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あかりの碁

作者:くるみ
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プロローグ
  産まれて約12年。状況は最悪です

俺は無事に生まれ、あかりとして11年と11ヶ月を過ごした。
うん。約12年って言っていいよねこれ。

鏡を見てあかりの姿で俺と話すことに違和感を覚えて一人称を私に変えてみたり、
2歳になっておもちゃ屋で折りたたみ式のマグネット碁盤をおねだりして買ってもらい
カパカパやってたら2ヶ月で壊れたり、
3歳になる頃にはもう天才と呼ばれて小学生向けの勉強をやらされたり。

でも、そこまではいいんだ。その後に比べたら全然大変じゃなかったから。



俺改め私こと藤崎あかりに襲いかかって来た最大の困難。
それは3歳になって幼稚園に入る時から表面化してきた。

そう、幼なじみの俺こと歩く問題児進藤ヒカルである!

奴は毎日問題を起こさない日は存在しないと言わんばかりに問題を起こしまくる。
しかも毎日起こる問題が違うもんだから予測もできない。

そんな自分自身の暴挙を他人視点で見せられると心にグサッとくるんだ。
それに耐えられなくていつの間にか俺に変わって被害者に謝罪したり
俺に説教して回ったりするようになっていて。

気づいたら見事に記憶の通りのあかりになってた。
こんな苦労してたんだな。もうあかりに向けて足向けて寝れない。

そんなこんなで約12年。私達は小学6年生になった。今年は佐為に会える年で、
そしてヒカルの暴走が囲碁方面に行くようになるため無害になる年。

産まれてこの方前者を大事にしてきたはずだったし、正直佐為にも会いたい。
けど今では非常に不思議なことに、後者の方が大事なような気がする。

具体的にいつだったかは詳しくは覚えていないけど。
そしてその意味は完璧に変わってしまったけど。

早く来て。佐為。 
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