鉄槌と清風
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61部分:60:その日機動六課
60:その日機動六課
新暦75年9月11日、ユニゾンしての模擬戦から2日がたったこの日、地上本部公開意見陳述会警備のため、なのは、アイン、新人フォワードが地上本部に先入りすることになった。
「ほな、なのは隊長、アイン、ティアナ、スバル、エリオ、キャロ、私らも明日には行くから頼んだで」
「了解、任せておいてね」
「「「「了解」」」」
「で、明日やけどシャマルとザフィーラは隊舎の警戒、良彦隊長とヴィータ、セプトは捕虜の監視警戒、フェイト隊長、ツヴァイはあたしと一緒に本部いきやで」
「はい、任せてください」
「了解した」
「あいよ、任せといてくれ」
「おう、任せろよ」
「了解、エリオ、キャロ明日ね」
「了解しました」
呼ばれた順に答える。
その後、先入りのメンバーはヘリで本部へ、他は休息と待機のために自室か仮眠室へ散っていく。
良彦、ヴィータ、セプトは明日朝一からの警戒の為、一旦自室へ戻った。
風呂に入り、早めながら寝室へ向かう。
「明日、あいつら助けにくるかな?」
「来る可能性は高いと思うな…予言の事もあるし、セインには少なくても5人はその前に造られたであろう仲間もいるはずだし」
「うむ…なれば、探知型の『凪』を張り続けるのも手じゃな」
「あぁ、その予定だ、ヴィータ、セプト頼むぞ」
「おう、任せとけよ」
「うむ、ヴィータと我でしっかりロード良彦を守ろうぞ」
良彦とヴィータがこつんと拳をあわせ、その上にぽんと小さな手が乗せられる。
「おっし、んじゃさっさと寝ちまうか、準備段階から警備してねーとだし」
「そうするか、ん」
ベットの縁同士に座り、ヴィータが目を瞑って良彦を待っている。
「ん、おやすみ」
そのヴィータに軽くキスし、髪をなでる。
「おやすみな」
ヴィータも満足したのかそういって、微笑。
「これで番っておらぬのだから不思議よな」
セプトは苦笑し、ヴィータの枕の端に横になり、皆眠りに着く。
翌日、9月12日…おきて少し柔軟などして身体を温め、捕虜の3人の部屋へ。
「おいす、元気か?」
「……ん」
「健康ではあるよね」
「ってか、こんな所入れられて、気分はよくねーよっ!」
3人3様の反応、セインに関しては未だにバインドをかけられたままだ。
「いや、話さえすりゃ部屋出せるけど、はなさねーだろ?」
「………」
「無理ですねー、事情がありますから」
「はっ、冗談じゃねーよ」
又3者3様…まあ、毎度こうなのだが。
「とりあえず、今日は俺らが監視だから何かあったら言ってくれ」
「だな、変な事すんなよ?」
そういって、部屋の前の椅子に座り、ウィンドウを開く、地上本部公開意見陳述会の前だからか中継で本部が映し出されている。
数時間後、そろそろ陳述会の開始時間になる。
「んじゃ…ゼピュロス」
『了解、セットアップ』
「こっちもだ、アイゼン」
『了解、セットアップ』
二人が青と赤の騎士甲冑に身を包む、良彦は直ぐに『凪』を探知方に変更し、椅子に座ったまま動かなくなる。
隊舎内の人間と、直ぐ隣の部屋の3人、近くにいるヴィータ、セプトをきちんと感知している、その他の反応は今の所無い。
数分たった頃、部屋の中を歩く反応…トイレかと思っていると同時、魔力反応、部屋の中と良彦がいる通路に突然大きな動体反応。
「なんだ、何か来てるぞ」
その声にヴィータがあたりを見渡せば、床に魔法陣、キャロのものと似ている…召喚のものか。
その中から、Ⅲ型とⅠ型が複数出現、AMFが共振しているのか、普段より強い。
「いきなり召喚だと、デバイスは持ってないはずだろ」
ヴィータの声に反応したのかⅠ型が群れをなして向かってくる。
「なめんな、アイゼン」
『了解、ラケーテンフォーム』
「ラケーテンハンマー!」
回転と距離は短いが、Ⅰ型なら十分、近づくそばから破壊して行く。
『こちら隊舎警戒中のシャマル、外にガジェットの大群がきてます、総員警戒を』
「ちぃっ…って、中から3人とも消えてる、しまった召喚できるなら転送もっ!」
「とりあえず、この中のを片付けんぞ、数が多い」
「あぁ、セプト援護頼む」
「任せておけ」
3人固まり真ん中にセプト、前後に良彦とヴィータ。
セプトが、打撃強化と風圧強化をヴィータと良彦に掛ける。
何時もの如く良彦が前に出て、敵を翻弄足止めし、ヴィータの打撃で潰す、もしくはヴィータが射撃魔法で牽制した所を良彦の風拳で打ち抜く。
数分で建物内部の征圧は一旦完了するが、シャマルの連絡では外に大量のガジェットが来ているらしい。
「応援に行くぞ、シャマルとザフィーラだけじゃ辛そうな数らしい」
「おう、急ごうぜ」
