いつの間にかハイスクールD×Dの木場君?
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王様、始めます
第19話
三勢力会談当日、僕はこの日のために準備しておいた戦闘用神父服に袖を通し大量の薬や大量の符を用意し、ルゥにも戦闘があると伝えてあります。確実に今回の会談による和平を邪魔する者は現れます。その筋の情報屋に大金を積んでいますから確実です。
まあ僕としては、ちょうど良いとも感じました。ここで僕の力をはっきりと示しておけば馬鹿な真似をする人も減るでしょう。だから過剰戦力ではありますが鬼戒神を使って一気に殲滅するつもりです。デモンベインではなく、アイオーンですけどね。デモンベインは魔を立つ剣ですから、このような虐殺に使いたくはありません。念のために神獣弾も一発ずつだけですが用意してあります。使えば駒王が地図から消える事になるでしょうが。
ルゥもいつでもマギウススタイルに移行出来るように普通の服は脱いで、自分の頁を使った服に着替えています。最初に化身したときの蒼いドレス。会談には少々場違いな気がしますが、仕方ないので割り切っておきましょう。
準備を終えた僕はルゥと一緒に会談に使われる生徒会室に転移して指定されている席に着いておく。ルゥが暇そうに足をぷらぷらとさせているがもう少しの間だけ我慢してもらう。
しばらく待っていると今回のホストであるサーゼクス様とグレイフィア様とセラフォルー様がやってくる。続いてミカエル様とガブリエル様が、時間ギリギリにアザゼル様ともう一人の堕天使と白龍皇と思われる男がやってくる。生徒会室に入って来た時に僕を見て、顔を顰めていましたから。そして最後に部長達と会長がやってきて驚いていた。部長が何か言いたそうにしていたが、サーゼクス様に言われて大人しく席に着く。
会談が始まり、とは言っても最終確認みたいな物だ。交渉に関しては既に終わっているから、今日のコレは対外的に示すために行う物だ。その確認だけでも30分近く時間がかかっている。ルゥは話に飽きているけど、真面目な顔をしている。微かな敵意が学園を包囲し始めています。サーゼクス様達も気付いているのか、いつでも戦闘に入れるように魔力を高め始めています。白音さん達や会長も僕やルゥ、サーゼクス様達の様子を見て身構え始めました。部長と副部長とイッセー君は変わった様子はありません。
二つ目の議題であった三勢力間の和平が成立しても相手は仕掛けて来なかったので、最後の議題である独立部隊についての話に移る。
「三勢力での和平に伴い、各勢力から選抜された者による独立部隊を設立する事になった。この独立部隊は既存の指揮系統から完全に外れ、三勢力のトップからの要請、あるいは独立部隊の王の判断で三勢力の和平の状態を維持するためにその力を振るう事になる。我々悪魔はこの案件を承認する」
「天界側も同意します」
「神の子を見張る者も同じだ。ただ、メンバーの選抜に手間取っている。決まり次第、逐次合流という形になる」
「それは仕方ないね。ただあまりにも時間がかかる様なら」
「分かってるよ。多少メンバーの質が落ちる分、他の面で融通するつもりだ。具体的には人工神器だ」
「それでも一人は実力者を出してもらわなければ納得出来ませんね」
「そっちの方も一応考えてあるが、もう少し時間をくれ」
「念を押すようで悪いが、あまり時間をかけないようにね」
「分かってるよ。だがな、悪魔側や天界側と違ってこっちは印象が悪いんだよ。その分、色々と気を使う必要があるんだよ」
うん、ちゃんと僕の言いたい事が伝わっているようで何よりです。まあ同僚になる相手を敵視しない事と、僕の研究成果に勝手に触れないなら大抵の事は許せるんですけどね。
「まあ良いだろう。それでは満場一致で独立部隊の設立は決定となる。そしてその独立部隊の王に悪魔側は木場祐斗、君を選ぶ」
「天界側も同じく」
「神の子を見張る者もだ」
サーゼクス様、ミカエル様、アザゼル様の言葉に部長達が驚き、声を上げる。それらを無視して三人の前で膝を付く。
「何か誓いの言葉はあるかい?」
「この身この魂が朽ちるまで僕は剣と成りて平和を守ります」
「良い誓いの言葉だ」
そう言ってサーゼクス様は悪魔の駒を、ミカエル様とアザゼル様はトランプを差し出して来た。
「これらに魔力を込めれば、君だけの物になる」
