Element Magic Trinity
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ニルヴァーナ編
ニルヴァーナ
前書き
すいません・・・ナツティアは思いつきませんでした。
「いらっしゃいませー♪ご注文はお決まりですか?」
にっこぉ、と笑顔を浮かべるルーシィはバインダーと鉛筆を片手にテーブルへと向かった。
「蒼天ミートソースとホーリーソーダが欲しいポヨ」
「オレは獣人カレー」
「デザートも一緒にいかがですか?」
「じゃあ・・・このルビーパフェをもらうポヨ」
「同じので」
「かしこまりましたー」
注文を受けたルーシィはそのテーブルを離れる。
「こっちも注文頼むよ~」
「はいは~い」
後ろのテーブルの客にそう答え――――――
「――――って、何やってんのよあたしはっ!」
スコーンと音を立て、バインダーを床目掛けて投げ付けた。
そんなルーシィにナツが声を掛ける。
「ルーシィ、これも仕事のうちだぞ」
「こんなの全然魔導士の仕事じゃないじゃないっ!てかこの恥ずかしいコス何!?」
因みにルーシィは胸辺りにこのレストラン名『8island』と書かれたオレンジ色のウェイトレスの服を着ている。
ナツやハッピーはウェイターの服を着ており、でもナツのマフラーはいつも通りについたままだ。
「このレストランのシェフが魔法料理を作ってんだよ」
「んだ。オレ達も手伝ってやってんのに」
「客の料理食うなー!」
もしゃもしゃと客が頼んだ骨付き肉を食べるナツ。
しかも頼んだ客の前で、ある。
「たまにはウェイターの格好もいいもんだぜ」
「服着てから言って!」
そしてグレイはいつも通りに脱いでいた。
ウェイターの服、と言ってはいるが、残っているのは蝶ネクタイだけ。
ルーシィのツッコミに、グレイも今回は言い分があるようで。
「誰の家賃の為にやってんだ?」
「あう・・・ごめんなさい」
そう。
この仕事はルーシィの家賃を払う為の仕事なのだ。
つまり、ルーシィは文句を言える立場ではない。
「それに見ろ」
「!」
グレイが目を向けた先にルーシィも目を向け、絶句。
「注文を聞こうか」
それはルーシィと同じウェイトレスの服を着て緋色の髪をポニーテールにしたエルザだった。
超ノリノリである。
「あんなにノリノリの奴もいる。あとはアレだな」
「あ・・・」
くいっと顎で指した先にいるのは、最強チームに3人いる女の中の3人目。
つまりは、ギルド最強の女問題児。
「・・・ご注文は」
「え、えーっと、獣人カレーを・・・」
「・・・かしこまりました」
この仕事が嫌なのか、それとも無理矢理着せられたウェイトレスの服が嫌なのか。
無表情に不機嫌さを混ぜた表情のティアに客も思わず戸惑う。
短く注文を聞くと、ティアはスタスタと厨房へ向かっていった。
「不機嫌だが仕事を全うする奴もいる」
「あたしも頑張ります」
8island、裏。
「いやー、お疲れ様。スっかし最近の若い子は働きモンだねぇ。またいつでも来なさいよ」
そう言うのは、マカロフの友人であるヤジマ。
彼はここのレストランのオーナーだ。
「はい。今日は勉強になりました」
「気に入ってるんだ、その服」
「ミラちゃんの気持ちが少しは解ったよ」
「ふぅ~、食った食った」
「アンタ店のモン食べ過ぎ!」
ヤジマの言葉にエルザが答え、未だにウェイトレス服のエルザにハッピーが呟き、グレイが疲れたように呟き、ナツが大きく伸びをし、ルーシィがツッコんだ。
「あ、そうだ。ヤジマさん、評議会の方はどうなったの?」
「んー、ワスはもう引退スたらねえ」
ティアに問われたヤジマが答える。
「「評議会!?」」
「アンタ達知らなかったの?ヤジマさんは元評議員の1人よ」
それを聞いたナツとグレイがビクッと反応する。
呆れたようにルーシィが言った。
「ズーク・・・いや、ズラールだったかの?」
「ジェラールです」
「そう!そのズラールとウルティアの裏切りで大変な失態をスたからねぇ。今は新生魔法評議会を立ち上げるべく各方面に根回ススとるみたいよ」
楽園の塔事件の際に評議院は崩れた。
評議会最後の切り札であるエーテリオンを投下し、しかもそれがRシステム起動のスイッチになってしまった・・・失態以外の何物でもないだろう。
「君達にも本当に迷惑をかけたね。申ス訳ないよ」
「いえ・・・ヤジマさんは最後までエーテリオン投下に反対されていたと聞きました。行動を恥じて引退など・・・」
