SAO二次創作者と、二次主人公ズの、やりたい放題桃太郎
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第四章 奇襲作戦
では、屋敷から少し離れた場所に巨大なガレオン船が入ってきます。
中からは次々に、海賊の男達が陸へと上がってきますが、まだ武家らしき男達は見えません。
彼等がゆっくりと歩いていく先には彼等の拠点となる屋敷がありますしかし今は屋敷の門は開いて居ますし、そのまま歩いてこられては罠を見破られる可能性も微量ですが有りました。より効率的に罠にはめるには、敵を焦らせる必要が有ります。
その為に、りょう達は、陽動を行う事にしました。
り「すぅ……お゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!」
りくや「いっ!?……なんつー声…」
えみ「ひぅっ!?」
まさき「……人間拡声器か、あいつは」
有りえない声量の大声が、島中の空気を切り裂いて響き渡ります。
突然島の中。それも自分たちの屋敷から得体の知れない咆哮が聞こえた海賊たちは、冷静ではいられません。
一刻も早く原因を確かめようと、彼等は全速力で走りだし、自ら罠の中へと飛び込んでしまいました。その瞬間……何人かの首がずれ落ち、地面から大量の鋼糸による刺突が飛び込み、敵軍のほぼ中央を惨殺します。
侵攻していた男たちは、これにより先陣を撃破され、足が止まります。とは言え、罠が看破された為、他の連中は回り込んで来るようです。
────
鳩麦「さ、迎撃始めるよ~位置は基本自由でどうぞ」
蕾姫「はいよ」
涙カノ「うーむ、一人だけ実力の無さが際立つ……」
なべさん「まぁあんまり深く考えなくてもw」
霊獣「一番人外な主人公使ってる人が何か言ってるぞw」
なべさん「酷い!幼気な少年に何て事を!」
鳩麦「幼気で無邪気な狂気ですよね分かります」
なべさん「」
蕾姫「さっさとやるかw」
レオニス「そうですねw」
蓮夜・ULLR「ワクワクテカテカ」
────
【りん】
罠にかかったのを見て瞬時に飛び出した。安全だと思っていた道での突然降り懸かった不幸。それに動揺し、浮足立った奴らを奇襲するのは簡単だった
りん「ふっ……!」
短く吐き出した呼気と共に右方の腰に差した剣を抜刀。片手だけを使った変則的な居合斬り
最速で振り抜かれた剣に浮足立っていた盗賊は反応できるはずもなく、驚愕の色が張り付いた盗賊の顔が横にズレた
そして、ほぼ同時に放たれた左方の剣による居合斬りで二人目の首が飛ぶ
「て、敵だぁぁぁー!!」
りん「…………ッ!」
さすがは荒事を得意とする盗賊といったところだろうか。さらに二つの首が飛ぶ頃には我に返ると態勢を立て直していた
「敵は一人だ! 囲んで押し潰せぇ!!」
この中のリーダーと思わしき髭の立派な中年親父が声を張り上げる
確かに人数が多いならば、囲むのが一番有効な手だ
だが、残念ながらここは俺の巣の中、だ
りん「終わりだ」
腕を思いっきり引く。それと連動して周りの木々に引っ掛けておいた鋼糸が木々を切り刻みながら盗賊達に襲い掛かる
「くそっ! お前ら、俺様の盾になれ!」
「なっ……えっ……」
敵のリーダーは近場にいた仲間の身体を掴むと自身の盾にする。本人は身体を伏せつつ即席の盾で鋼糸をかわした
血の香りが辺りに満ちる。敵はリーダー以外息絶え、音はリーダーの吐息の音しかしない
りん「一人残ったか」
「な、なんなんだよお前はぁ!?」
錯乱したように俺を指差しながら、口の端々から唾でできた泡が汚く飛び散らせた
りん「別に特別な人間じゃない。強いて言うならお前の死神……ってところか?まあ、心配するな……。ただでは殺さない」
「く、くそぉぉぉぉ!!」
やけくそ気味に盗賊は手に持った長剣を大上段に振りかぶり、こちらに向けて突貫してきた
「死ねぇぇぇぇ!!」
そして、俺がその間合いに入ると全力で振り下ろしてきた
キィーーーン、という甲高い金属音が真っ赤に染まった森の広場に響き渡る
盗賊は長剣を振り下ろした状態で固まっていた
驚愕の目線の先には、自身の剣。ちょうど中程から先がない己の剣だった
