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凡人? 天才? それとも……。

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第三話 【嘘吐き】

 
前書き
休みって何すればいいかわからないですよね?

キャラ設定が曖昧になっているかも……。
時系列的にはプロローグの続きになります! 

 

「快! これはどういうこと。なんであたしの部屋に友達連れてきているの?」

「いや、俺の部屋汚かったしさぁ。仕方なしに」
 
 ……快? なに騒いでいるんだ? まだ意識が朦朧として――

「なら、部屋にあったあたしの下着は! もしかして……」

「それならタンスにしまったぁ。流石に出し放しだと不味いじゃん。何段目だっけなぁ?」

 ……誰か他に居るのか? 痛っ! 頭が――

「人の下着勝手にしまわないでぇ! それによく分かったね。もしかして……」

「上から順番に見て、下着あるところ見つけた。三段目だっけ?」

 ……女性? 誰だ? 凛じゃなさそうだし――

「……快? 俺。いつの間に寝ていたんだ? それに学校の初日のことを夢で見ていたような……っておい! 快これはどういう状況?」

 こっちが寝ている間に快が仲良く女子と喋っていやがる。それにいつ俺は寝たんだよ?

「おっ! 起きたかぁ。大丈夫かぁ? ごめんな。俺の妹が気絶さしたみたいでぇ」

 妹? 気絶? って、どういうこと? ……そうだ! 俺は快の家に遊びに来て、見知らぬ女子の部屋でギャルゲームした挙げ句。帰宅した女子に見つかり。部屋のドアが開いてから……そこから、思い出せねぇ。

「ごめんなさい。さっきはいきなり金棒で襲いかかって……」

 快の妹らしき人が丁寧に謝る。

 金棒? 襲う? そっか、だから記憶がないのか。

「いや。こちらこそ勝手に部屋にお邪魔して。すみません」

 快に騙されたとしても、それに気がつけなかった俺のミスなのでこちらも丁寧に謝る。

「あたしは、快の妹の陽奈(ひな)です」

「俺は、幸谷大地。幸せの谷でこうや」

「幸谷さんですか? 変態の癖に言い名前してます」

 今もの凄く心外な事を言われたような……。

「さぁ~。和解もしたことだから、ギャルゲーするかぁ」

 ゲーム機の電源を入れ、コントローラーを持って。余りのコントローラーを差し出す、快。

「「お前が一番反省しろー!」」

 差し出されたコントローラーを丁寧に置く。

 大体、誰のせいでこうなったと思っているんだ? このバカは……

「おっ! ツッコミも息ぴったりじゃん。お前ら似たもの同士かぁ?」

 いや違うだろ、普通。お前の頭は大丈夫か?

「……な訳がないでしょ、快。大体、反省している? 後で精神科行く?」

「そうかぁ。案外、二人三脚早いかもなぁ。大地と陽奈」

 妹の話を完全にスルーして変な話題に変える。

「大地って? この変態の人? じゃなくてこの人? どっかで聞いたような気が……」

 スルーされることに慣れているのか。快の話題に食いつくのはいいけど、さり気なく変態っ
て言ったよな?

「そこの変態だぁ。見たことないかぁ? 凛の幼なじみらしい」

「なんで知っているんだよ、お前は。言った覚えがないぞ、誰から仕入れた。後、勝手に変態にするな! この変態ゲーマー」

「ふ~ん。この変態が……この人が。凛の……」

 今も変態って言ったよね? 君の兄の方が変態なのに……。って、近っ!

 陽奈さんはそう言うと顔を近づけて俺の顔をジッと見る。髪からほんのり香るのはシャンプ
ーの香りかな? 安らかな気持ちに……ってこれじゃあ本当の変態だな、俺。

「あの、顔が近いです。なにか顔についていますか? そんなにジッと見られると困ります。いろんな意味で」

 本当にいろんな意味で困る、つい顔に見とれてしまいそうになるから!
 
