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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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三章
  詩乃の好物×二人の帰還

「さてと、お茶を飲んでる間に聞くが今日は一真隊含めての、織田家総出の模擬演習だったな」

「はい。日取りについてはかなり前から決まっておりましたが、先日、正午から開始する、という下知が長屋に届いておりました」

「正午か。じゃあひよやころもギリギリ間に合うかな?」

「恐らくは」

と上品にお茶を飲む詩乃。攫ってきたというより保護に近いが、もう一か月経つのか。まあ、田楽狭間の後に戦力補充が難航してたと聞く。ここにいる詩乃が抜けても美濃八千騎と謳われる強者揃いの美濃だしな。

「そういえば、ここでの模擬演習は初めてだな。どうやるのか腕が鳴るところだ」

「尾張のやり方と美濃のやり方は違いますからね。その問いにはお答えできませんが、一真隊は人数が少ない隊で合戦向きではないですからね。遊軍としての動きの研究・錬磨を軸に置くのがよろしいかと」

「まあ確かに一真隊だけだったら合戦向きではないかもしれないが、黒鮫隊が入ると違ってくる。黒鮫隊は強者揃いで、主戦力は鉄砲や短刀だし。それにここの鉄砲より距離はだいぶ行けるけど。それに俺は軍では司令官をしていたが、ここで言うなら武将か一国の主だったか。指揮した事あるから、遊軍として動くなら任せてほしい」

「そうですね。黒鮫隊の動きはそちらに任せましょう。今は一真隊がどう動くか・・・・」

「お待たせー、本日のおすすめは焼き魚定食お待ちどー」

「焼き魚・・・・!」

きよが持ってきた定食名を聞いて、詩乃の瞳は輝いていた。そういえば、焼き魚好きだったかな。

「詩乃は焼き魚好きだったよなー」

「・・・・(コクコクコクッ!)」

焼き魚に味噌汁にホカホカご飯だった。しかも味噌汁は、俺の好きな豆腐入りのだった。いつものって言うと味噌汁だけは豆腐が入ってる物にしてくれる。さてと手を合わせて食べるか。

『いただきます』

同時に言ってから食べた。うん美味いな。昨日の深夜はレトルトのカレーを食った。詩乃はゆっくりと食べるが、味わって食べていたのでいい顔だなと思った。そういえば詩乃と話してみてどういう性格で何が好きか分かった事があった。

1.基本的に無口で、物静か・2.意外と毒舌家、というより皮肉屋さん・3.体を動かすというより頭を働かす頭脳派で軍師・4.案外朝は弱い・5.造りでも焼きでも何でもいいから魚好き・6.ご飯を食べるのはゆっくりめ。まあ6に関しては女子はそうだろうと思った。俺の朝食はご飯大盛りだし量も多いから、始めは少し早く食おうとしてたが詩乃に合せるべく最近ではゆっくりと食べている。

「魚、美味いな。詩乃」

「とても美味しいです。・・・・尾張は良い。お魚がたくさん食べられます」

「海近いしな。たまに俺も海に行って釣った魚は自分で捌くか、ここの親父さんに捌いてもらう時があるけどな。内陸部の美濃ではあまりない光景か」

「美濃は川魚もありますが、やはり海の幸は種類が豊富で、様々な味が楽しめます」

「幸せな顔をしてるな、詩乃」

「・・・・(コクコクコクッ!)」

詩乃は嬉しい時は頷くがきっちり三回頷く。海の幸は、海が近くないと食べれないし、美濃では新鮮な魚介類を食べるのは稀だったらしいからそこだけ不満があったと詩乃が言っていた。新鮮な魚なら、俺がノッキングして運べばいくらでも食べれる。そういえばこの時代にノッキング何て技術はあったのかな?

