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久遠の神話

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第八十話 残る四人その三

『貴方はもう剣士ではありません』
「貴女ともお別れですね」
『そうなります』
「後はどうぞ」
 好きにしてくれ、そうした意味の言葉だった。
「私にもアメリカにも関係のないことになりました」
『ではですね』
「グッドバイ」
 微笑んでだ、スペンサーはこの言葉を出してだった。
 金塊のことをだ、こう聡美達に話したのだった。
「これはすぐに車を持って来て」
「そうしてですね」
「収めます」
「いえ、それは」
「それは?」
「こちらで手配しますので」
 聡美達がだというのだ。
「ご安心下さい」
「それで宜しいのですね」
「はい」
 聡美は穏やかな笑顔でスペンサーに応えた、そしてスペンサーもそれを受けることにした。実は聡美達に金塊を見張ってもらってその間に車を持って来るつもりだったのだ。
 しかし聡美達に受けることにした、そうしてだった。
 車で金塊を収めてもらってだ、この話を終えてだった。
 彼は完全に戦の場から降りた、そして次の日にだった。
 彼は普通に勤務をしていた、昼は中華街で王の店で食べた。そして彼に戦いから降りたことを話したのだった。
 するとだ、王は笑顔でこう彼に言ったのだった。
「おめでとう」
「おめでとうですか」
「貴方もあまりこの戦いには乗り気でなかったみたいだからね」
「私の戦う相手は如何に戦場でも」
「それでもですね」
「はい、軍人だけです」
「ゲリラは違うね」
 ここで王はこのことを確認した、戦争は軍人同士が行う正規戦ばかりではないのだ、ゲリラが戦うこともあるのだ。
「彼等については」
「ゲリラは敵ですが」
「戦う相手ではない?」
「掃討するだけの相手です」
「戦っても捕虜にはしない」
「はい、降伏は受け入れられません」 
 これは国際法にある、捕虜になれるのは正規の軍服を身に着けている軍人だけでそれを着ていないゲリラはなのだ。
「ですから」
「戦う相手でもあってなんだ」
「敵とはみなせません」
「敬意を払うという意味だね」
「はい、そうです」
 まさにだ、そうした意味での言葉だった。
「そして私は」
「軍人でないとだね」
「戦いたくありませんでした」
「けれど任務だね」
「任務ですが」
 軍人として絶対のことだ、だが個人的な感情はというのだ。
「あまり望んでいる戦いではなかったです」
「そうですか」
「ですがこれで」
「この戦いから降りたね」
「これで普通の駐在武官に戻りました」
「じゃあこれからもだね」
「はい、このお店で」
 今は飲茶の蒸し料理を数種類に包、それにチャーシュー麺を食べている。そのチャーシュー麺もなのだ。
 非常に美味い、その味を味わいながら言うのだ。
「楽しませてもらいます」
「じゃあ楽しませてあげるよ」
「それは何よりです」
「うん、ただね」
「ただ?」
「大尉さんは違う場合が多いけれど」
 彼はだ、しかしだというのだ。 
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