「うむ、拙速に事を運ぶが良いじゃろう」
直ぐに外へ飛び出す、Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型のガジェットが大量におり、その前方に人影。
緑色の何本もの光線が人影から放たれ隊舎に向かうが、ザフィーラの吼え声と共に巨大な盾が数枚現れそれを阻む。
「すまね、待たせたな」
「きたか良彦…ガジェットと恐らく戦闘機人であろうあの者の攻撃が重い、気をつけろ」
声を掛けるとザフィーラがそう答える。
「わかっ…ちぃっ!」
頷こうとした瞬間、何も無かった場所へ拳を繰り出す…其処にはもう一つ人型、黒い甲冑のような外郭に紫のマフラー、先日見た召喚獣だろう。
「俺の相手はてめぇってことかよ!」
受け止められた拳を引き、間合いを取りながらその場所を離れる。
「良彦っ!」
「まてヴィータ、シャマルと俺ではこの数は辛い、こっちを頼む」
「ちっ、わーってる、セプトあっち頼む」
「うむ、当然じゃ」
言いながら皆動く、ヴィータは空へ上がりシュワルベフリーゲンでⅠ型、Ⅱ型を潰し、ギガントフォーに変じさせたアイゼンでコメートフリーゲンでⅢ型も潰す。
だが、数が多すぎる…広域破壊が得意な人間が此処にいない事が悔やまれるが、それでもヴィータは攻撃をつづけ、ザフィーラは防ぎ、シャマルはその二人を支援する。
そんな中良彦と、召喚獣は高速戦闘を繰り広げる、純粋な速さは召喚獣が、技量では良彦が上か、拮抗している。
腕を取ろうとすれば、その場所によっては刃が生える、生体武器を内蔵しているらしく、投げをうてそうにはない。
召喚獣の方も刃による攻撃、尻尾なども武器らしく繰り出すが、『凪』の範囲に入れば感知され、不意は撃てず『弾』かれ、『捌』かれる。
「(なんか、動きに本気をかんじねーな、時間稼ぎか)」
とはいえ、油断するわけには行かず、どうしても意識を召喚獣に持っていかれる。
セプトも良彦に支援魔法を使っているのだが、中々相手を圧倒とまでは行かない。
『ロングアーチより、報告、前線を抜けたガジェット多数が隊舎内に』
「くっ、とはいえ…こいつ行かせるわけにも」
振るわれた腕刃…二の腕に刃が生えている…を『弾き』ながら、数度の経験から大丈夫だろう場所をつか…む前に、腕が引かれる。
本能なのか、回避する動きに隙が少なく、人と構造が違うのか腕の引きが早い。
そんななか、緑の光線が盾を貫き隊舎へと直撃する、何本も放てるらしいそれがシャマルやザフィーラにも向かい、ザフィーラをしても過負荷に耐え切れなかったらしい。
「ザフィーラ、シャマルっ…っのぉ!」
召喚獣の攻撃をぎりぎりで『捌き』…
『風鎖』
風を伴うバインドで縛りつける、その間に一旦距離をとり辺りを見渡せば、ヴィータが先ほどの人影と戦っている最中で…アイゼンを振るい光線を弾いた瞬間、何処から現れたかもう一人人影が後に。
持っている二本の刃でヴィータを叩き付け、地面に落ちて行くヴィータ。
「………はっ」
真っ白になる頭の中、スイッチが切り替わる。
「人の女に何してくれやがる…んの、ぼけどもがっ!」
此方に距離をつめる召喚獣に向かい『音貫き』、モノクロスローモーションの中、一瞬で懐に入ると、『音貫き』を解除せずに『無風』…びきっと腕からはじけるような音がするが無視して放つ。
その速度に対応し切れなかった召喚獣は、打撃と風により一瞬で吹き飛ばされ、地面にめり込む。
「は、は…次はあっちか」
「ばか者!、自分で負担が大きいと言った技を此処でつこうてどうする」
「うるせー、いまは…あいつら」
ふらつく身体で二つの人影に向かい飛んで行こうとし、体力魔力の落ちた体が濃いAMFに耐え切れず、ゆっくりと地面に落ちて行く。
おちていくなかで、見えたのはⅡ型に乗っているルーテシアという少女、2人の戦闘機人は空戦対応なのか空を飛び…そしてルーテシアの足元にいるヴィヴィオ。
「…また、かよ…守りきれな、かった」
「落ち着けロード良彦、連れて行ったという事は殺す気が無いという事、挽回の機会は来る」
「それ、でも…いや、あそこで冷静じゃなくなった自分の責任か…」
「そういう事じゃ、今はしばし休め、腕が逝かれておろうが」
「お見通しか…ユニゾンなしじゃ、あの連携は俺には荷が重い」
そういいながら、良彦の意識も暗闇に包まれていく。
遠く、何か巨大な気配と咆哮を聞きながら。
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本部にはいかず、隊舎でルーテシア、アギト、セインの見張りでした。
次回は、病院での一幕辺りでしょうか、此処らへんは怪我人多いですし。
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