三人から受け取った悪魔の駒が入ったケースとトランプに魔力を全力で込める。
「これは、予想以上だね」
サーゼクス様が驚いた顔で悪魔の駒とトランプを見る。まあ、それも当然だろうね。悪魔の駒の半分が変異の駒になっているから。正確な内訳は兵士が3個、騎士と戦車が1個、僧侶が2個、そして何故か王も変異の駒になっている。そしてトランプの方はもっと凄い事になっている。
ミカエル様から渡されたのはハートのAからKまでの13枚だったのだが、ハートが全て黒く染まっているのだ。絵柄の3枚も黒く染まっている。アザゼル様から渡されたスペードのAからKは更に凄い。白と黒が反転してしまっているのだ。分かりやすくなったと割り切ろう。
破壊すべき全ての符を用い、部長との契約を破棄して新たに王の駒とハートとスペードのKを体内に取り入れて転生する。背中からは3種3対6枚の翼が生える。肉体的には上手い具合に中和されたのか人間に近い身体だ。例えるなら人間から他の種族へと変化するための交差点に居る感じだ。
悪魔の駒の契約が解かれた事に唖然としている部長に騎士の駒を投げ渡し、白音さん達に悪魔の駒を渡そうとした所で学園を覆う結界が変化した。
解析して見ると結界の内と外を切り離す隔離結界ですね。これで学園の外で待機している三勢力の軍は学園に入って来れなくなりましたね。
「早速僕の仕事の様ですね、ルゥ」
「いえす、ますたー」
ルゥを構成する頁が僕に纏わり、マギウススタイルになる。それと同時に生徒会室の中央にレヴィアタンの魔法陣が浮かび上がり、一人の女性が現れると同時にその両手足をマギウスウィングで切り落とす。
「ぎゃああああああああ!!」
「捕虜はこいつだけで良いですよね?残りは見せしめに殲滅します」
「あ、ああ」
僕の行動にサーゼクス様も引いていますが、最初から舐められると面倒しかありませんからね。ここは容赦なく、抵抗する気が起きない位に一方的に処理しなければなりません。
「皆さん、これから僕一人でも過剰戦力だということを証明します。僕はこの力を振るうのを躊躇うつもりはありません」
生徒会室の四隅に魔剣を打ち込み、精神汚染に対する結界と物理結界と魔術結界を張ってからルゥと一緒にグラウンドに飛び出す。襲撃者達は校舎を包囲するようにいますが、グラウンド側に多くの戦力が集っています。それを一撃で殲滅するために聖句を唱える。
「永劫!時の歯車、断罪の刃、久遠の果てより来たる虚無」
詠唱の段階でもかなりの量の魔力を持って行かれる。鬼戒神の中でも術者に一番優しくない鬼戒神なだけはあります。
「永劫!汝より逃れ得るものはなく、汝が触れしものは死すらも死せん!!」
聖句を告げ終えると同時に機械で出来た神が顕現し、身体が頁の様に崩れ、アイオーンの中に転移する。
「アルハザードのランプ、点灯」
魔力をアルハザードのランプに叩き込み、出力を上げる。相変わらずの大食いに呆れながら魔力回復薬を飲み干し、操縦席の下に居るルゥに視線を向ける。そこにはいつもの姿ではなく、アル・アジフと同じ位にまで成長したルゥが術式を組み上げている。
「術式のアレンジは大丈夫かい?」
「バルザイの偃月刀とアトラック=ナチャなら今すぐにでも。シャンタクも問題ないよ。他のはもう少しだけ待って」
「十分さ。バルザイの偃月刀!!」
アイオーンのサイズに合わせた大きさになったバルザイの偃月刀を握り、足下に居る敵を見下ろす。せめて苦しみを知らずに逝くといい。
魔力をバルザイの偃月刀に集めて、敵に目掛けて一気に振り下ろす。
「むっ、加減を間違えた」
アルハザードのランプの影響もあり、バルザイの偃月刀は熱を帯びていた。敵である悪魔が塵一つ残らず消し飛んだのは良いんだけど、その熱が膨大過ぎたためにグラウンドの土が融解してしまった。あとで元に戻さないとね。
「マスター、敵性体が逃走に移ります」
「隔離結界発動」
「隔離結界発動するよ」
ルゥが隔離結界を発動させて逃亡を封じる。レーダーに映る敵の位置はばらけており、一つ一つ回るのは面倒である。
「ならここはイタクァの出番だね」
「少しだけ待って。うん、アレンジ完了」
アイオーンの右手に回転式拳銃が現れる。それを握り、空に向けて連射する。回転式拳銃から撃ち出された弾丸は僕が感知した敵に向かって軌道を変化させて敵を飲み込み、周囲を凍らせて砕け散らせる。