「ワスには政治は向かんよ、やはり・・・料理人の方が楽しいわい」
そう言いながらヤジマは魔法でフライパンを出し、慣れた手つきでフライパンの中身を引っくり返す。
「ところでナツ君、グレイ君」
「「!」」
突然声を掛けられた2人はビクッと反応する。
「これから評議院は新しくなる。ワスはもういない。妖精の尻尾を弁護スる者はいなくなる。その事をよーく考えて行動スなさい」
「「行動スます」」
「あい」
ヤジマのズーズー弁がうつる。
すると、ティアがふと思い出したように口を開いた。
「そういえば、兄さんは今と同じ役割にいるって聞いたわ」
「クロ坊が?」
「ええ。第1強行検束部隊隊長・・・だったらしら。バカだけど部下からは慕われてるみたいでね。新しい上司に部下が頼み込んだとか」
さらりと兄をバカ扱いするティア。
「ま、評議員の1人じゃない兄さんじゃギルドを弁護するのは難しいわね。今まではヤジマさんがいたから可能だったようなものだし」
どちらにしろ、ナツ達を弁護する存在はいないと考えるべきなようだ。
「それじゃ、マー坊によろスくな」
「今日はありがとうございました」
ヤジマは帰っていくナツ達を見送り、空を見上げた。
(ウルティア・・・か。今はどこにおるのかのう・・・)
空の上を、大きな乗り物が飛んでいた。
後ろの方に魔法陣を展開し、魔法を力に飛んでいる。
巨大な戦艦にも見えるその乗り物の中に、1人の女性がいた。
「六魔将軍が?そう・・・動くのね・・・」
そう呟く女性は長い黒髪を下の方で2つにまとめ、左側にスリットが入ったワンピースを着て、水晶玉を右手首辺りに乗せて顔を向けた。
「どうなさいます?マスターハデス」
その女性の名はウルティア。
今ここにいる彼女は、評議員の1人ではない。
闇ギルド、悪魔の心臓の1人だった。
「放っておけ」
マスターハデスと呼ばれた男性はゆっくりと口を開く。
「奴等が動けば表の者どもも黙っていまい。我々はそのスキにゼレフの封印を解く鍵を見つけるのだ。あわよくば、邪魔なギルドをいくつか消してくれる事を願おう」
「妖精の尻尾、とか?」
ウルティアの言葉に、ハデスの口角が上がった。
「その情報は確かなの?エスト」
とある建物。
燃えるように赤い髪を揺らす女性、シグリットは男性に声を掛けた。
「らしいね。彼等の目的・・・何と言ったかは覚えてないけど、動きがあるみたいだ」
エストと呼ばれた赤髪の男性は、近くにあった椅子に腰かける。
「だけど、私達は動かないよ?『あの方』が命じない限り・・・」
「解ってるさ、シグリット。今はまだ、彼らに見つからない方がいい」
「ふふ、そんな事言いながら、実は会いたいんでしょ?」
「さあね、どうだろう」
微笑むシグリットにエストは肩を竦めてみせる。
それを見たシグリットはちょこんとエストの横に腰掛け、口を開いた。
「そうそう。『あの方』から命令よ。部隊の皆に伝えてくれる?」
「もちろんだよ。それで、命令内容は?」
その言葉を待っていたかのように、シグリットは笑った。
そして、言い放つ。
「六魔将軍の動きが治まり次第、巫女を連れ帰る・・・ですって」
「何ですか?コレ」
ルーシィがギルドに顔を出した時、ギルドの空中に大きな図と文字が描かれていた。
ナツやグレイ、エルザ、ティアといった最強チームメンバーは勿論、ルーとアルカ、ジュビアやエルフマンといったメンバーも勢揃いし、図を囲む形で見ている。
「闇ギルドの組織図を書いてみたの」
「あ・・・書いたのオレ」
リーダスが手をあげた。
「どうしてまた?」
「最近動きが活性化してるようでな。ギルド同士の連携を強固にしねーとなんねぇんだと」
ルーシィの問いにアルカが答える。
どうやらそれは面白くないようで、アルカの目にいつもの煌めく光はない。
「この大きいくくりはなんだよ?」
「ジュビア知ってますよ。闇ギルド最大勢力、『バラム同盟』」
エルフマンやジュビアの目線の先には、図の中央、大きく囲まれた4つの名前があった。
それらは「バラム同盟」として括られている。
六魔将軍
冥府の門
悪魔の心臓
血塗れの欲望
この4つがバラム同盟と呼ばれる闇ギルドだ。
「バラム同盟は4つのギルドから構成されている闇の最大勢力。それぞれが幾つかの直属ギルドを持ち、闇の世界を動かしているの。ま、要するにバカの中の大バカって事よ」
ティアが呆れたように溜息をつく。
それを聞きながらルーシィは図を見渡し、聞いた事のある名前を見つけた。
「あ!鉄の森って!」
