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凡人? 天才? それとも……。

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第一話 【新学期】

 
前書き
三日坊主は恐ろしい!
一応、続きです。待っていてくれた人には感謝感激です!
本編です! 

 
 
 電車に揺られて、暗いトンネルを越える。光が差し込み、懐かしい景色が一面に広がる。その景色を見たその時に改めて故郷の地に戻ってきたことを実感する。

「車窓から見た景色と実際に見たら違うんだろうな。それに……あいつは元気にしているかな?」
 
 ガラス越しの景色を見ながらそっと呟く。
 
              ❇

 1月の末にあなたが寿命で亡くなり、叔母ちゃんが俺達、家族と暮らすことになった。そのため、今まであなたと叔母ちゃんが一緒に住んでいた家が空き家になって、お葬式後に家の片づけをしていると、家具や日常品が放置されていることに疑問を感じて、母さんに聞くと、新学期からあんたが一人暮らしするからに決まっているでしょ。と断言された。それから、本人の意思などお構いなしに話しは進んで行き。こっちに来るようになりました。どうか俺が立派に育って行くことを見守ってください。念仏とか唱えられないです。ごめん。

 仏前を拝む。死んだお爺ちゃんに経緯を伝える。そして、取り敢えず荷物を部屋に運び、お風呂に入って、布団を退き寝る準備をする。

 新しい生活が俺を待っている。その新しい生活の第一歩を飾るのは……高校生活だっ! 高校生活が故郷での新たな生活を充実させる鍵だと思っている。だって、普通では一生に一度しか訪れない、高校生活をエンジョイしてやる。中学の友達の連絡先は知っているし、相談に乗ってくれるとも言ってくれた。それに、『いつでも遊びに来いよ』とも言ってくれた。実に嬉しいことだ。でも、そんなことじゃ駄目だと思う。自分の高校生活ぐらい自分で充実させなければ。確かに友達が出来るかは心配だけど……知り合いがゼロからのスタートではない。少なくともあいつはいる。明日から学校だ。気合い入れて、行こう!

 気合いを入れて自分の部屋の電気を消して、布団に潜る。明日からの高校生活に対するワクワク感とちょっとした心配感を募らせながら。

 そんな覚悟を決めた矢先のことだった……

   ☆

 眠い……昨日電気を消してから全く寝付けなかった。欠伸をしながら学校までの道を歩く。

「この道に三年間お世話になるのか。四季の変わり目が楽しみだな」

 昔と変わったところを探しながら歩いていると学校の校門にまで歩いていた。校門を潜るとそこには一面の桜の木、桜の木に見とれながらも昇降口へ向かう。

 昇降口先にクラス分けの発表版に人がいっぱい群がって騒いでいる。多かれ少なかれ友達と一緒になれたり、なれなかったりと。そんなところだろ。

 はぁー。知り合いが多いのは良いなぁ。不意に溜め息を吐いてしまう。でも、俺にだって知り合いはいる。それにいないならば作ればいい。昨日に覚悟を決めたばかりだ! ポジティブに考えよう。そうなれば、まずはクラスに行くか。

 昇降口でスリッパに履き替えながら自分のクラスの教室へのルートを考える。スリッパに履き替え、校舎の三階にある一年B組の教室へ向かって階段を軽い足取りで駆け上がる。にぎやかなB組の教室の前でふっと思う。

(りん)の奴、何組だろうな。……まぁ、いいか。同じ学校だしそのうち会えるだろう」

 そろそろ、時間もやばいし初日遅刻は流石に悪い印象を与えるから不味い。人はどうしても見た目から入ってしまうから印象が悪いと友達が作れないことになりかねない。良い印象を持ってもらうためにも、早いところ教室に入ろう。

 一端、ドアノブに手を掛けて深呼吸する。心を落ち着かせて、教室のドアを開けると――

 頭の上に何かが落ちる。それとほぼ同時に教室にいたクラスメイト達が所々で笑い出す。笑い声は様々で、たったこれだけで個性のあるクラスだと思わされる。落ちた瞬間は、何がどうなっているのか分からなかったが周りの反応を見て、なんとなく分かった。

 無難にクラスにとけ込もう作戦失敗。(見知らぬバカと黒板消しにより)

 頭に乗った黒板消しを取り、周りを見渡す。不幸中の幸い、黒板消しは新調されていたため、チョークの粉が着くことはなかった。しかし、これ以上目立つわけにはいけないので、こんなガキみたいな事する奴は誰だ! 小学校までだぞ! と言うことも出来ず。ただ怒ってないように取り繕い、この犯人が正直に出てくるのを待つことが精一杯だ。案の定、俺の予想は当たった。笑うクラスメイトの間から一人の少女が顔を出す。