「やはり威力過多だね。修復が面倒だけど仕方ないね。これで残るは一人だけだ」
「レーダーには反応は無いけど?」
「今の所は敵対していないからね。アイオーンのレーダーは僕達に向けられる敵意に反応するように設定しているから」
「じゃあ、あの会談の場に?」
「そうだよ。たぶん戦闘を行う事になるけど、無限の剣製は使わずに戦うから。僕の切れる手札は無限の剣製以外にもあると言うことを見せないといけないからね。でも、汚染には注意しないといけないから本気は出さずに行くよ」
「それだと使えるのはバルザイの偃月刀とロイガー&ツァールにアトラック=ナチャ、もう少し待ってくれればニトクリスの鏡も術式のアレンジが終わるよ」
「それだけあれば十分だよ」
アイオーンから生徒会室に転移すると同時にアイオーンが姿を消す。僕の頭の上には再び小さくなったルゥも居る。
「とりあえず、結界内に居る敵対勢力は殲滅しました。光力は全く感知出来なかったので全て悪魔だった様ですね」
「……あれは、一体何なんだい?」
僕の報告に反応したサーゼクス様がアイオーンについて尋ねてきました。
「あれはアイオーン。機械で作られた神。力ある魔導書に記される中でも一番強力な物。アイオーンはその中でも上から数えた方が早い位に強力な鬼戒神です。最も、未だに全力を出した事は無いんですけどね。先程のも死霊秘法の記述であるバルザイの偃月刀の精錬法とイタクァの力を回転式拳銃に込める事によって安定させた物を使っただけでアイオーンの力は殆ど使っていません」
「あれでだと!?」
アザゼル様が驚いておられますが
「鬼戒神はそういう物です。それから一つ報告があるのですが」
「他に何かあるのかい?」
「ええ、ほぼ確定事項なのですが、今回の襲撃を行ったのは禍の団と言う組織の旧魔王派と呼ばれる者達です。名前で分かる通り、旧魔王様の親類の者達が今の魔王様達への不満から自分たちで成り上がろうとしている者舘ですね。正確な数は分かりませんが非戦闘員を含めて1万から3万と言った所でしょうか。まあ不満なのは分かりますが、今の魔王様達は実力でその場を勝ち取っているので旧魔王派に勝ち目は無いんですけどね。筆頭はシャルバ・ベルゼブブです」
「ちょっと待て!?なんでそんな事を知ってるんだよ。コレから唯一の捕虜のカテレアから聞き出すのが普通だろうが!!」
アザゼル様が叫ばれますが、普通にやっていると僕の方が持たないのは目に見えていますからね。僕が倒れた後も眷属だけでどうにか出来る様になってもらうためには危ないのはとっとと滅ぼすのが一番です。
「そんな後手に回る様な真似はしませんよ。僕はある程度の必要悪は認めますけど、それ以外は積極的に滅ぼして平和を作り上げる気ですから。そのために滅ぼさなければならないであろう相手の情報を情報屋に集めさせました。僕の1年分の収入を注ぎ込みましたから、大半の情報は集め終わっています。禍の団についても大半の事は分かっています。その中に面白い情報がありましてね」
「面白い情報?」
「一つはトップが無限の龍神だと言う事。まあ旗頭にして下で好き勝手しているんでしょうけどね。もう一つは、禍の団にはいくつかの派閥があるのですがその中に最近出来た小数精鋭の派閥があるんですよ。禍の団内での通称はヴァーリチーム」
ヴァーリに生徒会室に居る皆の視線が集る。ヴァーリはそれをなんとも思わずに席から立ち上がる。
「そこまで知られていたか」
「ヴァーリ、お前どうして」
「魅力的なオファーがあったからな。『アースガルズと戦ってみないか?』こんなことを言われたら自分の力を試したいオレは断れない。まあ今は他にも戦いたい相手が居るけどな。木場祐斗、いつかお前を倒したい」
「いつかと言わずに今からでも僕は構いませんよ。勝てないから戦いたくないというのならハンデをあげても良い」
昔開発した、神器を抜き取っても所有者を殺さなくて済む方法で無限の剣製が込められた宝玉を抜き取り、白音さんに投げ渡す。
「これで僕は無限の剣製が使えない。更に言えば魔力もかなり大量に消費している。ここまでお膳立てしてあげたんだ、どうする?ヴァーリ・ルシファー」
「「「ルシファー!?」」」
「驚いた、そんな事まで知られていたのか。そうさ、オレは先代ルシファーの孫と人間の間に産まれたハーフ。ハーフだからそこ神器を手に入れる事が出来た。まあ偶然だけどな。だが、そのおかげでオレはルシファーの真の血縁者であり白い龍でもあるオレが誕生した。運命、奇跡というものがあるのなら、オレのことかもしれない」
