚えてないか?」

 イオリ皇子は自分で自分を人差し指で指し私ににアピールしていますが
 私は全然覚えていないので首を横に振りました。

 「ほら、アリスが小さい頃一緒に遊んだイオリだよ」  
 「知らないです」

 私の一言に、イオリ皇子はよろよろとふらつきテーブルに手をついて体を支えました。

 「イオリ様、姫が1歳か2歳の時に1度か2度しか会っていない方を覚えているはちょっと無理があるのでわ」
 セシリアは苦笑いしながらイオリ皇子に語る。
 ええと、
 ……やはりイオリ皇子のことは覚えていません。
 「そんなことはない!俺は覚えているんだ」
 
 すみません本当に私は覚えていないんです。
 自分を思い出してもらおうと必死でアピールするイオリ皇子。
 いろいろお話をしてくれますがやはり覚えていないので首を横に振るしかありません。
 イオリ皇子本当にごめんなさい。
 イオリ皇子はキラたちと少し会話をしたあと
 
 「アリス、今度一緒に食事でもしよう」
 私にに優しい言葉をかけ、イオリ皇子達はそのまま店から出て行かれました。
 そのあと学園都市を見回ったあと屋敷に向かう途中、私はいつの間にか眠っていました。

 翌日セシリアはイングランドに帰って行きました。
 セシリアと離れるのはさみしいですがキラはまた近いうちに会えるからと言って慰めてくれました。

 それから3日後入学式が行われるので武道館に向かいました。
 入学式が始まって30分後ぐらいに理事長兼市長のネイ様壇上にでてきました。
 すごく美人な方でした。
 こんな美人がキラの家族だなんてスゴイです。

 入学式も終わり、武道館の外でキラと話をしている時に、3人のダークエルフに囲まれました。
 ダークエルフに連れられてもう武道館の中に入りました。
 1人の女性が待っていました。
 最初は誰かわかりませんでしたが、
 いきなりキラを殴りました。
 女性を見るとネイ様でした。
 そしてキラとネイ様のケンカが始まりました。
 ケンカと言ってもネイ様が一方的に攻撃しているだけですが。
 キラは必死にネイ様に語りかけ最後は土下座をしてゆるしてもらえたみたいです。

 ケンカの後ネイ様と一緒に食事に行きました。
 入学式でかっこよかったネイ様は今はなんだか子供みたいにキラに甘えていました。
 ビックリです。
 私も負けずにキラに甘えました。
 困っているキラを見て魔人2人はニヤニヤしてました。

 食事も終え屋敷に戻って見ると馬車と荷馬車が数台並んでいました。
 聞いてみるとクリステーナお姉さまの屋敷に引っ越す、エルシードお姉さまとセイラお姉さまの荷物を運び出しているみたいです。
 学園都市に来て一度もお会いできないお姉さまたち。
 お会いできることを楽しみにしていたのですが。

 「お姉さまたちはやっぱり、アリスと一緒にいるのが嫌なのかな」

 やはり呪われた私と一緒にいるのは嫌だったんですね。
 キラは私の頭を撫でながら。

 「ちょっと、散歩に行ってくるから、イフリートと仲良く留守番しとくんだぞ」

 「え、キラもどこか行っちゃうの」

 私はギュッとキラの服の裾を握る。

 「すぐに帰ってくるから、少しだけ待っててくれ」

 「……うん」
 
 キラはどこに行くんだろう?
 
 「お土産に可愛らしいヌイグルミでも買ってくるから、いい子でいるんだぞ」
 
 「うん」
 
 私を安心させるようにもう一度頭をなでてくれました。
 キラは笑顔でしたが目は笑っていませんでした。
 キラを見送り、イフリートと一緒に屋敷に戻りました。 
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