「ごめん。普通は引っかからないと思って」

 申し訳なさそう謝ってくる。

「いいよ、気付かなかった俺も悪いし」

 無論、苛々しているけど。イメージを悪くすることができないから、笑って誤魔化す。

 反省しているし、まあ、いいかな。さてと、俺の席は何処かな? あっ、あそこか。
 
 黒板にある掲示してある席順を見て、おおよその位置を確認する。

「ところで君? ここら辺で見ない顔だけど何処から来たの?」

 その少女は、どうやら近場の子だったようで、見ない顔の俺が気になるみたいだ。もちろん、良い人面をし意識している俺は、彼女の質問を無視する選択肢はなく、少し適当に答える。

「うん。まぁ、引っ越してきたから」

 その黒板消しの犯人の子は、ふ~ん、と言ってから黙り込む。

「って、ことは周りに知り合いいないんだ」

 グサッ。無邪気な一言が胸に刺さる。

 この子、結構酷いこと言うな……。雰囲気からして悪気はなさそうだけど。そりゃ、友達なんていなよ。どうせ、一人っきりのボッチだよ!

「あっ、ごめん。私、もしかしたら酷いこと言った?」

 表情で察したのか、その子は申し訳なさそうにして謝る。

「いや、別に大丈夫だよ……。気にしてないし……」

 精一杯、強がって見るけど、相手からしたら強がっているのは一目瞭然だ。

「それって、強がりでしょ? 転校って、友達できるか不安じゃないかな?」

 案の定、気付かれていたようだ。そして、少女は悪戯そうに笑う。

「私の友達も、転校前に泊まりに来た時にね。友達作れますように。って、何度も何度も念仏の要に唱えていたから」

 やっぱり、みんな、転校前はそう言うものだな。

「俺は、こういう体験は二回目だけど。なかなか簡単に慣れるものじゃなくて、どうも心配でな」
 すると、少女は俺の顔を見つめる。目と目が合い、視線を逸らしてしまう。

 女の子に顔をジッと見られるのこそ慣れてないから! 

「本当だ! 目の下に隈がある。昨日、寝付けなかったの?」

「えっ、まあね。でも、知り合いがいない訳じゃないんだ」

 その子を探しているって言える勇気はないよな、俺……。それにこの子が知っているとは限らないし、ぼちぼち探すか。

「知り合いって、結構、他人行儀なんだね。普通は友達とか言うでしょ? それとも……コレかな?」
 
 少女は小指を立てて冗談っぽく言う。

「ないないない。確かに探しているのは女子だけど。俺とあいつはそう言う関係じゃなくて、只の幼なじみなんだ」

「そっか、その子はこのクラスにいる?」

 ざっとクラスを見渡すが凛らしき人物は見あたらない。と言うかクラスの女子がこっちを見てこそこそ喋っているのが気になった。

「いた? どんな子、どんな子?」

「あ、いや。いないみたい?」

 女子がこっち見てたとしても、俺のこと話してるわけない。被害妄想は止めよ。

「なんで疑問系。仲良しじゃないの?」


「ああ、それは、ずっと合っていなからな。まあ、分からないけど……、このクラスにはいない気がする。他のクラスかな。でも、この学校にいるはず」

 母さん情報だから間違ってないでしょ。面倒見てくれるように言ったって言ってたし。でも、少し不安だな。

「私、実は顔が広いから、分かるかも知れないよ。黒板消しの償いって言ったら、可笑しいかもだけど、人捜しに協力するよ」

「えっ? いいのかよ。初対面なのに」

「私、困っている人って見てられなくて。これもなにかの縁かも知れないからね」

「ありがとうな。親しくしてくれて」

 素直な気持ちを言葉にしてみる。言ってみると初対面の相手なのに少し恥ずかしい。

 すると少女は笑顔で手を差しだす。子どもっぽいけどいい人だな。と思いながら手を掴む。

 今、この子に聞いて、あいつに会えるかも知れない。この子とも友達になれそうだし、まさに一石二鳥だな。あっ、そう言えば自己紹介。

「ところで君の名前はなんて言うの? 私は、天海凛(あまみりん)。よろしくね」

「ああ、俺は、幸谷大地(こうやだいち)。幸せの谷でこうや。よろしくな」

 二人に沈黙が訪れる……。

(( 
 

 
後書き
何故、お互い黙り合ったのでしょうね(棒
今度は中途半端に終わらせたので、次は、早めに更新したいと思ってます!
誤字脱字、質問、わかりにくい表現などの指摘は宝物です。
感想、評価を待っています。よろしくお願い申し上げます。 
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