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八条学園怪異譚

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第五十五話 百鬼夜行その九

「動物とかものが仙人になるでしょ」
「狐とか琵琶とか」
「石もありましたね」
「でしょ?仙人になるのは人間だけじゃないのよ」
 動物や本来は意志を持っていないものもだというのだ。
「その辺り重要よ」
「そうなんですね」
「人間だけじゃないんですか」
「そうよ、だから博士にしてもね」
 あらためて博士の話をする茉莉也だった。
「仙人かも知れないし」
「妖怪さんにも近いんですか」
「そうかも知れないんですね」
「ひょっとしたらね」
 茉莉也はこのことを話す。
「博士と妖怪さん達のお付き合いも百三十年以上みたいだし」
「普通に滅茶苦茶長いですね」
「そこまで古いお付き合いですと」
 妖怪達に影響を受けているのではないのか、二人は首を傾げさせて考える顔で茉莉也に応えて話した。
「妖怪さんになっていても不思議じゃないですね」
「博士にしても」
「そうでしょ。私も時々博士についてはそう思うのよ」
 妖怪化しているのでは、というのだ。
「あくまでひょっとしたらだけれどね」
「ううん、ひょっとしたらですか」
「仙人じゃなくて」
「まあね、あの人の場合はね」
 そうかも知れないと言う茉莉也だった、そうした話をしているうちに。
 ぬらりひょんが集まっている一同にこう言ってきた。
「さて皆の衆よいか?」
「うん、今からだね」
「はじめるんだね」
「コースはいつも通りじゃ」
 その道のことも話すのだった。
「それで行くことにしよう」
「よし、じゃあ今晩も楽しくやろう」
「楽しく歩こうね」
「この百鬼夜行も楽しいんだよね」
「いい遊びだよ」
「さてさて、楽しみじゃのう」
 ぬらりひょんもにこにことして言う。
「こうして皆で仲良く歩き回れるのもよいことじゃて」
「何か随分と楽しそうだけれど」
「百鬼夜行ってそんなに楽しいの?」
 愛実と聖花は妖怪や幽霊達、特に今はぬらりひょんを見て首を傾げさせる。
「ピクニックかハイキングに行くみたいだけれど」
「それでもなの」
「そうだな、ピクニックだな」
 日下部は愛実のその言葉に対して言う。
「百鬼夜行は」
「そっちになるんですか」
「妖怪さんや幽霊さんにとっては」
「パレードかも知れないがだ」
 それでもだというのだ。
「ピクニックと言っていいかも知れない」
「ううん、ピクニックですか」
「百鬼夜行ってそうなんですね」
「そうだ、では今から行くか」
「はい、わかりました」
「それじゃあ」
「二人共離れないでね」
 茉莉也は二人の後ろから言う。
「離れたら道がわかりにくいからね」
「夜だからですね」
「昼と違いますから」
「そうよ、何処でも昼と夜は全く違うからね」
 暗くなるとそれだけで何もかもが変わる、学校は特にだ。同じ場所でもわかりにくいものなのだ。それで茉莉也も言うのだ。 
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