りん「少し……」
呆然としている盗賊の直ぐ前で踏み込み、先程横に薙ぎ払った左方の剣……とは逆の手に持った剣を振りかぶる
りん「……うるさい」
盗賊の無防備な腹に踏み込みのエネルギーを乗せた剣の柄がめりこんだ
盗賊は口から血ヘドを吐きながら爆発に巻き込まれたかのように吹き飛び、木々を二、三本打ち砕きながら吹き飛んでいった
りん「さてと……お前には贖罪をしてもらうぞ?この世でも……あの世でも。まあ、聴こえてないか」
俺は辛うじて息のあった盗賊を回収。ズリズリと地面を引きずりながら元来た道を引き返した
────
蕾姫「こんなもんかな」
鳩麦「ほぼ一瞬で殲滅しましたねw」
蕾姫「まぁ、条件も良かったしw罠張って即効殲滅出来なきゃ何のために張ったんだか分からないしね」
レオニス「リンの巣には入りたくないなw」
涙カノ「同じくw」
蕾姫「安心しろw何処でも巣になるからw」
鳩麦「怖えぇ……さて、次はりくや君だ。涙カノ先生」
涙カノ「うっす。行きまーす」
────
【リクヤ】
りんとまさきの罠のおかげで大半が減ったけどまだまだ死に損ないがいるみたいだ。さて、どうやって特攻しようか…。
ゆか「とりあえず上から奇襲ってのはどうかしら」
りくや「あの二人みたいに速さないからそうするか……ってなんでここに!?」
ゆか「しょうがないじゃない……現時点で信用できるのはあなただけなんだし」
確かに助けたのは俺だけど信用というならこの人自身の姉妹の方が素性の知れない俺より信用できるだろ……と思った矢先その理由を話してくれた。
簡単に言えば海賊が来てから元々この島に住んでる住人に幾度か裏切られたことがあるらしい。
ゆか「情けないわね……姉さんと妹信じれないなんて…」
りくや「しょうがないって言えばしょうがないかもな……あんな目に合わされたわけだし、俺だけでも信用してくれて嬉しいよ」
ゆか「っ!……別にあんたには助けてもらったから…」
急にそっぽを向いてぶつぶつと何かをつぶやくこの少女。なんでだろうか、俺は数秒しかない瞬間、このほんのりと顔を赤らめた横顔に目を奪われていた。
ゆか「………何よ」
りくや「な、なんでもない。でも外危険だからここにいろよ?」
ゆか「……それくらい、わかってるわよ」
りくや「おっけ。……ぺっぺっと……よっと!」
軽く飛びあがって枝につかまり逆上がりの要領でどんどん上がって行く。十分なところまで上がると見晴らしが良くなり敵もよくみえる。
りくや「さて……やりますか!」
西洋風の大剣を軽く構え、枝を二、三回しならせ俺は思い切りジャンプした。
りくや「土竜閃!」
「な、なんだ!?」
「て、敵襲っ!?う、うわぁぁあ!!」
着地の勢いで深々と地面に剣を突き刺し周りの地面を大きく隆起させその場にいた海賊の仲間らしき人間を飲み込んで行く。
りくや「悪党とはいえ人殺すのは抵抗があるけど……」
相手も場数を踏んでいるのかすぐに戦闘体制に入った。中には南蛮渡来の銃を持っている者もちらほら。
りくや「旋桜花っ!」
コマのようにその場で数回転して無謀にも突っ込んできた敵どもを斬り倒す。
「へっ、こいつで死ねっ!」
りくや「確かに食らったら死ぬけど」
引き金が引かれ弾丸が飛んでくるが、避けるのは難しいことじゃない、てか楽勝だ。
「な、に……」
りくや「…………っ」
すぐに近づいて斬り上げ殺す。そんなことを何度も繰り返していると初めて金属と金属がぶつかる甲高い音が聞こえた。
どうやら初めてガードされたらしい。
「てめぇ、ガキのくせに俺の部下をやるとはなぁ」
りくや「そりゃどう、もっ!」
剣を弾き返して一旦後ろに飛ぶ。そいつが着けている武装を見るとさっきの奴らとはどうやら格が違うらしい。そういや、さっき部下とか言ってたな。
「てめぇのせいで俺の予定が狂ったよ」
りくや「予定って…何?」
「あ"ぁ"?まぁここで殺すから教えといてやるよ」
ガキって呼ばれるし気色の悪い声だしムカついた俺にその男はさも当然にその答えを口にした。
「あの屋敷にいる娘をもらえることになってなぁ、あとはわかるだろ」
りくや「っ……わかりたくもないけど」
「確か電気椅子で拷問されてる女だったか。いい感じで壊れたやつを、だとよ」
