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鉄槌と清風

作者:deburu
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65部分:64:決戦


64:決戦

 『聖王のゆりかご』突入から暫し…なのはの消費を抑える為、良彦とヴィータが中心になり、Ⅰ型Ⅲ型の混合部隊を打ち倒していく。
 良彦が前に出て、ある程度の数を纏めて『風鎖』でバインド、そこをヴィータがシュワルベフリーゲンで破壊。
 二人揃って走りこんでⅢ型の下に潜り込んで、下方からアイゼンでの打撃、もしくは良彦の風拳・一刃での斬撃で破壊される。

 なのはもディバインシューターを放ち援護してくれる。

 「しっかし、結構多かったな此処まで」

 一旦ガジェットが途切れ一息つく良彦。

 「まったくだ、何処から湧いて来るんだこいつら」

 ヒュンッとアイゼンを担ぎなおしヴィータ。

 「二人とも飛ばしてたけど、大丈夫なの?」

 心配そうななのは。

 「これくれーなら問題ねーな、日々の積み重ねがあらーな」

 「あたしも良彦と一緒に体力つくりやら、魔力の限界使用やら、やってるしな」

 それを軽く吹き飛ばすように、良彦とヴィータが答える。

 「あはは、そんなトレーニングしてたんだ」

 「まぁ、騎士たるもの、己の武に対してこだわるなら、最後には魔力が無くても戦える位の力が無いとな」

 「とはいえ、できればその最後に行くまでの時間は長くしてーかんな」

 なのはに、再び良彦とヴィータが答え…外部、シャーリーからの連絡。

 『内部構造が判明、駆動炉の場所と、ヴィヴィオがいる場所を示します、そのほかはジャミングなんかが酷くて細かくは判りませんでした』

 ウィンドウの半分にゆりかごの内部構造が表示され、駆動炉とヴィヴィオのいる…どうやら聖王の間と言う場所…が示される。

 「ふむ、んじゃ…ヴィータ、頼む」

 「あいよ、なのは周囲警戒だ」

 「あ、え、うんわかった」

 ふっと目を瞑る良彦に、当たり前のように辺りを警戒し始めるヴィータ、なのはもそれに続く。

 「セプト、『凪』探知モードで、できる限り大きくするぞ、AMFにまけねーようにな」

 『うむ。心得ておる』

 目を瞑っている良彦から、緩やかな風の流れが辺りを満たしていく、普段より展開速度が速い感じがする。
 風は広がり、そしてそれに当たるものを良彦に教えて行く。

 「駆動炉のほうは、ガジェットばっかだなかなり多めだ…ヴィヴィオの方は、ガジェットと多分これ戦闘機人かな、人型が一人」

 『確かにおるな…む、これは…」

 「…風が途切れるな、AMFが更に濃いのか、ってことは…此処にも何かあるな、こりゃ」

 そういうと、ゆっくりと風は収まり目を開く良彦。

 「さて、どうする?」

 「駆動炉はあたしがいく、破壊と粉砕、それがアイゼンの得意技だ」

 良彦の問いにまずヴィータが答え

 「んじゃ、俺はこの濃いAMFの所だな、ある程度の相手なら何とかできんだろ」

 更に良彦が提案し

 「そっち任せていいなら私はヴィヴィオの所へ」

 「おう、任せとけよ、きっちりかっちり落とし前付けさせねーとな」

 「だな、それじゃそれぞれ目的を遂げたら脱出だ、また外でな」

 最後に言ったなのはに、良彦、ヴィータが拳を突き出し…3人で拳をあわせ。

 「おっし、いくぞ!」

 「おう!」

 「うん!」

 掛け声と共に、それぞれの方向に向かい飛び出していく。



 ユニゾンしたセプトと共に、無数ともいえるガジェットの中を、時に駆け、打ちぬき…時に翔け、切り裂く。
 対多数の技をほぼ持たない良彦…リミットブレイクすれば少し違うのだが…縦横無尽に空を床をかけ、一撃の下にⅠ型Ⅲ型を破壊して行く。