「そうだ、あのエリゴールがいたギルド」
「あれは六魔将軍ってギルドの傘下だったのか」
鉄の森。
忘れるはずもない。こいつ等が起こした事件がキッカケで最強チームがあるようなものだ。
「雷神衆が潰した屍人の魂もそうだ」
「ジュビアもガジル君もシュランちゃんも、ファントム時代に幾つか潰したギルドが全部六魔将軍の傘下でしたー」
「笑顔で言うな」
笑顔を浮かべて物騒な事を言うジュビアにグレイが呆れる。
「ティアが潰したのはどれだ?」
「基本的には血塗れの欲望傘下が多いかしら」
「・・・」
ヴィーテルシアに聞かれ、ティアは淡々と目で図を追いながら呟く。
そんな中、ルーは無言で図を見つめていた。
「うわ~、怒ってなきゃいいけど」
「気にする事ねぇさ。こいつら・・・噂じゃたった6人しかいねーらしい」
「どんだけ小せェギルドだよって」
怯えるルーシィに他のギルドメンバーが笑いながらそう言うが――――――
「たった6人で最大勢力の1つを担っているのよ」
「「う」」
ミラの一言で押し黙った。
「その六魔将軍じゃがな・・・」
すると、そんなギルドにマカロフが帰ってくる。
定例会があったのだ。
「ワシらが、討つ事になった!」
『!』
突然放たれた衝撃的な一言に、その場にいた全員が目を見開いて驚愕する。
「あ!おかえりなさい、マスター」
「違うでしょ!」
・・・ミラを除いて。
「マスター、一体・・・どういう事ですか?」
「オレ達が六魔将軍を討つって・・・」
ざわざわとざわめきが走る。
メンバーを代表してエルザとアルカが口を開いた。
「先日の定例会で、何やら六魔将軍が動きを見せてる事が議題に上がった。無視は出来んという事になり、どこかのギルドが奴等を叩く事になったのじゃ」
「またビンボーくじ引いたな、じーさん」
「妖精の尻尾がその役目を?」
「流石に相手が強大過ぎる気もするけど」
マカロフの言葉にグレイが呆れたように言い、ジュビアが驚き、ティアが変わらない冷たい表情のまま言い放つ。
「ティアの言う通りじゃ。今回ばかりは敵が強大過ぎる。ワシらだけで戦をしては、後々バラム同盟にここだけが狙われる事になる。そこでじゃ」
マカロフは一呼吸置き、再び口を開いた。
「我々は連合を組む事になった」
『連合!?』
本日2つ目の驚愕情報にメンバーは目を見開く。
「妖精の尻尾、青い天馬、蛇姫の鱗、化猫の宿。4つのギルドが各々メンバーを選出し、力を合わせて奴等を討つ」
その言葉に再びざわめきが走る。
「何だよそりゃ・・・」
「くーっ!いいねぇ、面白そうじゃねーか」
「オレ達だけで十分だろっ!てか、オレ1人で十分だ!」
「マスターは後々の事を考えてだな」
「青い天馬・・・アイツ等は嫌いよ。メンバーに選ばれない事を祈るわ」
アルカが笑い、ナツが叫び、エルザがそれに言葉を返し、ティアは腕を組んで眉を顰める。
「てか・・・ちょっと待ってよ・・・相手はたった6人なんでしょ?」
ルーシィは自分の肩を抱き、呟いた。
「何者なのよ、そいつら・・・」
ここはワース樹海。
そこに、6人の人物がいた。
「聞こえるぞ。光の崩れ落ちる・・・音が」
「気が早ェなコブラ。まあ、速ェ事はいい事だ」
「ここに例の魔法が隠されているんだぜ、レーサー」
紫の鱗の蛇を連れたコブラは、背後にいる『レーサー』という名の男に言われ、顔だけを向ける。
「暗黒をもたらし全ての光を崩す魔法ですな」
「『ニルヴァーナ』」
「ぐーぐー・・・」
体の大きい男に続くように、白い羽を思わせる服装の女が口を開く。
浮くカーペットに乗る男は寝ていた。
「伝説の魔法が・・・ついに我々の手に」
「そんなに期待していいモンなのかい?ニルヴァーナって魔法は」
「見よ」
髑髏の杖を持った男は、杖の先を樹海へと向ける。
「大地が死に始めている。ニルヴァーナが近くにあるというだけでな」
後書き
こんにちは、緋色の空です。
早速ですが、すいませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!
ナツとティアの話を一生懸命考えたのですが、全くアイデアがなく・・・。
わざわざご意見をくれた方もいらっしゃいましたが、全く纏まらず・・・。
この分過去編で頑張りますので、どうか許してくださいです。
感想・批評、お待ちしてます。
本当にすみませんでしたっ!
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