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ヘタリア大帝国

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TURN126 グスタフラインその九

 だが、だった。裏になると。
 要塞内に用意させた総統の個室においてだ、怪しい者達にこう話したのだった。
「絶対に有り得ないことにしても」
「アルプスが陥落してもですね」
「その時も」
「この要塞にはドクツ軍の精鋭と新兵器と要塞ラインとサラマンダーがあるんだ」
 その四つの切り札がある、というのだ。アルプスの堅固さに加えて。
「陥落はしないよ」
「はい、ですが予備としてね」
「彼等がいますね」
「コアにヴァージニアがね」 
 その彼等がだというのだ。
「若し陥落しなくても反撃の際は彼等を前面に出して攻めるよ」
「ですね、そして」
「枢軸諸国もまた」
「ドーラ教を布教しよう」
 布教と言えば聞こえがいい、だが実際はだった。
「信仰しない者はね」
「はい、粛清ですね」
「そうしますね」
「勿論だよ、全てはドーラ様の為に」
 軽い笑顔で述べる。
「そうあるべきだからね」
「はい、では」
「これからは」
 こう話してそしてであった、ヒムラーは表とは違う顔を見せていた。表情は全く変わらないにしても。
 そのうえでこうも言うのだった。
「まさかレーティア総統も俺がドーラの信者だったとは気付かなかったみたいだね」
「はい、あの娘もですね」
「そのことには」
「宣伝相は俺を嫌っていたけれどね」
 グレシアについても言う。
「彼女は俺が怪しいと思っていたよ」
「ドーラ教には気付いておらずとも」
「それでもでしたね」
「マンシュタイン元帥もかな」
 今度は彼の名前も出す。
「流石にエルは俺を信じたかったみたいだけれどね」
「そういえば教皇はロンメル元帥とは士官学校で同期でしたね」
「ご親友でしたね」
「いい奴ではあるよ」
 一応友とは言うのだった、だがだった。
「けれど彼はドーラ教徒ではないからね」
「そして信仰することもなさそうですね」
「あの方は」
「そう、だからね」
 まるでものを捨てるか捨てないかを決める様にだ、ヒムラーは何でもないといった調子で述べていく。
「その時はね」
「あの方もですね」
「粛清ですね」
「苦しまない様にしてあげるよ、確か北アフリカにいるけれど」
 ヒムラーも知らなかった、彼が救出され枢軸軍にいることを。
「信仰を拒めば」
「では毒を用意しておきます」
「その時に備えて」
「頼むよ、その時はね」
 裏の側近達に言う。
「もっとも死なせる者は多くなるだろうかな」
「粛清は合理的にですね」
「しかも速やかに」
「ドーラ様を信じないならばね」
「その者は全て、ですね」
「粛清ですね」
「そうするからね」
 だからだった、粛清は速やかにしなければならないというのだ。
「コアにしてもいいね」
「あの機械の兵達に」
「そうもしていきますか」
「そのことも検討しよう、あとコアとヴァージニアだけれど」
 この二つの存在のことをまた話した。
「何時でもね」
「はい、出せる様にですね」
「準備を」
「それも頼むよ」
 このことも言ったのだった。 
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