魔法少女リリカルなのは ~黒影の死神~
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『第二十五話』~どろんこ遊びは何歳までの遊びなんだろう?~
拓斗side
その後、アースラに移り、しばらくの間こちらで生活することになった。
俺となのはは残りのジュエルシードの探索と封印を行っていた。
そして現在、いやアースラにお世話になってから俺は、
「はあぁぁぁぁぁ!!!」
「遅い!」
「ぐぁっ!!」
なぜかクロノに模擬戦を申し込まれていた。しかも連日。
吹き飛ぶクロノを追い、眼前で拳を寸止めする。
「……俺の勝ちだな」
「ああ、降参だ」
クロノの宣言を聞き、拳を解く。
これはアースラに住み始めてから毎日この繰り返しだ。
今までの戦績? まぁ、結果は言わんでも分かってくれ。というか、コイツぐらいの相手なら魔法を使うまでもなかった。
「はぁ……はぁ。君は一体どれほどの力を持っているんだ!?」
「クロノ、何回も言ってるだろ。なのはもフェイトもそうだけどお前等は明らかに魔法に頼り切っている。それが勝敗を分けると言うことがなんでわからんのかね」
「ど、どういう……ことだ」
「とりあえず座れ。後これ」
そういって近くの自販機にスポーツドリンクがあったので買ってそれをクロノに渡した。
「済まない」
「遠慮するな。で、続きだが魔法の前にお前の場合は体がてんでだめなんだ」
「だからどういう意味だ?」
「お前、もし【魔法が使えない】状況を考えて訓練したことないだろ」
「そういえば、無いな」
「その時点でアウト。魔法は万能じゃないんだ。もし使えなかったら、武器がなかったら、最終的に頼りになるのは自分の力だけ。そのためには最低その場から逃げれる程度の足、護身術程度の武術を習得しておく必要があるんだよ。クロノの場合はそれを無視してして魔法の基礎、応用に走っちまったんだな。それでは負けるのは当然の結果だ」
「君はそれもこなしているのか?」
「もちろん。基礎体力をつけることは戦闘においては一番重要なことだ。両手腕立て、片手腕立て、腹筋、背筋、スクワット。それぞれ最低でも六百を3セットはする」
「ろ、六百を三セットも!?」
「そう。俺にも言えるがお前には才能がない。なのはみたいな恵まれた才能が」
「そうなのか? 僕から見れば君は才能に満ち溢れている気がするが」
「俺? 俺のは努力の結果だな。死ぬ気で鍛えたんだよ。それでもまだお前は俺なんかより才能はある方だ。でも、その才能も開花させないと意味がない。させたいなら地道に努力し続けるしかない」
「あぁ、そうだな(だが、これだけの戦闘力、どれほどの年月をかければ。というか君はあの子と同い年だろ!?)」
才能ね。俺は戦闘に関しては全くと言っていい程ないからな。
「あとクロノ。おまえには致命的な癖がある」
「なんだ?」
「勝ったと思ってすぐ油断をすることだ。日本には勝って兜の緒を締めろと言う諺があるんだ。勝っても気を抜けばそのすきをつかれてやられる可能性がある。勝っても気を緩めず、ありとあらゆる可能性を考え行動するんだ。お前の悪い癖は必殺技を撃った後に勝ったと思い込んで油断ができ、そこから隙ができている。それを注意しろ。そうすれば少しは変わってくる筈だ」
「……あぁ、わかった」
すると、突如緊急事態を告げるアラートが鳴り響く。
「ジュエルシードか?」
クロノの顔が局員の顔に戻る。
「おそらくそうだろうな」
「クロノ、拓斗君。ジュエルシードの反応があったわ至急現場に向かってください」
突然リンディから通信が来る。
「だとさ」
「わかった。急いで向かおう」
ブリッジに付くと既に転移の準備ができていた。
「場所は?」
「どこかの廃校舎だよ。周りには住宅もなし」
クロノの問いにエイミィが答える。
「今回はどうやらクロノとの二人みたいだな」
「よろしく頼む」
「それじゃ、飛ばすよ!」
エイミィの言葉とともに俺たち二人は光に包まれた。
「……拓斗、これはなぜこうなったんだ?」
「知るか。それよりこれとはなんだ?」
転移は無事成功し、校庭と思われる場所にいる。
俺達の目の前に広がる光景――
「なんで……なんで僕たちは
数え切れないほどいる泥人形に囲まれているんだああぁぁぁぁぁ!!」
「だから知るかあぁぁぁぁぁ!!」
クロノの言葉通り俺たちは泥で作られたと思われる人形に囲まれている。
人形が動くと言うロマンを全く感じさせず、ただ不気味としか言えなかった。
こんな感じに実物との忠実度がほぼ一歩手前上昇すると、途端に嫌悪感を抱く様になる現象を『不気味の谷現象』と言う……
「ソウル、これらは全部ジュエルシードが?」
[十中八九そうだろうな]
「恐らく思念体となって操っているんだろ」
「全部壊せば本体が出てくるって事か? あれを? 全部?」
なんか壊しても動きそうだぞ?
