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魔法少女リリカルフィア(リメイク)

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無印編
  第二話 魔法の呪文はリリカルなのか?


怪物を倒した後、フィア達はフェレットからあれが何だったのかを聞こうとしたが、まずはお互いに自己紹介をする事になった。

「えーと、僕は“ユーノ・スクライア”っていいます。スクライアは部族名なのでユーノと呼んで下さい。」

まずはこの騒動の中心と思われるフェレット…ユーノが先に名乗る。

「俺は夜知春亮。それから…」

「村正このはです。苗字で呼ばれるのは嫌いなのでこのはって呼んで下さい。」

「うちは人形原黒絵よろしく。」

「フィア・キューブリックだ。」

「ええと、フィアさんさっきはありがとうございました。僕一人だったらどうなったいたか…」

ユーノは小さい頭を下げながら礼を言った。その姿は愛くるしく、フィアは抱きしめたくなったが、話の腰を折らないためにグッと我慢した。

「いや、私だけでもきっと危なかったぞ。だがそれよりも今は…」

「はい、あの怪物、ジュエルシードの思念体についてですね。」

「ああそうだ。」

「あれは・・・僕のせいなんです。」

ユーノは先ほどの怪物の正体、“ジュエルシード”について語り出した。
話によれば彼は異世界の住人で、遺跡発掘の仕事に就いているのだという。前に発掘調査を行っていた遺跡で、彼はあるものを見つけた。それがジュエルシードであった。
ジュエルシードは宝石の形をしているがエネルギーの塊であり、願いを叶える力を持っている。だが、エネルギーが不安定なため大抵の場合は歪んだ形で願いを叶え、最終的には暴走してしまうのだ。それゆえに、本来ならば厳重に保管しておかなければならなかったのだが、次元輸送船が何らかの原因で事故に合い、この町にばら撒かれてしまったのだという。

「ちょっと待て、それってお前のせいじゃないんじゃないか?」

話を聞いて、春亮が言った。

「いえ、あんな物を僕が発掘したから・・・だから、あれは僕が回収しなきゃいけないんです!でも、魔力を使いすぎてしまって・・・魔力が回復するまでの間でいいんです。迷惑だと思いますが、お礼は僕に出来ることなら何でもします。だから手伝って下さい。」

「それで、魔力が回復したらどうするん?」

黒絵がユーノに聞いた。

「そ、それはもちろん。後は僕一人で…」

「そこまで。」

ユーノがそこまで言うが、春亮がそれを止めた。

「もう俺達は関わっちまったんだし、後から無関係なふりなんて出来ないよ。」

「で、ですが…」

「それに、俺達はこういうトラブルには慣れっこだからさ。」

「はあ、また春亮くんのお人よしが始まりましたね。まあそんな所がいいんですが。」

「ハルアキの言うとおりだ。それに、私は人のためになる事をしなければならんからな。別に迷惑ではないぞ。」

「ハルがいいんなら、うちもいいよ。」

フィア達も春亮の案に賛成のようだ。

「・・・ありがとうございます。」

彼らの善意に対し、ユーノは再び頭を下げた。

「気にすんなって。」

「おかげでふぃっちーの魔法少女として活躍も見られるし。」

「ちょっと黒絵さん!」

「冗談じゃよ。」

このはに注意され、そう答える黒絵であったが、実は半分ほど本気だったりする。

「とりあえず、これからどうするのだ?」

「ここはやっぱり、いんちょーさんや白穂達にも手伝ってもらった方がいいんじゃないか?」

フィアのこれからの方針に対する疑問に春亮が答える。その時、ユーノが手を挙げた。

「あの…」

「ん?どうしたんだ。ユーノ。」

「忘れていましたけど、このはさんと黒絵さんって何者なんですか。生身で暴走体と戦ったり、黒絵さんにいたっては髪が伸びて動いていたんですけど。」

「ああ、それか。まあ、お前も色々と話してくれたんだし、こっちの事も話していいよな?」

春亮はフィア達に聞いた。

「別にかまわんぞ。」

「こっちだけが一方的に知っているのもおかしいですし。」

「ゆーのんは信用出来ると思う。」

当然、彼女達は同意する。

「いやあの、“ゆーのん”って僕の事ですか…」

そんな中、いつの間にか黒絵につけられた独創的なニックネームに困惑するユーノであった。




春亮達は、ユーノにフィア達の正体“呪われた道具”そして“夜知家のシステム”について簡単に説明した。

「呪いのせいで道具が人間になるなんて、聞いた事ありませんよ。」

「いや、喋るフェレットに言われてもなあ…」

「え?僕人間ですよ。」

「「「「えっ!?」」」」

ユーノの告白に、一同は驚く。

「魔力の回復を早めるために、この姿になって魔力の節約をしているんです。って言うか、フィアさんと会った時は人間の姿だったんじゃ・・」

「待て!確かお前を拾った時は既にその姿だったぞ!!」

「あれ?」

自分の記憶とフィアの言葉の違いに首を傾げるユーノであったが、一度考えてフィアに拾われた時の事を思い出す。

「そう言えば、そうでしたね。」

「まあ、何か間違いが起こる前に確認出来て良かったな。」

春亮がそう言うが、この時彼らはまだユーノに将来襲いかかる悲劇を知らなかった。





翌日の放課後、春亮達はユーノとともに大秋高校の理事長室にいた。今日は運良く理事長がいる日だったようである。

「ふむ、その“青い菱形の宝石”を探すのを手伝えばいいんだね。」

ガスマスクで顔を隠した男、私立大秋高校の理事長“世界橋ガブリエル”が言った。

「それも呪われた道具なのかい?」

「いえ、そうじゃないんですけど、とても危険なもので不用意に触ると大変な事になるんです。」

理事長の質問にユーノが答えた。
現在、春亮達は呪われた道具の関係者達にジュエルシード集めの手伝いを依頼している。

「ふむ、ならば知り合いには見つけたら壊れやすいから不用意に触らないようにと言っておこう。」

「ありがとうございます。」

「それで、どれくらいの数があるんだい。」

「ええと、21個あるうちの2個はもう回収済みですから…」

「残り19個という事ですね。」

理事長の秘書“北条漸音”が言った。

「ええ。」

「うーん、結構あるね。」

理事長秘書補佐見習いのメイド少女“サヴェレンティ”がうなりながら言った。ちなみに彼女もフィア達と同じく禍具で、正式名を“王権を果たす完全人形(サヴェレンティ・パーフェクションドール)”といい、その名の通り呪われた人形だ。