 「ホント、何処に乗せてんだこれ」

 『飽きるほど沸いてくるのう』

 少し疲れたのか、愚痴のように吐き捨て、今もⅢ型を『風拳・嵐』で内部から破壊していく。
 それで、近くにいたガジェットが一段落したらしく、一瞬の静寂…此処まで数十分、AMFが異常に濃い部屋、というか空間、まではもう少しのはずだ。

 「もう一頑張り、いくとしまっ!」

 『ロードッ!』

 掛け声をかけようとした瞬間、『凪』を後から襲う感覚に、無意識レベルで身体が反応…足を一歩踏み出し、身体全体を回転させ、『捌く』。
 振り返り、見え始めたのは、両手に刃を持ち、胴体は多脚に支えられ、頭のような場所に目のような切れ込みの入ったガジェット…思い出す、かつて自分となのはを貫いた、アンノウンを。

 そのガジェットが、いつの間にか良彦の背後と言わず、前方にも溢れている。
 恐らくは光学迷彩に動作音も抑えられているのだろう、隠れている間は。
 目に見えるようになってからは恐怖を煽るように足音が響く。

 「そういう、事かよ…あんときのもてめーらの仕業か…丁度いい意趣返しだ…全部ぶっ潰す」

 が、そんななか、良彦を取り巻く風は強さを勝手に増して行き。

 「セプト、ゼピュロス…ブレイク!」

 『心得た、思う存分ゆけい!』

 『了解、リミットブレイク…スタート』

 セプトの掛け声、ゼピュロスの何時もの冷静な声と共に、魔力も風も良彦を取り巻いて暴れ出す。
 良彦のリミットブレイク…『千風』モード…は、本人の意思により、時に刃、時に嵐に、時には風塊へと姿を変え、本来『凪』の感知、迎撃に使われる並列思考…数十発の射撃魔法を相殺できるレベル…が攻撃へとその大半をまわされる。
 結果として、この状態の良彦に近づけば…この時はガジェット相手なので遠慮などは一切ない…風に切り裂かれ、吹き飛ばされ、床に叩きつけられ、無残に周囲に居たガジェットが破壊されていく。

 「セプト、『貫き』!」

 『おうさっ、風速加速、飛行速度加速』

 更にその状態で、高速飛行…普段でさえ、軽い射撃呪文程度はじく風の結界が、今は通り過ぎる場所をなぎ払っていく。
 が、当然魔力も体力も今までより飛躍的に消費して行く、ただでさえこの先は来いAMF空間、どんどんと魔力は消失して行く。

 「これで…ラストォ!」

 轟っという風の塊が、新型のガジェットを床に叩き付け、潰し、爆発する。
 それとほぼ同時、強く吹いていた風が収まり、良彦も大きく何度も深呼吸している。

 「さすがに、このAMF下だときついな」

 『そうじゃな、じゃが相手も打ち止めらしいのう』

 「なら、さっさと終わらせるか、さっきから船に振動が走ってる…ヴィータとなのはも派手にやってそうだ」

 『確かに、急がねば遅刻になりそうじゃ』

 セプトとそんな軽口を言い合いながら、進んで行く。
 
 たどり着いた其処は広い空間、良彦の足元から、薄いガラスのような足場が真ん中まで続き、そこに一人の女性が立っている。
 付いたときに、眼鏡を外し、纏めていた髪を解いた女性が、此方を見て、にこりと笑う。

 「こんな場所まで用こそ、清風の騎士さん…ですが、此方に一人出来てよかったんですか?」

 そう言いながら、見せつけるように幾つものウィンドウをこちらに向ける。

 フォワード陣は分断され、ティアナは1対3、スバルはギンガと、エリオ、キャロはルーテシアとその召喚獣と戦っている。
 シグナムは以前本部に向かっていた、騎士ゼストとツヴァイとユニゾンして戦い、アインはⅡ型を相手取る。
 フェイトはスカリエッティと、戦闘機人2人と戦っている。