「そういえば、美濃については大丈夫なのか?」

「ひよところに与えている指示でしょうか?」

「まあそうだが、ぶっちゃけると故郷を売ったみたいな形になるからな」

「お気遣い嬉しく思います。でも大丈夫です。今の美濃を見れば織田が治めた方が民が喜ぶと思っていますから」

「なら良い。これからも嫌だと思えば言ってくれ」

と言って再びご飯を食いだした。ふむ・・・・やはり赤味噌も美味いが、やはり白味噌の方が美味い。なぜか知らんが、俺のだけは尾張の味噌ではなく俺が持ってきた味噌を使っている。

「とても嬉しいです。私を心配してくれるって事で私を更に強くしてくれるんだと思います」

「心配するのは当然だ。上司は常に部下の事を、時には信頼し時には心配をする事だってあるさ」

「ならば私も、とお伝えしましょう・・・・一真様は私にとってとてもとても大切な御方。その御方のためならば、どのような場面でも耐えられるのですよ、私は」

俺はそうかと言いながらご飯を食べながら味噌汁を飲んだ。お礼を言いながら俺と詩乃は笑っていた。

「おー!一真!」

「おはようちゃーん」

お、ここに来て三若か。和奏と雛は来てたが、犬子はいなかった。まだ寝てるらしいが大丈夫か?正午から模擬演習なのに。

「赤母衣は鍛錬不足かもねー。今日の演習でまた大目玉喰らうかもー」

「それでもケロッとしてるんだから、あいつの図太さは真似できないよ、ホント」

「で、一真さんはもうご馳走様?」

「まあな。ちょいと打ち合わせとかをする・・・・主に黒鮫隊の」

黒鮫隊、と言ったら何か知らんがテンションが上がってるような気がする。何せまだどういう戦力を持ってるか知らないし分からないからな。城には行かせたけど、銃のどの程度なのかまでは知らないはずだ。墨俣の時はほんの一部だし、それに俺の部隊だ。錬度は違うと思うけど。そういや母衣衆って、確かな戦術眼と武芸とくに優れる者が選ばれるって奴だったけど、和奏に戦術眼持ってるのか?

まあいいとして、詩乃も食い終わったしそろそろ長屋に戻るかと思って詩乃と一緒に出た。代金支払ってからな。その後、黒鮫隊の事について話してた。黒鮫隊の主な攻撃が「銃」と言ったら?になってたから「鉄砲」って言ったら納得した。銃は何種類かあるが、俺がいつも持ってる拳銃を机に置いた。今は弾は装填されてないし、セーフティーをロックしてあるから、引き金を引こうとしても無駄。ちなみに俺が持ってるハンドガンはオートで、リボルバーよりオートの方を好む。あとサイレンサーも持ってる。弾も見した、何種類かあるが貫通力がある貫通弾や照明弾・ゴム弾、ペイント弾、あと対人用に開発した麻酔針弾とかもある。麻酔針弾は、弾が発射されたと同時に外側が分裂して中身である針が出る仕組みだ。

「ここまでで何か質問はないか?詩乃」

「いえ・・・・ですが驚きで一杯です!こんな小さな鉄砲が、玉薬や筒の中を掃除しないで連射出来るとは」

「まあこれは俺がいた世界のだからな。黒鮫隊の指揮は俺に任せて詩乃は一真隊を指揮してほしい。特にこの時代の鉄砲は俺にも分からんからな」

とか話をしていたらあっという間に時間が過ぎた。

「ただいまですー!」

「ただいま戻りましたー!」

「お、ちょうどよかったな。お帰り二人とも」

襖を開いて姿を見せたひよが、俺の胸に飛び込んできた。まあ、気持ちは分からんでもないな。

「お頭だー!ふぇーん!お頭ぁ~、お会いしたかったですよぉ!」

「今回は長かったもんな。二人ともお疲れ様」

「二週間ほど、美濃に潜伏して色々動いていましたからねぇ~。さすがに疲れましたけど、首尾は上々ですよ!詩乃ちゃんに紹介状を書いてもらって、西美濃三人衆に渡りをつけた後、そこから稲葉山の柱を何本か抜く事に成功しました。これで西濃、東濃、双方の調略は充分施したかと。これで熟した柿のように稲葉山城は落ちると思います。あとひよズルい!」

「ほえ?」

「私だってお頭に癒されたいのに、抜け駆けする何てひどい!早く交代!」

「あははっ・・・・はーい」

と言ってひよが離れたら今度はころが抱き着いてきた。俺はお疲れ様と言いながら、頭を撫でていた。ころが満足と言った所で離れたけど。ちなみに机には、既に片付けてある。拳銃はホルスターにしまって、弾はポケットに入れた。  
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