[なのはを連れてこなくて正解だったな………見たら絶対トラウマになってる]
おいソウル、それは俺達はトラウマになっても良いと?
[拓斗、できれば俺アイツ等に触れたくないんだが……]
「俺に素手で戦えと? 俺も触れたくないぞ」
[守護服は展開してるからさ。そんじゃ!!]
「は!? おい待て!!」
俺の声を無視して守護服を展開したままソウルは鎌を消してしまった。
「あ、あんのヤロ~……おいクロノ」
「な、なんだ?」
「お前のデバイス貸せ」
「君は魔法なしでは戦闘からっきしな僕に素手で戦えと言うのか!?」
「そうだ」
「君が素手で戦えばいいじゃないか! 素手でも十分強いんだから!!」
クロノは自分のデバイスを抱きしめ後ずさりで俺と少し距離をあける。
「だってよ~」
「だっても何もない! さっさと行くぞ!!」
「はぁ……しゃーないか」
俺は守護服のハーフフィンガーグローブをしっかりとはめ直し、クロノに続いて泥人形の大群に飛び込んだ。
[ものすごい数だな……コイツ等、念仏とか効くかな?]
「なわけあるか。こんなのは頭をを飛ばすのがセオリーだ」
ソウルの問いに答えながらも前方にいる二体の泥人形の頭を回し蹴りで蹴り飛ばす。
――ズボッ×2
気味の悪い音を立てて頭は遠くへ飛んで行った。
[な!? 人殺し!!]
「いや、そもそも人じゃないし。それ以前に生きてない」
[まぁわかってるんだけどな]
なら言わないでくれ。
「まぁ、元が泥だから強度は脆いな。これなら早く……」
その瞬間―――
――ズリズリズリズリズリズリズリズリズリズリズリズリ
首の無い泥人形が腕を振り回して襲ってきた。
「……あれで動けるのかよ!」
[どんな構造してやがるんだ!?]
「なら、これならどうだ!!」
今度は上半身を蹴りで吹き飛ばす、これなら……
――ズリズリズリズリズリズリズリズリズリズリズリズリ
今度は下半身のみで走って来た……人形だし、しかも泥だしな、痛覚なんて無いよな。
「もう動くなよ」
下半身を蹴り倒し、形が無くなるまで踏み潰した。
[……止まったか?]
「ここまでやればな……」
どうやら、粉々にしないとダメみたいだな。
「クロノ、如何やらバラバラにしないと動くぞ」
「何!?道理で手応えが無いと………ッ!」
クロノは『スティンガースナイプ』でマネキンの胸や頭を的確に貫いていた。
それでもマネキンは襲ってくる。
「常に粉々にしないと行けないとは……骨が折れる」
近くの泥人形に向かって連続で拳や蹴りを放ち体を粉砕する。
「一気に消し飛ばすぞ、S2U! 『ブレイズキャノン』!」
クロノの水色の砲撃が射線上にいるマネキンを消し飛ばした。
[後ろだ拓斗!]