「ふ、ふふふ、あははははははは」
ヴァーリの運命や奇跡が自分の事かもしれないという言葉を聞いて、僕は笑い出す。たかが力があった家系の血を引いていて、神滅具を持っているだけで運命や奇跡を名乗るなんて
「思い上がるな、雑魚が」
体内の魔剣に魔力を限界まで叩き込んで強化した蹴りでヴァーリを吹き飛ばす。
「運命や奇跡というのはもっと重い物だ。お前達が知らないだけで運命や奇跡に相応しい者は他に居る。僕が知るだけでも二人だ。白の王に黒の王。彼らの様な人物にこそ運命や奇跡、そして、必然という言葉が存在するのだと」
空中で体勢を整えようとするヴァーリを重力結界でグラウンドに叩き付ける。
「どうした?その程度なのか?」
「禁手化!!」
『Vanishaing Dragon Balance Breaker!!』
ヴァーリの背中に展開された白い翼から音声が響き、白いオーラがヴァーリを包む。そして白いオーラの中から白い輝きを持つ鎧を身に纏ったヴァーリが現れる。それと同時に重力結界がどんどんと半減されていく。確かに凄い力ではあるけど、何度も重力結界を張り替えれば良いだけの話だから未だにヴァーリは重力に押しつぶされている。
「この術はただの人間の魔導士が破る事も出来た物だよ。それを破れない君は所詮はそんなものなんだよ」
重力結界の中を歩いてヴァーリの傍まで行き、兜を左手で掴んで持ち上げる。
「クトゥグア」
右手に自動拳銃を呼び出してそれをヴァーリの腹部に押し付ける。
「せめてコレ位には耐えてね」
そして躊躇いなく引き金を引く。自動拳銃から放たれた灼熱の弾丸は、その一撃でヴァーリを包んでいた鎧を粉々に砕き、ヴァーリの全身を焼き尽くした。ヴァーリはクトゥグアがヒットした衝撃で僕の手から離れて10m程の高さまで飛び、地面に叩き付けられそうになった所を結界を破って現れた男が拾ってそのまま逃亡した。
後始末もあるので追撃は良いでしょう。フェニックスの涙でも使わなければ当分は動けないでしょうしね。それでも情報屋を使って情報だけは逐一集めておきましょう。
それにしても、久しぶりに全開に近い力を発揮出来ましたね。力を抑える必要がないのは楽で良いです。もう少し手応えのある敵ならもっと良かったのですが、仕方ありませんね。ヴァーリの言う自分の力を試したいと言うのは分からないでもないんですよね。ただ、そのために平和を乱すと言うのなら排除対象です。今回は保留にしておいてあげますよ。
西暦20XX年、七月
天界代表天使長ミカエル、神の子を見張る者総督アザゼル、冥界代表魔王サーゼクス・ルシファー、以上三大勢力代表の名の下に和平協定が成立。以降、三大勢力での戦闘は禁止され協調体制へ。その足がかりとして三大勢力から活動のための資金や人材を捻出し、既存の指揮系統から完全に外れた平和維持を目的とした独立部隊『断罪の剣』設立された。
後書き
いやぁ、良い戦いでしたね(棒読み)
ヴァーリが弱く見えますが、そう思う方はデモベを知らない人が多いと思われます。
そうでも無い方も居るでしょうが、久郎との肉体スペックの差でここまでの差が出ていると思って下さい。
前話で始めたアンケートですが一応、まだ閉め切らずにおこうと思います。
IFで話を書くので本編とはまったく関係のない事でも、木場君?はそんな事はしないだろうと思われる事を行う話でも、何処か別の世界に放り込んでみて欲しいなど何でも募集しています。
今のままだと『ネギま!』の世界に木場君?が降臨します。時期は指定されていないので適当に絡ませて『ネギま!』の世界が大変なことになることは確定です。
別に何話か書いても良いんだよ。
本編の方の予告としましては、とりあえず独立部隊『断罪の剣』のメンバーの顔合わせと転生、現状報告と各種待遇についてのお話し合いの後に冥界入で特訓ですね。メンバーの力を見せつけると言う意味ではちょうど良い行事がありますし。堕天使勢も三人参加で男一人に女二人という構成です。10人中2人しか男が居ません。ギャスパーは別枠です.プール回で木場君?の中では女性扱いが確定になりましたから。
それでは次回をお楽しみに。
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