「あっ! ごめん。凛の幼なじみだからつい」

 慌てて近づけた顔を離し、またジッと顔を見つめる。

「お前らもしかして初対面だったかぁ? 同じ学校なのに」

 初対面な事が不思議なのか。快が不思議そうに呟いた。

 いや、不思議じゃないだろ普通。同じクラスならともかく、学校なら知らなくても……。

「えぇぇぇっ! 見たことない。こんな変態。……人」

 もの凄く吃驚した陽奈はそんなバカな。と言わんばかりに叫ぶ。

 そこまで驚く必要ないだろ。学校が一緒ってことで、うん? 同じ学校か……ってことは知り合いがふっ、増えたぁぁぁ! やばい嬉しいぜ。

「この変態が……人が同じ学校なんて――ってなんて顔しているの! もしかして……」

 陽奈は間違った方向に想像して焦りだす。

「違う、違う。この変態は知り合い増えて喜んでいるだけだ。変な想像する癖。直せよぉ、兄ちゃん悲しくなるからなぁ」

 快は陽奈の想像を間違った方向から正しく方向に修正する。今更だけど変態って言うのを止めろよ。
「うるさい。私のことだからお兄ちゃ……快は関係ない」

 仲良いな……。昔は凛とこんな感じで仲良く騒いでいたりしていたな。でもまぁ、今はただのクラスメイトだけどな……

「おっ。どうしたぁ、大地。寂しそうだぞ、陽奈の言葉が効いたかぁ?」

 ふざけた様子で快が心配してくれるから、からかっているのか心配しているのかよく分からない。

「いや、ちょっと昔のこと思い出してな……。まあ、気にするな」

「昔のことって、凛のこと? 昔から凛はあんな感じ?」

「こらこら、陽奈っ。お兄ちゃんは悲しいぞぉ……。少しは大地の気持ちを考えろぉ」

 興味津々に凛のことを聞く陽奈に対して快は悲しむ振りを適当にしながら言う。

「なんでよ。大体、さっきからお兄ちゃん、お兄ちゃんってアンタの方が少し生まれるのが早かっただけでしょ」

「双子でも俺の方が早いからお兄ちゃん。それ以外は認めん」

 快は強気で言い切ると陽奈はむぅーと頬を膨らます。

「へえー、お前ら双子だったのか。全然似てないな」

 率直な感想を言ってみると、快と陽奈では全く特徴が一致しない。まぁこれが男女の区別って奴か。

「よく言われるなぁ。大地、お前は俺の親友だぁ。似ていない真実を話そうじゃないか」

 ギャルゲーをしているときにしか見られないような真剣な表情で快は語ろうとする。真実を。

 ちょっと。と止めようとする陽奈に快は片手で待てと合図をとる。

「嘘偽りのない実話だ。来てくれ、大地」

 快が余りにも真剣なので一応、唾を飲みこんどく。ゴクッ。

「俺と陽奈は親が違うし、もちろん血も繋がらない他人だ。ある病院で俺と陽奈は偶々、同じ日に生まれた。しかも偶然にも俺の親父はと陽奈の親父は仲の良い親友だった」

 と言って、俺と大地みたいな感じな。と付け加えてニッと笑う。

「小一の時だ。少し肌寒いある日、男手一つで育てていた陽奈の親父さんが殺された。殺したのは通り魔だ。運が悪かったってみんな言ってたけな。動機は聞いた話によると実にシンプルで人生に躓いて憂鬱だったから人を殺して見たくなった。すぐにその通り魔は捕まって、懲役何年だけな? まあ良いか。数日後、通り魔はどうやったのか脱走した。その数時間後、通り魔は死体として見つかった。なにがあったかは不明」

 快は忌々しそうに言い捨てる。陽奈も表情が曇っているのを見るとこの現実離れしている話しも実話に思う他ならない。

「葬式で親父が無理言って、陽奈を預かることを決め。無理を通し陽奈を養子にした。こんな感じかなぁ」

 快が語り終えてから沈黙が訪れた。陽奈は途中から聞いていられなくなり話しの途中に部屋を出ていった。

「聞かせて悪かったな。こんな話し」

 申し訳なさそうに謝る快。

「聞きたくなかったよ。全くもって聞きたくなかったよ。こんな、こんな悲しい嘘を」

 快は、ばれたかぁ。とニッと満面の笑みで笑って

「気付いていたのかぁ。ちぇっ、ばれないと思ったのになぁ」

「気付くだろ普通に。今朝やったギャルゲーのプロローグ通りじゃねぇか」

 あっ、やっぱりぃ。と言って快はコーラを飲む。

 俺も快に注いでもらって炭酸が随分抜けたコーラを飲む。

「それにしてもお前の妹は随分演技がうまいな。演劇部かなにかに入っているのかよ」

「演劇部には入ってないなぁ。演技は昔から得意だしなぁ、陽奈は」

「あの演技力凄いな。本当に泣いていたと思った」

 あの泣き真似は長年嘘吐きの嘘を見破っている俺でさえも騙し欠けたのだから。

 快を見ると相変わらずギャルゲーをしている。

ギャルゲーってそんなに楽しいものか? ってか、飽きないところ凄いよな。飽きないなら俺も簡単なギャルゲーやってみようかな?

「いつもギャルゲーしかしない快君。ギャルゲーの何処が面白いんだ? 飽きないのか?」

 すると快は、はぁあ。と鼻で俺を笑う。なんだよ、そのお前はバカだなって目はーっ! 近くにあるコーラのペットボトルを持って殴りかろうとすると、しゃあない、教えてやるかぁ。と言ったのでペットボトルで殴るのを止める。

「一言で言うと、エンドが好きだから。あっ! もちろんLikeであってLoveじゃないからなぁ」

「へえー、そうなんだ。ならさ、あのゲームのエンドって何種類ぐらいあるんだ」

 見るかぁ。と言って快はコントローラーを使いCGをクリックする。

「まず、これだなぁ」

 それは、先に俺がしたバットエンドだ。

「これが二つ目だなぁ」

 それも、先に俺がした、BadEndだ。

「これは三つ目だぁ」

 それももちろん、先に俺がした、ばっどえんど。文字を変えれば気付かれないとでも? 考え方が甘いんだよ、バ――カッ! 

「ラストの自称ハッピーエンドだなぁ。このエンドも腹が立つけどなぁ」

 最後のハッピーエンドは主人公がヒロインと結婚し幸せな家庭を築く前に事故死するエンド。8月8日、日曜日。十六歳

 正直、どれのエンドも俺がしたエンドと一緒な気がするけど。

「こんなもんかなぁ。この駄作のゲームは全くヒットしなかったし、クリア出来た人も数十人だしなぁ」

 そう言ってから、快は無表情のまま黙々とギャルゲーを続けた。

「あっ! 一応、このゲーム全部少しだけエンドの内容違うからなぁ。気付けよぉ」

「えっ!」
 
 

 
後書き
次は、2月25日までに投稿したいと思っています。
内容は、鬼ごっこするかも! 
人を助けはまだまだ後かと思われる。しばらく、茶番(日常)が続きます。
どうか暖かい目で見守ってください。
感想、指摘、評価などあったらお願いします! 
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