電気椅子で拷問されたやつ…それは俺に一人しか知ってる人はいない。あの中に他にいるとは思いたくもない…ゆかっていうあの子か。
りくや「ふざ…けんな!」
「ふざけちゃねーよ。奴隷をどうしようが俺の勝手だろうが」
目の前で汚い言葉を放つ男をにらみながら唇を噛む。強く噛んでいるせいか鉄のような味もしているみたいだ。
「それに感謝して欲しいねぇ!ぶっ壊れたその人形に生きるための役割を与えてやるんだからなぁ!」
なぜだが知らないが頭の中でぶつんと何かがきれ、一つのことしか考えられなくなった。……こいつを殺す、殺しても殺し続ける。
りくや「くっ…くっ……あははははは!いいよ、面白いね!」
「……だろ?どうだ、一緒に」
りくや「ならあんたにも与えてあげるよ、俺の気持ちを満たす一瞬だけの役割を」
「……あ"?何言って」
男の言葉は続かずに途中から絶叫へと変わっていた。それも仕方ないだろう、なんせ今まであったはずの左腕がないのだから。
りくや「まだまだ行くよ?」
さらに顔面グーパンチして少し体が浮くと同時に券を振り抜き足を切断する。
「あ、脚が!?お、俺の脚がぁぁ!」
りくや「まだ満足しないからよろしくね」
すぐさま残り一本の足を切断して地面に倒す。
りくや「武器、もらうね」
もう誰のかわからない刀と銃を拾って死にかけの男の前に置いておく。
「!?!?!?や、やめ!?」
りくや「いやだ」
銃の撃鉄を起こして撃てる状態にセット、ためらいなく右手を撃ち抜く。絶叫を上げるが関係ない、残った弾丸を右腕にどんどん撃っていく。
りくや「さて次はっと」
髪を引っ張って無理やり起こして、地面に落ちている刀を一本拾う。どうやらしぶとく生きてるらしい、G並みだな。
りくや「さて何本で意識飛ぶかな?」
まず一本、へそのところにぶっさす。もう悲鳴もあげれないのか静かだ。さらに二本目、脇腹の方から貫く。続いて三本、四本とその男に刀をどんどん刺して行く。
りくや「さあて、人間バージョン、海賊危機一髪の完成ってね」
目の前にできたのは人間の上半身に刀が何本も突き刺してあるものだった。意識が飛んだのかはどうでもいいけど外れだったら飛ばさなきゃいけない。
りくや「バイバイ」
最後の言葉を口にし、首を最後に一閃、綺麗に首が飛んだ。
りくや「あははははは!はははは!ははは…はは…」
今までなんか変な感じだったのが晴れて来る。どうやらまた無我夢中で変なことをしてしまったらしい。
りくや「はぁ、はぁ……また、かよ………っ」
略奪とかやろうとしてたことは向こうが悪いので謝罪も何もないけど俺はとりあえず手を合わせておいた。
────
鳩麦「ダークリクヤ君に容赦は無かった」
涙カノ「いやぁ……w」
蕾姫「褒めてないがwしかし唯一の良心が無くなりつつあるなぁ」
レオニス「唯一のって……いや……否定できないけどw」
鳩麦「?いやいや。りょうは良心の塊ですよ?」
蕾姫・レオニス「えっ?」
鳩麦「えっ?」
涙カノ「えっ?」
鳩麦「えっ?」
鳩麦「……コホン。さて、次はレオニスさんだ」
レオニス「アッハイ」
────
【マサキ】
えみ「ねぇ、その……まさき、君……?」
まさき「うん?」
海賊たちが通る道中。その脇の茂みの中に、二人は隠れていた。えみに関しては、一度さちの元へ帰すべきかとも思ったのだが、今ここで帰した場合、道中で賊と鉢合わせしてしまう可能性が捨てきれなくなる。ならばいっそ近くにおいておいたほうがよほど安全だということで、えみは早鐘を打つ心臓を右の掌で押さえながら、まさきの隣で隠れていた。
えみ「その……、何で、こんな辺鄙な島に、わざわざ来てくれたの……?」
会話がないことに何故か耐えられなくなったえみが尋ねると、まさきの切れ長の瞳が、わずかにこちらを向いた。視線が交わったその瞬間、えみの顔がかあっと熱を持つ。
まさき「さっき、合流したときに、薙刀を持っていた奴がいただろう。散歩してたら、そいつに誘われたのさ。鬼退治とやらをな」
えみ「そうなんだ……。でも、じゃあ、何でわたしたちを助けてくれたの……?」
命の恩人に、こんなことを聞いてしまっていいのだろうか……?
