オズの五人の子供達
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第二幕その十
「黄色じゃないし」
「あの畑のカボチャを貰ったら」
ナターシャはその畑のカボチャを見ました、やっぱりその畑のカボチャも青いです。マンチキンの綺麗な青です。
「やっぱり」
「ジャックさんも青くなるのかしら」
「そうじゃないかしら」
こう二人でお話します、どうなるのかと思いながら。
男の子三人もそのことが気になります、その中ででした。
一降雨はログハウスの扉を叩きました、そして出て来た血色のいいお顔のマンチキンのおじさんに言うのでした。
「あの、よかったらカボチャを一個交換してくれませんか?」
「あっ、カボチャ頭のジャックさんじゃないかい」
おじさんは笑顔でジャックに応えてきました、そして他の人達も見て言います。
「かかしさんに木樵さん、つぎはぎ娘さんに」
「この子達は僕達の友達です」
ジャックは笑顔でおじさんにこのこともお話します。
「ですから安心して下さい」
「そうなんだね、それでカボチャを」
「はい、僕の頭のカボチャとおじさんの畑のカボチャを」
「いいよ、じゃあ一個好きなのを持っていくといいよ」
「有り難うございます」
「それでジャックさんの今のカボチャは」
「好きに使って下さい」
ジャックはにこりと笑っておじさんに言いました。
「スープでもパイでよ」
「悪いね、じゃあパイにさせてもらうよ」
「はい、それじゃあ」
こうしてお話はあっさりと決まりました、ジャックはおじさんの畑から新鮮な青いカボチャを一個貰いました。そうしてです。
そのカボチャの目とお口を作って頭のそれと交換するとです、カボチャの色は。
青から黄色がかったオレンジになりました、五人はそのカボチャの色が変わったのを見て驚いて言いました。
「へえ、そうなるんだ」
「カボチャの色が変わるんだ」
「あっという間だったね」
男の子三人がそれぞれ言いました。
「いや、どうなるかって思ったけれど」
「それがジャックさんの色なんだね」
「どんなカボチャでもそうなるんだね」
「うん、そうなんだ」
ジャックもです、こう五人に答えます。
「どんなカボチャでも僕の頭になればね」
「その色になるんですね」
「ジャックさんの色に」
「僕は僕だからね」
今度は女の子二人に答えるジャックでした。
「僕の頭になればカボチャも僕の色になるんだ」
「それじゃあさっきまでのカボチャは」
どうなるかとです、恵梨香はこのことについても言いました。
「どうなるんですか?」
「あれはウィンキーのカボチャだからね」
その国で出来たカボチャだからだというのです。
「黄色になるよ」
「そうなんですね」
「そうなんだ、僕のカボチャはそうなるんだ」
「成程、そういうことなんですね」
「そうだよ、僕の頭は自由に交換出来てね」
そしてなのでした、
「僕の色になるんだよ」
「それでカボチャを交換するだけで、ですか」
「何時までも生きられるんですね」
「この国では誰も死なないし歳も取らないよ」
ジャックは五人にこのこともお話します。
「食べないと動けなくなる人はいるけれどね」
「それでも誰も死ななくて歳を取らない」
「そういう国なんですね」
「そうだよ、ただ僕は頭を入れ換える必要があってね」
「僕はブリキを身体に挿すんだ」
木樵はそうしないと動けないのです。
「さもないと動けなくなるからね」
「僕は時々身体の中の藁を交換してるよ」
「あたいは綿をね」
かかしとつぎはぎ娘はそうだというのです。
「そうすると動きがよくなって気持ちがいいんだ」
「そうしてるんだよ」
「ううん、それでもね」
「そうよね」
それぞれそうしたことをしなくてはならくともです、何も飲まず食べず寝らず疲れずにいられることはです。恵梨香とナターシャは二人でお話します。
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