「この………何だ?」
蹴り飛ばそうとしたが、足が動かない……………
「地面の中に泥人形にが……」
泥人形にの群れで見えていなかった、地面から飛び出した泥人形が足を掴んでいた…………回避できないな。
「『スティンガースナイプ』!」
次の瞬間、水色の魔力弾が何度も泥人形を貫き粉々に砕いた。
「よそ見をするな!」
「悪い、でも………」
俺は足を掴んでいた泥人形を粉砕してから拳ほどある石を拾って。
「そのセリフはソックリ返すぞ」
クロノに向かって投げ飛ばす。
「ッ!?」
石はクロノの頭上を掠めすぐ後ろにいた泥人形を粉砕した。
「凄い……って! わざわざギリギリを狙う事無いだろ!?」
「それはこっちのセリフだ。どうせなら足を掴んでるヤツを壊せ」
「僕は君に当ててしまうかもしれないから足の方はやめようと判断したからだ!」
「そんな暇あったらおまけに2、3体壊せ」
「何だよそのおまけって! 大体前回の封印もそうだ、戦闘中ほとんどソウルと話していただろ! 君が強いのは認めるが少しは黙って真面目に戦ったらどうだ!」
[お二人さ~ん。のんきに話してる暇ないと思うが?]
「「は? ……うわ~」」
いつのまにか物凄い数の泥人形が俺達を囲んでるよ……………
「これ本体叩いた方が楽じゃね?」
「その本体が分れば苦労しない!」
それはそうだ。
「もう数とかどうでもいい………全部壊せばいいだろ面倒臭い」
俺は近くの泥人形の群れに向かって突っ込む。
「こうなれば出し惜しみは無しだ!『スティンガーブレイド・エクスキューションシフト』!!」
クロノは無数の魔力刃を展開した。
「これで………」
「ラスト!」
最後の泥人形を同時に粉砕する。
「これで泥は全部片づけたか?」
「ハァハァ……みたいだな…………」
クロノは大技を使ったからか肩で息をしている。俺は魔法を一切使っていないため消耗はほとんどない。
「ハァ……後は……本体を封印だな………」
「その肝心の本体がさっきから見当たらな……ん?」
今何か動いた様な……
「どうした?」
「いや、あそこ」
俺が指したとこには………………
――ヒョコ♪
小さい妖精サイズの生き物が。
[ハイ?]
「おい………あれって……」
「本体だ………」
俺とクロノの答えが一致した……………
「どうやら、アイツ等を操るために力の大半を使ったみたいだな」
「というよりクロノ、あんな小さい物体に俺達は振り回されたのか?」
「………そのようだ」
[かなり苦労した原因がアイツ………]
如何してくれようか………
――ピュ――――ッ
思念体は逃げ出した。
「逃がすか」
[泥じゃないから俺もやるぜ!!]
ソウルの声を聞き俺は白夜を展開しつつ思念体を追いかけた。
「あ、おい! 僕を置いて行くな―!!」
あ……忘れてた……
「ったく、アイツは何処に行ったんだ?」
「さあな……」
[何故か反応もしねぇしな……]
しばらくの間思念体との追いかけっこが続いたがその途中で見失ってしまった。
そのため現在は廃校舎内を捜索中だ。
「う~ん……」
[どうした?]
「いや、ここは肝試しに使えそうだなと」
アイツ等はどんな反応をするかな……
[そうか……因みにどちらを?]
「脅かす方に決まってるだろ」
[やめろ]
ソウルに答えた瞬間に言われた。何故?
[いや、お前が脅かす側に回ったらアイツ等は失神するわ!!]
「馬鹿、そこまでするかよ」
[は? ……あぁ、そうだよな。いくらなんでもアイツ等を泣かせるような事は……]
「失神するかしないかという絶妙なレベルで作って最後まで恐怖を与えるんだよ」
[なお質が悪いわ!!]