そんな考えが頭を巡るよりも早く、疑問が口から飛び出した。もし、あの海賊たちを倒すことだけを考えるのなら、わざわざえみたちを助ける必要など何処にもない。むしろ、そこで見つかる危険を冒すよりも、一気に海賊だけを倒しに向かったほうが早いはずなのだ。
まさき「……別に、そうしてはいけないなんて決まりは何処にもない」
えみ「でも……」
まさき「……もう、そろそろ賊が来る。黙って……これを着ろ」
クールで、冷徹ささえ感じられる彼らしからぬ言動にえみが食い下がろうとすると、まさきはそれを遮るように言って、羽織を脱ぐ真似をした。一瞬何をしているのか見当もつかなかったが、その後まさきに透明の羽織を被せられ、これを脱いでいたのだと気付く。
まさき「……これで、お前の姿は誰の目にも映らない。ここで、黙って大人しく待ってろ」
えみ「え……」
言っている意味が信じられず、僅かに驚きの声を漏らしたえみだったが、まさきの顔が真剣みを帯びたことを察して、それ以上は聞かなかった。人が消えるなんて、あるわけがない。そのはずなのに、隣のまさきと彼が着せてくれた羽織を交互に見ると、何故かそれも本当のような気がして。
えみ「お願い……」
えみは静かに着せられた羽織のすそをぎゅっと掴み、今から戦地に赴こうとする隣の彼の無事を強く祈った。
その後しばし待っていると、先方のりんが待ち構えているはずの辺りが俄かに騒がしくなった。目の前を通る賊の足が止まり、集団の中央で馬に乗っている男が、なにやら伝令を使わせようとしている。
まさき「……さて、それじゃ、そろそろ証明第二節といきますか……!」
まさきは口元を獰猛に歪めると、両側の腰から投剣を一気に八本ほど抜いて指の間に挟むと、今度は腕を大きく振って一気に投げた。放たれた八本の投剣は、適度にバラけながら賊の集団に飛び込んで――
まさき「……ボンッ」
まさきの呟きと同時に、柄の部分から灰色の煙を勢いよく噴射した。その煙は瞬く間に集団を覆い、混乱の渦に巻き込む。
「何だ!? 敵襲ぎゃあっ!?」
「どうした!! 一体どうなってぐわぁっ!?」
投剣を投げ込む直前に敵の位置を記憶したまさきは、その情報に従って疾風の如く駆け抜けながら確実に殺していった。何人かは走ったり逃げ出そうとしたりで位置が変わっていたが、そこは走ったときの足音や辺りに飽和している叫び声の反響具合から位置を推測して確実に仕留めていく。
「な、何が起こって……」
そして、ようやく煙が風に流され、唯一残った馬上の男が見たものは。
まさき「……一人、残ったか。尤も、それも計算通りだが」
視界が全くない状況下にも関わらず急所を一撃で仕留められている部下だったものたちと、その中央に立つ一人の青年――まさきだった。
「な、な……」
視界がないのに、一体どうやって。
この男は、一体誰なんだ。
馬上の男の頭に浮かんだのは、これらの思考のどれでもなく。
「に、逃げねぇと……!」
圧倒的強者から逃げろ、という、純粋な生存本能だった。
「ひ、ひぃっ……!」
男は咄嗟に馬を引こうとするが、強張った筋肉が脳からの命令を拒んだ。馬から転げ落ち、地面に這い蹲る。馬は彼の殺気に触れ、我先にと逃げ出してしまった。
まさき「フン……」
そんな男を憐れむようにまさきは笑い、手に蒼風を提げてゆっくりと近付いてくる。男は腰を抜かし、這って逃げようとするが、当然、まさきにすぐ追いつかれてしまう。
「……ま、待ってくれ! 違う! 俺は違うんだ!! 仕方なく……そう、あいつらに脅されて、仕方なくやってたんだ!!」
まさき「……」
男が必死の命乞いを始めると、男の頭上で、まさきの剣先がぴたりと止まった。僅かの希望を与えられた男は、それに縋るように命乞いを続ける。
「だから、もうこんなことはしねぇ! 誓ってもいい! だから、だから命だけは……!!
