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久遠の神話

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第八十三話 権力者その七

「よかったです」
「料理は美味しくなくてはならない」
「そうですね」
「ただしだ」
「それでもですね」
「あまり贅沢だとな」 
 それではというのだ。
「かえってよくない」
「贅沢と思われることはですね」
「過度だとな」
 その贅沢がだ、過ぎればというのだ。
「よく思われないからな」
「企業家としても政治家としてもですね」
「マスコミに贔屓されている市民活動家上がりの政治家ならともかくな」
 こうした政治家は幾ら無能でも一流レストランを連日連夜ハシゴしていても何も言われない、左翼マスコミと彼等が贔屓している極左政治家なら。
「私は違うからな」
「マスコミには媚びませんね」
「私は媚びない」
 絶対にだとだ、権藤は妻の傍にある椅子に座って答える。
「決してな」
「どなたにもですね」
「媚は人に必要ない」
 何一つとしてだというのだ。
「当然私にもだ」
「だからこそですね」
「私は媚びない、ましてやだ」
 さらにだとだ、権藤は言う。
「マスコミなぞにな」
「媚びられませんか」
「あの連中はただの腐敗勢力だ」 
 それに過ぎないというのだ、日本のマスコミは。
「報道という自分達の武器を使い情報を独占し隠蔽する」
「それは権力ですね」
「しかも腐敗しきった権力だ」
 彼等こそがそれだというのだ。
「常に反権力だのと言うがな」
「マスコミこそがですか」
「腐敗しきった権力だ」
 この世にある権力は一つではない、政治家だけが権力ではないのだ。
 国家権力も権力だがこの世には様々な権力がある、マスコミにしてもそうだし労働組合もだ。教師にしてもネットの発信者にしてもそうだ。
 だからだ、権藤は妻に言うのだ。
「そうした連中が持て囃す輩なぞな」
「先の政権の首相の方々ですか」
「華麗なる一族から出た首相は禁治産者だった」
 そう言うしかない輩だったというのだ。
「己の発言に責任を持てない、責任把握能力がない輩なぞだ」
「まさにそうだと」
「そうだ、マスコミはあの輩に妄想を見ていた、いや」
「そうでもないですか」
「金を貰っていたのだろう、そうした動きも感じられる」
 その左翼政党の幹事長からマスコミにかなりの金が流れていたらしい、即ちマスコミは買収されて変更記事を書いて報道していたのだ。
「まさに腐敗だ」
「嫌な話ですね」
「私はそうした連中とは違う」
 断じてだというのだ。
「だからだ。連中に対してだ」
「隙は見せませんか」
「贅沢はするが私の資産の中で見合った贅沢をだ」
「それをですね」
「するだけだ」
 こう妻に言うのだった。
「私はな」
「ではそうした政治家になられて」
「首相になり日本を導いていく」
 その所存も語るのだった、ここで。
「私の資質でな」
「では私は」
 妻としてだ、夫に対して微笑んで言った言葉だった。
「そのあなたを」
「支えてくれるか」
「妻はどうあるべきか」
 この考えからの言葉だった。 
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