「だからさ、その白穂達にも手伝ってもらいたいんだけど…」

そう言いながら春亮は、ソファーに座っている一人の少女を見た。まるで作り物のように整った顔をした少女である。

「人間、まさか貴方また私とサヴェレンティに面倒事を押し付けるつもり。」

「いや、そう言うわけじゃ…」

彼女は“桜参白穂”、春亮の事を“人間”と呼んでいるが呪われた道具ではなく人間である。ある時期、所有する禍具であるサヴェレンティと入れ替わっていたため、その時の呼び方が定着しただけだ。

「でも、もし見つけたら絶対に触らないわ。危ないみたいだし。でもすぐ後で誰かが拾ってそれに巻き込まれるのも冗談じゃないから連絡はするわ。せいぜい急いで駆けつけることね。私はすぐ逃げるけど。」

「ええと、白穂が言いたいのは『見つけたらすぐ連絡する。』って事で…」

「さて、そろそろ時間ね。帰りましょうサヴェレンティ。」

余計な事を言いかけたサヴェレンティの腕を掴んで引っ張りながら、白穂は理事長室を後にした。

「当然、私は全面的に協力するぞ、夜知。」

「ありがとう、いんちょーさん。」

先程発言した少女は“上野錐霞”。春亮とフィアのクラスのクラス委員長である。かつては“闇曲拍明の研究室長国”という禍具関係の組織に所属していたが、現在はそこを抜けて春亮達の仲間になっている。

「さて、白穂君ももう帰った事だし、私もそろそろお暇しよう。」

「じゃあ、俺達も夕飯の買い物があるんでそろそろ帰ります。」

「うむ、手回しの方は任せておいてくれたまえ。」

そして、春亮達も挨拶を済ませて帰路についた。




帰り道、春亮達はついでに夕飯の買い物を済ませようとスーパーの方に向かって歩いていたが…

「「!!?」」

フィアとユーノが何かを感じとった。

「この感じは…」

「ジュエルシードが発動したんだ!」

「何だって!?」

「どこでですか。」

「こっちだ!」

フィアとユーノに案内され、春亮とこのははジュエルシードの元に向かう。




ジュエルシードが発動した場所は、以前春亮がサヴェレンティとともにお守りを買いに来た神社だった。そして、そこに居たのは…

「グルルルル…」

虎ほどの大きさの、狼のような姿をした目が四つある黒い怪物だった。

「気を付けて下さい。今回は原住生物を取り込んでいます。実体がある分、前のより手強いです。」

「分かった!」

早速フィアは待機状態のレイジングハートを取り出す。

「ええと、どうやればよいのだ?」

が、変身の仕方を忘れてしまっていた。そんな彼女を見て、春亮達はずっこける。

「何言ってんだよ!変身の呪文を唱えるんだろ!」

「ほら、“我、使命を受けし者なり”の所から!」

「ちょっと待て、あんな長いの一発で覚えられるわけがないだろうが!」

「グギャアアアア!」

すると、揉めているフィア達を見てチャンスと思ったのか、暴走体が突進して来た。

「何やってるんですか!来ますよ!」

このはは迎え撃つために、手刀を構えて前に出ようとする。だがその時

カッ!

突然、レイジングハートが光り出し、待機状態からデバイスモードに変わった。

「パスワード無しで起動させた!?」

フィアがパスワード無しでレイジングハートを起動させた事に、ユーノが驚いた。

「フィアさん、早く防護服を!」

しかし、すぐ気を撮り直しバリアジャケットを装着するように言う。暴走体はすぐそこまで迫っていた。フィアはギリギリでバリアジャケットを装着し、暴走体の攻撃をプロテクションで防いだ。プロテクションにぶつかった暴走体はそのまま後ろに弾かれるが、すぐに着地して態勢を立て直す。そして今度は素早く動いてフィア達を翻弄する。

「あんなに速く動かれたら、封印が出来ない。なんとか動きを止めないと…」

そうユーノが言った時、フィアは一つの事を思い出した。

「ユーノ、確か“攻撃の魔法”というのもあると言っていたな。」

「ええ、最初からレイジングハートに入っているのは二つだけですが。」

「なら、それで一旦奴の動きを止める。レイジングハート!」

〈了解、ディバインシューター〉

フィアの命令に答え、レイジングハートは4発の銀色の魔力弾を生成する。

「シュート!」

そして、フィアが発射を命じると、魔力弾は暴走体に向かって突撃して行った。

〈マスター、ディバインシューターのコントロールをお願いします。〉

「分かった!」

フィアは四つある魔力弾を二つずつにわけて、挟み込むように暴走体を攻撃する。それに対し暴走体は片方は避けたが、もう片方が当たり一瞬ひるみ、動きが止まった。その隙を逃さず、フィアは封印魔法を発動させる。

「リリカルマジカル・ジュエルシードシリアル16・封印!」

それにより、暴走体からジュエルシードが分離し、犬に戻ったのだった。


続く
 
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