まさき「……そうか」
すると、まさきは何を思ったのか刀を鞘に納めると、後ろを向いてすたすたと歩き始めた。命の危機を脱せたという安堵が一瞬だけ男の脳内に飽和するが、直後、それは屈辱と怒りに変わる。
そして、胸を貫いた怒りの炎に衝き動かされた男は。
「バアァァァァァァカ!! 死ねやアァァァァァッッッ!!」
すぐ近くに落ちていた剣を掴むと、まさきに駆け寄ってそれを頭上から振り下ろした。重い鉄の塊が空気を弾きながらまさきの頭めがけて落ちていく――。
「か……かはっ……!?」
だが。剣がまさきの頭頂部に触れる、その直前。まさきの姿が忽然と消え失せた。そしてその代わりに、半透明の刀身が自分の心臓を貫いている。
まさき「残念、詰めが甘かったな。計算通りだ、どれもこれも」
まさきが《瞬風》で自らの背後に瞬間移動したことなどに、死にゆく男が思い当たるはずもなく。
次の瞬間には、既に男は事切れていた。
────
レオニス「うん。まぁ、なんか捻りが無くてすみませんw」
鳩麦「いや。格好良かったよ?」
霊獣「順調にえみを惚れさせて行くまさきである」
蓮夜「www」
ULLR「既にではw?」
レオニス「既にですねw」
鳩麦「くそう。惚気やがって……」
レオニス「いやそんなにのろけて無いw蕾姫さんほど甘くないしw」
蕾姫「ん?」
鳩麦「おれはヒロイン居ないんだよォ!」
蕾姫「そう言う展開にしたのは貴方だしw」
鳩麦「ごもっともです!もう良い!リョウ編開演!」
涙カノ「甘さはw?」
鳩麦「(情け容赦含めて)ねーよんなもん」
────
【りょう】
さて、三方において回りこんでくる海賊たちは次々に屠られていたわけだが、そんな中、一か所、西側の岩場を行った者たちだけは、比較的簡単に、何事もなく屋敷にたどり着くことに成功していた。
むしろ彼らにしてみると、初めのあの不可思議な現象が人為的ではなく、妖怪か何かの仕業だったのではないのかとさえ考える物も出る始末だ。
当然、彼らが屋敷に辿りついた時、他の連中がまだ辿りついていなかったのも、彼らにとっては疑問だった。
しかし、彼らはその疑問を長く考察している暇は無い。
何故なら……
「な、なんですか、これは……」
部隊の中央。海賊であるにしては妙に知的な顔をした男が言った。
屋敷の正面。門は砕けちって吹き飛び、そこから屋敷へ伸びる道には、何メートルにもわたって赤いじゅうたんが敷かれていた。
この屋敷には、少なくとも200人は同胞が居たはずだ。幾ら主力は海に出ていたとはいえ、それだけの人数がやられたとは一体どれだけ規模の大きな襲撃者が……そこまで考えたところで、屋敷の方から、突然軽い調子の声が響く。
りょう「よぉ。お帰り。ご飯にする?お風呂にする?それともあ・の・よ?」
「……は?」
りょう「はは。なーんてな。まぁとりあえずお帰り。楽しい航海だったかい?」
赤いじゅうたんの向こうに、男が居た。
屋敷の中にあったはずの調度品の椅子に座ったその男は、足を組んで手を頭の後ろに組み、にやりと笑って彼を見ている。
「な、なんだお前は!?」
男は問う。