「君たちは何を言ってるんだ……」
別にいいじゃないかクロノ、少しは気楽にいかないと。
それとソウル、そこがいいんじゃないか。
[……おい、反応あったぞ]
「どこだ?」
「校庭だだ」
「は?」
俺の声でクロノが窓から校庭を向くとそこには十数メートル程の巨大な泥の山があり、その上に思念体が座っていた。
「なんだあれは!?」
「逃げたのは泥を集めるためだったのか」
[アイツは泥を操るみたいだしな]
「いや、なんでそこまで冷静なんだ!? 泥を操る思念体があれほどの泥を持ってるんだぞ!? 遠距離で狙われでもしたらどうする!?」
「だってさ……」
――ズドドドドド!
「もう狙われてるっていうか撃たれてるし」
「もっと早く言えぇぇぇぇぇ!!」
こちらに向かって放たれた泥の弾丸を横に跳んで避けながらクロノが叫んだ。
クロノside
「もっと早く言えぇぇぇぇぇ!!」
拓斗への文句を叫びながら泥の弾丸を避ける。
なんで重要な事を早く言わないんだアイツは!!
さらに……
[あ、俺参加しないから]
「は!? ソウル!?」
[泥相手は無理]
「終わったら洗ってやるから手伝え!」
[嫌だ! 触れること自体嫌なんだよ! そんじゃ!!]
「おい待てよ! ソウル!?」
ソウルが出てこない。
デバイス(拓斗のはトリガーだったか?)が使えない。
つまり拓斗は戦うことができず実質的に僕だけで戦うことになる。
「拓斗! 後ろに下がれ! コイツは僕一人でやる!!」
「は? 何言ってんだよ」
「今、魔法が使えない君は足手まといだ!!」
「いや、魔法は普通に使えr「『スティンガー・レイ』!」話を聞け!!」
拓斗が何かを言っているが今はそんな暇はない!
僕が魔力弾を一発放つと思念体は泥の弾を放ち相殺する。
「『スティンガー・レイ』!」
四発放つが思念体も弾丸を四発放ち相殺される。
ならばこれはどうだ!
「『スティンガー・スナイプ』!」
今度は追尾性のある貫通型の魔力弾を放つ。
思念体は再び相殺しようとしたのだろう。泥の弾丸を放つがスティンガースナイプがそれを粉砕しそのまま思念体に向かう。
相手はそれを翻すが魔力弾は方向を変え再び思念体に向かいそして当たった。
しかし、思念体にはあまりダメージがなかったようだ。
思念体は突然ものすごい勢いで泥の山に向かい飛ぶ。
何かをする気だ!
「『スティンガー・レイ』!!」
魔力弾を放ち妨害するが簡単に翻され、思念体は泥の山に辿りつく。
山となっていた泥は思念体に集いそして
一つの巨人となった。
後書き
~あとがき雑談会~
作「今回は拓斗とクロノのジュエルシード回収の回でした」
拓「今回はゲストはいないのか。そして中途半端に終わったな」
作「いつもより長かったからね~。このあたりでいいかなって区切らせてもらいました」
拓「俺全く魔法使わなかったな」
作「拓斗はそのままでも強いしね。次回はバンバン使うよ~」
拓「ちなみにどれくらい?」
作「まだ決まってないよ。その時に思いついた魔法を出すだけだからね。最悪今まで出た魔法ばかりかもしれないね」
拓「それはあんまりだろ……できるだけ新しいのを載せろよ?」
作「がんばるよ。てことで次回予告ね」
拓「あいよ
突如思念体は泥の巨人となる
クロノは一気に追いつめられる
その時、拓斗はその力の一端をクロノ見せる
次回 魔法少女リリカルなのは ~黒影の死神~『拓斗の力』」
作「それじゃあ次回に」
作・拓「「トリガー・オン!!」」
今度は誰を呼ぶんだ?
そうだねぇ……いっそデバイスの皆呼ぶ?
いいかもな……
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