 なのはは、恐らくヴィヴィオなのか、青い騎士甲冑をきた、虹色の魔力光を持つ少女と相対している。
 ヴィータは駆動炉に向かい、巨大なドリルの付いたアイゼン…ツェアシュテールングスフォルム、ギガント状態のアイゼンにドリルと噴射口が付いたヴィータのリミットブレイクだ…で、駆動炉を破壊しようとしている。

 「…んで、なにが、こっちきてよかったなんだ?」

 「皆さん苦戦してらっしゃいますよ、それに」

 踏み込んだ瞬間、ユニゾンが解除される…この空間のAMFはほぼ完全に魔力を無効化しているらしい。

 「そんな状態で此処に来て、何が出来ると?」

 その相手の問いに、苦笑を浮かべながら

 「そうだな…順番に答えるか…まず、フォワードも他の奴らも、これくらい自分で何とかする、其処に関して俺には疑いは無い」

 言ってるそばから、フォワード陣の決着が付いていく…3人の連携を崩しティアナが残る一人にクロスミラージュをつき付け、スバルはA.C.Sからディバインバスターをギンガに決める。
 エリオは黒尽くめの召喚獣をシグナム直伝の紫電一閃で下し、キャロは龍をよびルーテシアの巨大召喚獣を倒す。

 フェイトは、エリオとキャロの言葉に、力を貰い、リミットブレイク…ライオットザンバー…をもって、戦闘機人とスカリエッティを無力化。
 ヴィータが最後の力ではなった、ツェアシュテールングスハンマーはアイゼンを破壊しながらも駆動炉に一点のヒビをつくり、そこに駆けつけていたはやてがそれを広げ、破壊する。
 
 「ほらな、言っただろ…俺の応援は別にいらねーって、なのはも負けねーよ、アイツはやるとなったら無茶を通すからな」

 いいながら、ガラスのような足場をとんとんと足で鳴らし、にやりと笑う。

 「…それでも私がいれば、新しいドクターと共に、この星をすばらしい場所にできますわ、魔法も使えない貴方には止められない」

 言葉と共に、Ⅰ型が数機、下から上がってくる。

 「まぁいいけどね…で何が出来るか、だっけ…教えてやる事が出来るぞ」

 「何をですの」

 「お前らが…」

 言葉と共に、良彦の頭の中でスイッチが切り替わる…『音貫き』、モノクロでスローモーションになる景色のなか、走り、相手の目の前に立つ。

 「何で、負けるか…なっ!」

 「なっ、いつの間に、魔法もつかってっ」

 相手が何か言う間に、一切の前動作が『無』く、打ち抜いた後に拭く『風』だけが、それを示す…八坂流合気術の最奧、『無風』、肉体の力のみで放たれた場合、相手の体内に振動を与え、その振動は全身を脳を揺さぶり、無力化する。

 「お前ら、人を舐めすぎだ、人の心とかをな」

 「あが、ぐっ…らくえん、が…ドクターとの、世界が」

 戦闘機人といえど、内蔵はあるし脳もある、それを揺さぶられれば…結果、相手は床に倒れる。
 ほぼ同時に、ウィンドウの中では、リミットブレイクした…ブースターⅢまで開放したであろう…なのはのスターライトブレーカーが、ヴィヴィオを打ちぬき、融合していたレリックを破壊、ヴィヴィオの姿が幼子に戻る。

 それと同時にガジェットが停止していく。
 艦内には非常事態の放送がながれ、魔力結合が一切出来なくなってしまった。
 緊急隔壁もしまり、困っている所を、戦闘機人モードのスバルと、バイクに乗ってきたティアナに助けられたのは、まぁご愛嬌。

 スカリエッティとその戦闘機人、ガジェット、ルーテシア、アギト…とりあえずは全てを逮捕、保護、騎士ゼストと戦闘機人一人が死亡となった。
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と言うわけで、最後は肉体言語でした。

次回は、決戦のその後です、今回出来なかった分いちゃいちゃさせられればと思います。
 
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