この一味にこんな男はいなかったはずだ。それがなれなれしく、一味の中でも幹部である自分に声をかけていることへのいら立ちと、この異常な状況の中で妙に軽い調子の男に得体の知れない不気味さを感じて、男の声は妙に上ずっていた。
りょう「まーまー。そう大声出しなさんな。まずは落ち着いて話し合おうぜ?お前らにとっちゃ我が家なんだ。怖がらず、もっと堂々としなって」
「は……はぁ?」
どこまでも軽い調子の男に、彼は苛立つ。しかし同時に、確かに一理あることだとも思えた。
目の前に居るのは男がたった一人だ。武器を持っているとは言え、こちらは100人を超える。それを彼一人で同行できるはずもない。あくまでも、今この状況において有利なのは自分なのだ。
「そうでした。では問いましょう。この状況は、あなた方が?」
りょう「ん。まぁな。ちいと用事が有って、襲撃させてもらった」
「成程。と言う事はお仲間はもう帰られた?」
りょう「仲間?あぁ、お前らの別働隊潰しに行ってるぞ」
占めた、と男は思った。とりあえず今、相手は戦力を分散しているらしい。大多数がそちらに行っているなら何とかこの男を捕虜にとろう。
それを交渉材料に、相手を引かせるのだ。そう思い、彼は剣を抜いた。
「それはそれは……困りましたね。では貴方には捕虜になっていただきましょう」
りょう「うぇ。そうなんのか……けどそう言う捕虜ってさぁ、大体最後には殺されるパターンだろ?」
「さて、それは貴方のお仲間次第ですねぇ」
りょう「ふーん」
言いながら、男は「よっこらしょ」と言いつつ椅子から立ち上がる。
りょう「まぁいいや、んじゃどうせ死ぬなら冥土の土産に聞かせてくれよ」
「はい?なんでしょう?」
りょう「ああ言うのって、楽しいのか?」
「は?」
唐突な問いに、男は眉をひそめた。「楽しいのか」とは何のことだ。
りょう「お前ら……拷問が趣味みてーだな?」
「ほう……あれを見たのですか」
りょう「あぁ。まー色々と種類があったな。それは良いんだけどよ、あれ、どれもこれも使った痕跡あったけど、今まで何人さらって何人の血あれらに吸わせてきたわけ?」
「ふふ……さぁ、一味全体の趣味のようなものですから、覚えておりませんね」
りょう「……ふぅん」
さしたる感慨もなさそうに言う彼に、男は酷薄に笑う。
「人ごとのように相槌をなさいますが、間もなく貴方の身に起きることですよ?」
りょう「あー、そうだったか。ま、いいや。それじゃやろうか」
言うと、男は傍らに立ててあった青龍偃月刀を引きぬく。
彼はこの人数相手に一人でやるつもりかと一瞬驚いたが、それが恐らくただの無駄にしかならない抵抗であると理解すると、笑みを崩さず言った。
「出来れば抵抗しないでくだされば、苦しまずに済みますよ?」
りょう「今は。だろ。御託とかいらねぇから掛かってこいよ」
「ちっ……囲め!」
彼が言うと、周囲の部下達が一斉に目の前の男を取り囲む。
「殺すなよ。生かして捕えろ!」
「「「「「「「「おぉっ!」」」」」」」」
りょう「……やれやれ」
数人が一気に男に向って距離を詰めていく。囲みの中央だ。逃げ場はない。そう彼が思った矢先、それは起こった
バンッ!
