万華鏡
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第五十三話 音楽喫茶その八
「あれもそうでしょ」
「そうですね、言われてみれば一脈通じますねどっちも」
「この角もあの塔も」
「独特っていいますか」
「異彩を放っていますね」
「そうでしょ、面白いでしょ」
書記はにこにことして五人に話す。
「どれも八十年代のユニフォームよ」
「このオレンジのユニフォームは何ですか?」
景子がその色の派手なユニフォームを発掘してきて言う。
「これは何処の」
「ああ、そのチームのもあったのね」
「そのチームっていいますと」
「日本ハムよ」
日本ハムファイターズ、そのチームのものだというのだ。
「そのチームのユニフォームよ」
「八十年代のですか」
「いいユニフォームでしょ」
「はい、派手ですけれど」
「今見たら八十年代のプロ野球のユニフォームもいいものよ」
書記はにこりとして五人に話す。
「これを着て皆試合をしてたのよ」
「これもですか?」
里香はスカイブルーと白のユニフォームを出してきた、帽子もあるがそこには白いライオンの顔がある。そのタッチはというと。
「これ手塚治虫先生ですよね」
「それ西武ライオンズよ」
「あそこですか」
「無茶苦茶強かった時のよ」
その手塚治虫のライオン、レオと言われていたが実はレオの父であるパンシャが描かれた帽子を被っていた頃の西武はまさに無敵だった。巨人に本物の鉄槌を下した。
「今みたいにぼろぼろエラーする状況じゃなかったわ」
「そんな身も蓋もないことを」
「それは言い過ぎですよ」
「実際に守備よくないチームですけれど」
「若手のピッチャーここぞという時にホームラン打たれますし」
「調子が悪いと守備が崩れますけれど」
「幾ら何でも」
「この頃の西武は鉄壁の守備だったわ」
実際にそうだった、黄金時代の西武の強さは守備によるところが大きかった。ただし守れてそれを教えられる人材を軒並みトレードに出して今がある。
「強かったわ」
「ううん、野球は守備ですね」
「守れないと駄目なんですね」
「そうよ、それとね」
今度は書記が発掘した、白い字でLとOが書かれた黒い帽子だ。
「これもね」
「L?ロッテですか?」
「Oはわからないですけれど」
「ロッテオリオンズよ」
当時のチーム名である、ロッテの。
「今の千葉ロッテマリンズね」
「昔はそんなユニフォームだったんですね」
「今はヤンキースみたいですけれど」
「そうなの、昔はね」
ロッテオリオンズと呼ばれていた頃はというのだ。
「こうしたユニフォームだったのよ」
「ううん、そうなんですね」
「ロッテも」
「そう、特にね」
書記はここで自分も近鉄のユニフォーム持って言った。
「このユニフォームいいわよね」
「近鉄のですか」
「それですか」
「ええ、派手でね」
しかもだというのだ。
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