ヘタリア大帝国
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TURN125 シチリア降下作戦その五
「じゃあ投降します」
「身の安全は宜しく御願いしますね」
「ああ、約束する」
東郷がイタリン軍に応えた、こうしてだった。
シチリアのイタリン軍はあっさりと降伏した、銀河では一戦も交えず地上部隊の主力もであった。だがマフィア達は。
頑強に抵抗しようとする、それを聞いた山下がこう主張した。
「ならよい、すぐに降下してだ」
「はい、全員処刑ですね」
福原もにこりと笑って言う。
「マフィアです、容赦せずに」
「あの様な不埒者達を許してはならん」
山下は既にその手に刀をかけている、完全に本気だ。
「では今より陸軍が降下する」
「私も参ります」
福原も申し出て来た。
「そしてマフィアなどという不逞の輩共を片っ端から成敗する」
「一人も逃さないのでご安心下さい」
「本当にこの二人は予想通りだね」
南雲は二人の言葉を聞いてある意味で感心した、それ以上に呆れているが。
「だからまっすぐばかりじゃなくてね」
「ここは私に任せてくれる?」
ムッチリーニが笑顔で出て来た。
「ちゃんとやり方があるから」
「統領にですか」
「お考えがあるのですか」
「うん、だから任せてくれる?」
強硬派の二人に対して言う。
「ここはね」
「イタリンの統領であられた方が仰るのなら」
「そうですよね」
二人もイタリン統領であるムッチリーニの言葉ならだった、そのうえで。
ここは彼女に任せることにした、かくして。
陸上部隊も実にあっさりと降伏したイタリン軍はそのままにして早速マフィア対策が為された。その前非を問わずに。
国家の統治に組み込むのだった、法律の世界に。
これはムッツリーニの政策だった、それによってだった。
マフィアはムッチリーニが統領だった頃の様にその勢力をかなり弱めた。山下はそれを見て目を丸くさせてこう言った。
「何と、こうしたやり方があったのか」
「驚きですね」
福原もこう言う。
「このことは」
「そうだな、ヤクザ者は成敗するのではなく」
「ああしって組み込むやり方もあるのですね」
「一見馬鹿げているがかなり効果がある様だ」
「その様ですね」
「いえ、統領さんのあの政策ですが」
台湾が二人に話す。特に自分の軍事顧問である福原に対して。
「私が以前受けていた政策ですよ」
「あっ、そうだったのですか」
「はい、児玉さんに」
日露戦争の時の参謀だ、台湾で総督をしていたこともあったのだ。
「当時私のところは日本さんの統治に抵抗するゲリラといいますか山賊の様なものが多かったのですが」
「その彼等にか」
「児玉閣下がですか」
「そうだったんです」
過去は問わないので投降しろと勧めて、だというのだ。
「土木作業等に従事させたのです」
「土木作業は普通にヤクザ者が関わっていたからな」
山下はその話を聞いて言う、作業員の斡旋もまたヤクザ者の仕事だったのだ。
「それでか」
「要するにそのゲリラがマフィアで」
台湾のかなりの部分を仕切っていたというのだ、そのマフィアと同じく。
「統領さんの政策は児玉さんと同じです」
「そうだったのか」
「はい、山下さんはそのことは」
「気付かなかった、私の不勉強だ」
「私もです」
山下も福原も己の不明を素直に認める。
「閣下はそうしたこともされていたのだな」
「その台湾統治の見事さは聞いていましたが」
「ああした勢力は下手に弾圧するよりも」
強硬策よりも、というのだ。
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