と、音を立てて、りょうの座っていた椅子が空中に跳ね上がる。高く跳ね上がったそれが落ちてくるまでの間に……
りょう「ふっ!」
冷裂を一閃。周囲の近づいてきていた男達の顔がけし飛ぶ。
「な……」
りょう「よっと……どうした?終わりじゃねぇだろ?」
落ちてきた椅子の足の一つを、つま先の上に乗せて、器用にそのままバランスをとり、乗せたままにする。
先ほどまで余裕そうな笑顔を浮かべていた男の顔は、一瞬の出来事に絶句していた。
りょう「……ま、こねーなら……」
その反応に待つのが面倒になったのか、言いながら、りょうはつま先の上の椅子をもう一度跳ねあげる。
思わず。と行った様子で宙を舞う椅子に全員の意識が向いた……それを……
りょう「こっちからいく、ぞっと!」
スバァンッ!と音がして、落下してきた椅子が一直線に知的な男に突っ込む。
顔面に椅子が命中した男は、何が起きたかも分からずに気絶する。
「なっ!?「お、余裕だな?」!?がっ……!?」
それに気を取られた男の隣に居た海賊が、眼を向けた瞬間に胴体を真一文字に裂かれた、と思うと……
「「「「「「「「ぎゃあぁぁっ!?」」」」」」」」
その一閃で、彼の周囲に居た15人近くが一斉に吹き飛ぶ。
まぁそれを確認することは、胴体がまっ二つに分かれた彼には出来なかったが。
ここに至ってようやく事態を認識し始めた彼らが、混乱しながらも動こうとする。
「こ、このやろ……」
りょう「おっせぇ」
「ひぎぁぁぁ!?」
刀を振り下ろした男は、次の瞬間自分の手首から先がどこぞへと消え、悲鳴を上げた。
「くそっ!?ぐむっ!?」
りょう「しっつれーい♪」
槍を持った男がつきだす前に懐に入られると、抵抗する間もなく顔面を掴まれる。そして……
りょう「そぉれっと!」
「ぐぉ!?」
「がっ?」
「なっ!?」
顔面だけを持って振り回され、周囲の味方に次々にその体をぶち当てられる。
最後にその勢いを利用して天高く跳ねあげられると……
りょう「お疲、れっ」
落ちてきたところを綺麗に首と胴体を分離させられ、絶命する。
「くそがっ!」
りょう「おっと」
後方から槍を突きこまれたりょうが、まるで背中に眼が付いているかのようにその槍をわきの下に通してかわす。と……
りょう「ほっ!」
「なっ!?」
りょう「返すぞ」
「がっ!?」
脇の下に槍を挟んだまま180度回転、柄を半ばでへし折り、穂先を突いてきた本人ののど元に突き刺す。
「くそ、げぁ!?」
りょう「はい甘ーい」
青竜刀で切りかかった男を、駆けあがるように蹴り、その勢いで空中で体を反転させると……
「「へっ?」」
りょう「あらよぉ!」
後方から短剣を刺そうと迫っていた男二人に、落下する要領で脳天にけりをぶち込む。
「う、撃て!銃だ!じゅ……が……」
りょう「そりゃ困る。だまってな」
と、後方に居た種子島と呼ばれる銃を持っていた男が、首に折れた槍を突き刺して倒れる。遠方からりょうが倒れた兵の槍を持って投げたからなのだが、彼がそれを知ることは永久に無いだろう。
────
その後十数分にわたって続いた悲鳴と怒号がようやくおさまった後、りょうはけだるそうに言う……
りょう「……ま、これが人でなしの末路よな」
何処か感慨深そうなその台詞は、あるいは彼らでは無く自分自身への言葉だったのかもしれない。
殺す人間等と言う物は得てして、碌な末路をたどらない物だ。独り身の男などは特にそうである。
……独り身と言えば……
「今頃あいつらは未来の嫁さんにカッコいいとこみせてんのかねぇ?」
そうして、彼は、知的な男の上に屹立していた初めに座っていた椅子に、ゆっくりと座り込んだ。
────
鳩麦「ふぅ、少しはすっきりした」
蕾姫「ストレスのはけ口にするなよ海賊をw」
涙カノ「海賊が可哀想に感じるw」
レオニス「まぁ此処まで一方的にボコボコだとねぇ……」
鳩麦「さっきまで海賊をボコボコにしてた奴の台詞かそれがwww!!」
霊獣「見てる側からすれば大差ないw」
なべさん「イイナー、殺リタイナー」
ULLR「レン君の場合字が違うw」
蕾姫・鳩麦・レオニス「え?それで合ってるでしょ??」
蓮夜「常人が居ないww」
鳩麦「さて、では次は強襲ミッションなのでよろしく」
蕾姫「またモブ戦やるの?」
鳩麦「はは、まさか。今回はボスとだよ。もっと言うならGMと闘ってもらう」
レオニス「?ボスが誰か指定されるっことですか?」
鳩麦「それもあるね」
涙カノ「他にもあるんですか?」
鳩麦「だから言ったじゃん。GM(鳩麦)とやるんですよ。描写使って勝負を」
蕾姫・レオニス「「ほう……?」」
涙カノ「e?」
……続く
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